人間はベストな“面接官”ではない ── AI面接官「SHaiN」で採用に革命を起こすタレントアンドアセスメント

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就職活動や転職で避けては通れない、面接。しかし、面接官との相性や、面接官の気分などの曖昧な理由で決まってしまう、なんて話も聞きます。

そんな面接の曖昧さを、AIで解決できるサービスが既に登場しています。株式会社タレントアンドアセスメントが提供する「SHaiN」は、すでに大手食品メーカーなど、23社が導入しているAIによる面接サービス。このAI面接官が、

  • なぜAI × 面接に目をつけたのか
  • どのような仕組みで動いているのか
  • ユーザーの声や導入効果

など、詳しいお話を、株式会社タレントアンドアセスメント 代表の山崎さんに伺ってきました。

人間が面接をおこなうことによる弊害

――なぜ、AIを面接に活用しようと思われたのでしょうか。

――山崎
「日本において、戦略的に面接を行なっている企業があまりにも少ないという課題感からです。AIであれば採用基準も平準化できますし、人間が持つようなバイアスもないため、まさに最適な面接官だろうと思いました。」

山崎さんによると、日本企業(もちろんすべてではない)の面接には、以下の問題点があるそう。

  • 一次面接と二次面接の質問が重複するなど、社内での情報共有が不足している
  • 応募者によって質問が変わる=全員違う試験問題で偏差値を図るのと同義
  • 圧迫面接で応募者に不快感を与える
  • 応募者過多により、特定の基準(学歴など)である程度足切りせざるを得ない
  • 面接官が確保できず、人事部以外の担当者が面接をおこなうことが多い=採用基準が統一できずミスマッチを引き起こす
  • 人間がおこなうため、相性やバイアスの存在が拭いきれない
  • 面接場所・時間が限られる=地理的な不公平

改めてみると、ものすごい問題だらけ……。よく就活シーズンに話題になる、圧迫面接や学歴フィルターなど、たしかに人が面接をおこなうからこその問題なんですね。

タレントアンドアセスメントが定義する“採用力”

――山崎
「インターネットが普及した現代では、応募者は無尽蔵にエントリーできてしまうため、企業側の負担が膨大になり、面接官をトレーニングする時間もない。その結果、採用力が落ちる構造になっています。」

タレントアンドアセスメントでは、以下の要素の掛け算を採用力と定義し、独自の戦略採用メソッドを構築しているそう。

  • 集める力(応募者数を集められる)
  • 選び抜く力(フィットする人材を選定できる)
  • 動機づける力(入社へのモチベーションを高められる)

    たとえば、応募者を集められても、選び抜く力が弱ければ、フィットしない人材ばかりを採用してしまうことになります。一方で、フィットする人材を採用できても、最終的にその人材に入社してもらえなければ、動機づける力が不足している、ということ。これらバランスをとり、最大値を目指すことが、採用力を上げる上で重要なんだとか。


    (c)Talent and Assessment Inc.
    3つの要素の最大値を目指すことで、採用力を底上げできる

    山崎さんによれば、日本の企業は面接を“科学”していないといいます。

    ――山崎
    「面接官から質問する際、

    • その質問をすることで応募者のどのような特性が分かるのか?
    • その質問は練習できないものなのか?

    ということをあまり考えないで面接をおこなってしまう企業が多い。

    短所と長所などの大抵の質問は、練習すればある程度は答えられるようになってしまうので、その人の本質を掴むことはできません。

    しかも大抵は、一次面接と二次面接で質問が被ってしまい無駄も多く発生します。この状況はなんとかしなければと思い、AIでやってみたらどうか、と思い立ちました。」

    AI面接官「SHaiN」とは?

    ――AI面接官サービス「SHaiN」についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

    ――山崎
    「SHaiNは、企業向けのサービスで、応募者はスマホにアプリをダウンロードすれば、時間や場所を選ばずに面接を受けることができます。面接の様子は、録音、撮影をして分析し、詳細なレポートを提出しています。」

    面接の場所や時間を選ばないのは、AIの大きな利点ですね。首都圏の企業と地方の学生や、逆に地方の企業と首都圏の学生のマッチングもおこなえるので、間接的に地方の雇用へのいい効果も期待できそうです。

    技術的な面では、バイタリティや対人影響力などの項目を分析しているとのことでしたが、具体的にはどういった技術を使っているのでしょうか?

    ――山崎
    「文字起こしの部分などに、複数のAIを活用しています。

    また、分析の部分ではやはり人間が介在する必要があるので、ヒアリングはAI、アセスメント(評価)は社内の専門スタッフがおこない、最終的なレポートを作成、という役割分担をおこなっています。」


    (c)Talent and Assessment Inc.
    実際のサービス稼働イメージ。ヒアリングはAI、評価は人間、と切り分けられている

    面接のパターンをAIが学習することで、「この答えを聞き出すにはどの質問が適切か」といった精度は上がり続けます。面接などの対人業務はAIに代替するのは難しいと思っていましたが、ここまでできれば十分に人から置き換えが可能なんですね。実際に、学生からの反応は好意的なものが多いそうです。

    気になる導入費用は、1レポート1万円。レポートのサンプルはこちらから見れますが、面接で出た情報をすべて書き起こし+それに対する各項目ごとの評価までしてくれます。

    面接の工数を削減できるばかりか、レポート納品までしてくれるので、圧倒的にコストと工数の削減が期待できますね。

    今後は海外展開・ビッグデータビジネスも視野に

    現在、日本語対応のみのSHaiNですが、今後は海外展開も視野に入れているそう。最近では、3,000万円の資金調達をおこなうなど、続々と事業を拡大しています。

    また、将来的には面接のデータを活かしてビッグデータビジネスにも挑戦していくと、山崎さん。大量の面接の音声・映像・テキストデータ、活用方法は無限にありそうです。

    一方で、なんでもAIでできると考えるのはやはり時期尚早。SHaiNでも、最終的な合否は企業の採用担当者が担っているように、自社サービスにAIを活用する際は、「どこをAIに任せ、どこを人間が担うのか」の判断を慎重にすべきでしょう。

    HR領域へのAI活用、引き続き動向を追っていきます。山崎さん、ありがとうございました。