チャットボット施策で何が変わる?LINE@スクールプレミアの事例からみるリアルとその背景

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従来からマーケティングのいち手法として多くの企業に活用されているメールマガジンですが、時代とともに受信するメールの数も増えていることもあり、開封率がなかなかあがらない……と困っている会社さんのお話もよく聞きます。

そこで開封率をあげるために、LINEやFacebook Messengerといった他のチャネルを使用したり、個々人にパーソナライズされたメッセージを送ったりといった施策も聞くようになってきました。

今回ご紹介するのは、LINE@×hachidoriを組み合わせて成果を大きくあげている『LINE@スクールプレミア』というサービス。

hachidoriとはブラウザのみでクロスプラットフォームチャットボットが手軽に作成できるwebサービスです。

サービスを運営する株式会社ディスコの本間さん、プラットフォームであるLINE@を運営するLINE Pay株式会社の長福さん、チャットボット開発支援のhachidori株式会社の伴さん、3人の方々にLINEでのチャットボットサービスの背景と今後の可能性について語ってもらいました。

伴 貴史さん(左) : hachidori株式会社 代表取締役社長
本間 真さん(中) : 株式会社ディスコ キャリタス進学事業企画部 部長
長福 久弘さん(右) : LINE Pay株式会社 取締役COO

LINE@スクールプレミアってなに?

LINE@スクールプレミアは、キャリタス進学や高校生に進学情報を配信するLINE公式アカウントであるLINE進学など、高校生向けに総合進学情報を配信する株式会社ディスコが運営する教育機関特化型のチャットボットサービスです。

大学などでは、大学受験を控えた高校生に興味を持ってもらうために、入試情報やオープンキャンパスの情報などをメールで送るのが一般的とのことですが、今の高校生はなかなかメールを開いてくれないという課題があったんだそう。

その一方で、毎日必ずといっていいほど開くのがLINE。そのLINEというプラットフォームの活用と、LINE@の友だち登録者の属性に合わせてパーソナライズした情報配信を可能にしたのが、LINE@スクールプレミアです。

LINE × チャットボットという抜群の相性を最大限に活用、運用している事例がLINE@スクールプレミアというサービスなんです。

そんなチャットボットサービスを教育機関はどのように導入し、実際どれくらいのコストと工数がかかっているのか、さらに今後のチャットボット活用の可能性など、これからますます広まっていくであろう最新テクノロジーのリアルについてお聞きできればと思います。

LINEとディスコによって生まれた『LINE@スクールプレミア』

――LINE@スクールプレミアが始まった経緯と、その背景はなんでしょうか?

――本間
「当社からLINEを全国約1000校の学校に導入いただいていますが、その利用促進に取り組んでいくなかで、ユーザーのニーズに合わせた情報を届けられないという課題がでてきました。

ユーザーごとに適した情報を選別したうえで届けたい。それを実現するために昨年より始まったのが、『LINE@スクールプレミア』なんです。」

LINE@は友だちになったユーザーに対して、一斉配信する仕組み。なので、法学部に行きたい学生に文学部の情報が届くといったことも起きていたそうです。

それを解決するために始まったのがLINE@スクールプレミア。ユーザーに簡単なアンケートに回答してもらうことによって、情報をパーソナライズして配信してくれるサービスです。

学生だけではなく、保護者の方向けの情報配信が可能になることなどが、LINE@スクールプレミアの魅力です。

――長福
「LINE@スクールプレミアでは、志望学部学科や地域などで絞り込んでメッセージを配信したり、1:1でトークをしていただくことも可能です。

教育機関にもLINE@が使われているのは非常に良い流れだと思っていますし、今後さらに加速していくのは間違いないですね。」

LINE@スクールプレミアがチャットボットで提供する価値とは

――LINE@スクールプレミア、実は来年の4月から新しいアップデートがされるそうですが、詳しくお聞きしたいです。

――本間
「LINE@スクールプレミアで、ある程度の出し分けが可能になったことで、学校はLINE@でユーザーに適切な情報を配信できるようになりました。

一方で、ユーザー側からチャットで問い合わせしたいケースもでてきます。スクールプレミアでは1:1機能でチャット自体はできるんですが、質問された内容に対して学校側は人力で返信する必要があります。

問い合わせに対してすべてを人が返信するのは効率が悪いので、そこを解決するために『hachidori』のチャットボットを導入させていただきました。」

問い合わせのチャットが大量にきても、たしかに対応できる限界は目にみえています。

チャットボットを導入することで、

  • 問い合わせ先がわからないときにボットに聞ける
  • 教育機関側の業務効率化につながる
  • チャットログを活用した行動解析

など、両者にとってメリットがあるんですね。

――長福
「もともとLINEがチャットボットを始めたのも、LINEをビジネス活用する方々が人力では手が回らず運用ができない、それをシステム化したい、というところから始まっています。チャットボットを活用することで、よりユーザーニーズに沿ったコミュニケーションを実現していけると思います。」

そこで気になるのは、数あるボットサービスのなかからなぜ『hachidori』を選んだのか、というところ。

――本間
「まず大きな決め手となったのは、導入事例が多いというところです。まだまだ世間的には事例が少ないチャットボットで、多くの経験とノウハウを持っているのは心強いです。

あとは導入のスピードと、カスタマイズの柔軟性です。こちらからの質問にも迅速に対応してくれて、安心してプロジェクトに集中できています。」

――伴
「弊社としても、まだまだ耳慣れないチャットボットを広めていくにあたり、手厚いサポートと適切な説明ができる営業部隊というのは、非常に重要な要素として感じていました。

弊社はツールを開発して、ディスコさんにサポートと営業をしてもらう、お互い目指しているものが一緒だというのも、今回話がスムーズに進んだ理由だと思います。」

チャットボットをより一般に広めていくにあたり、ただ導入するだけではなく、しっかりとサポートまで対応する、これが新しい技術を浸透させるために欠かせない要素だといいます。

――伴
「hachidoriはLINEのプラットフォーム上のチャットボットを強みにおいています。そして高校生に使われているチャットサービスもLINEがほとんどなんですね。

hachidoriとLINE@スクールプレミアの相性も非常に良いので、チャットボットを通してより適切な情報発信、ユーザービリティの向上を実現したいです。」

LINE × チャットボット、時代と共に変化するユーザーへのアプローチ

――LINEのプラットフォームとチャットボットの活用など、今後の展開がますます楽しみです。

――本間
「LINE@スクールプレミアはすでに100校を超える学校に導入していただいています。チャットボットの本格始動は来年の4月なので、さらに多くの導入とサポート支援をしていきたいですね。

今後はオープンキャンパスの受付などをビーコン経由でおこない、クーポンを配布するといった取り組みもしていきたいと思っています。」

学校にかぎらず、ビーコン、チャットボットを融合したサービスが増えていけば、チャットボットが”生活で使われる”ということもさらに期待できますね。

――伴
「チャットボットとIoTの連携はhachidoriとしても絡めていきたいと思っています。正直、チャットボットという新しい技術、サービスだけが単体でグロースしてもあまりワークしないんです。

AI、IoT、チャットボットなど、すべてのテクノロジーがトータルでグロースすることでより浸透しやすくなり、提供できる価値も広がっていくと思っています。」

トータルでグロースする必要がある、というのはこの時代にとって一番重要な考え方ですね。

LINEというプラットフォーム上でチャットボットが動き、それがIoTなどと連携することで、よりユーザーが求める価値を提供できる。

このサイクルが3社で回り始めようとしているタイミングでの対談は非常に貴重なお話を聞くことができました。今後もLINE、ディスコ、hachidoriがどのように連携してプロジェクトが進んでいくのか注目していきたいです。

長福さん、本間さん、伴さん、本日はお忙しい中ありがとうございました。

>> LINE@スクールプレミア