西武鉄道、AIや3D画像解析を用いて踏切内の人を検知 踏切の安全性向上

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画像はぱくたそより

西武鉄道株式会社は11月18日、西武池袋線の池袋第9号踏切など3箇所の人道踏切で、AI(人工知能)や3D画像解析により、「人」の滞留をはじめとした踏切内の異常を検知する導入試験を開始すると発表した。

本導入試験では異常を検知し、踏切に接近した列車へ停止信号を現示(異常検知システムと特殊信号発光機との連動)する。導入試験は12月14日から順次開始。なお、本AIは沖電気工業株式会社(OKI)らが手がけている。

西武鉄道は、踏切のさらなる安全性向上を目的に、踏切内の「人」を主な検知対象としたカメラ画像の解析による、踏切内の異常検知システムを複数メーカーと共同で開発してきた。約3年間にわたる精度検証の結果、安定した検知能力が確認できたという。

これまで、人道踏切内に「人」が取り残された場合、居合わせた人による非常ボタン押下が、列車に異常を知らせる確実かつ唯一の方法だった。

今回、導入する「踏切滞留AI監視システム」と「3D画像解析踏切監視システム」は「人」の検知性能に優れている。従来の支障検知装置と比較して容易かつ安価に設置できるため、踏切の安全性向上が期待される。

試験では、踏切内の異常(主に「人」の滞留)を検知した際に、特殊信号発光機を動作させ運転士へ危険を知らせる機能(検知システムと特殊信号発行機の連動)および、カメラにより遠隔でリアルタイムに踏切の状況を把握し、スムーズな安全確認を支援する機能を検証する。

【「踏切滞留AI監視システム」の特徴】

  • 踏切内の「人」を踏切カメラからAI処理し、物体の形状を認識する。
  • 自動車などの物体の滞留を検知する「物体検知」と、人の移動・滞留を検知する「骨格検知(※)」の複数のAIアルゴリズムにより、高い精度で素早く踏切道の人や自動車を検知する。
  • AIカメラに低照度カメラを採用し、夜間も鮮明な画像解析ができる。

(※)骨格検知:ディープラーニングによる画像中の関節点抽出、関節点の接続状態推定により、画像内の人の骨格を検知する。関節点間の繋がりの強さも学習対象とし、高精度での人の検出が可能。

【「3D画像解析踏切監視システム」の特徴】

  • 3Dカメラを使った高精度3D画像解析システムで踏切内に取り残された人を検知する。
  • 左右2つのレンズを内蔵した3Dカメラによる画像解析で、左右カメラの視差により人の目と同じように距離・高さ・ボリュームを認識するため、高精度な検知が可能。
  • 体積のない光や影を検知しないため、自然環境下に左右されない安定したパフォーマンスが期待できる。

【「踏切滞留AI監視システム」概要】

  • 設置場所:西武池袋線 1池袋第9号踏切(東京都豊島区西池袋 4-39-7)、西武池袋線 2所沢第3号踏切(埼玉県所沢市大字久米 759-12)
  • 試験期間:2021年12月14日(火)〜2022年3月31日(木)、2021年12月16日(木)〜2022年3月31日(木)※ともに予定
  • メーカー:沖電気工業(OKI)、丸紅ネットワークソリューションズ株式会社

【「3D画像解析踏切監視システム」概要】

  • 設置場所:西武新宿線 井荻第2号踏切(東京都杉並区上井草 1-33-1)
  • 試験期間:2021年12月21日(火)〜2022年3月31日(木)※予定
  • メーカー:株式会社コンピュータシステム研究所

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