全滅リスクがあるチョウザメ養殖、ソフトバンクらがAIなどで研究

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Photo by Hans Braxmeier on Pixabay

高級食材のひとつ「キャビア」は、チョウザメの卵だ。しかし、そのチョウザメの養殖方法は確立されておらず、環境の変化によっては全滅する可能性があるという。

国立大学法人北海道大学大学院水産科学研究院とソフトバンク株式会社は2月13日、今年2月からIoTやAI(人工知能)を用いたチョウザメのスマート養殖共同研究プロジェクトの開始を発表した。このプロジェクトでは低コストかつ効率的な養殖方法の確立を目指している。

高い飼育コストと監視体制の構築などが課題

チョウザメの養殖は、卵を産むまでに6年以上の飼育が必要だ。さらに、雌雄の区別が可能になるまで2~3年の期間を要するため、非常に高い飼育コストがかかる。くわえて、養殖環境が変化するだけで全滅するといったリスクもある。このため、チョウザメの養殖には飼育員による長期間の監視を求められていた。

北海道大学とソフトバンクが共同研究で、IoTやAIなどを用いて行動を解析することで、チョウザメの養殖における各種リスクお軽減や課題の解決をねらう。

主な研究は、機械学習(Machine Learning)を用いるチョウザメの個体識別や行動分析だ。異常行動の早期発見、病気のまん延防止、水流停止や餌の供給過多のような養殖環境の異常を検知し、全滅を防ぐ方法の研究をする。

また、水中や水上の画像データや環境情報データなどを、IoT機器によってリアルタイムに収集および分析。さらに、水流のシミュレーションとCGで再現したチョウザメの筋骨格モデルによって、さまざまな仮想環境による個体の泳法の3DCGによるシミュレーションデータを使用する。なお、魚の骨格、筋肉などから生成するチョウザメの3DCGモデルは、従来のアニメーションのためのモデルとは異なり、魚生物学シミュレーションを可能にするリアルな筋骨格3DCGを再現する予定だ。

共同研究の流れ。画像はプレスリリースより

本共同研究によって低価格での実現方法を確立させるだけでなく、IoTやAIを用いた養殖方法の確立を目指すことで、水産分野における各種テクノロジーの可能性、そして実現性を検証していく。

実施期間は2020年2月1日から2023年1月31日までの3年間となっている。

>>ソフトバンク プレスリリース

増加する魚介類消費量を補うには養殖業の事業安定化が必要

水産資源における問題はチョウザメだけの話ではない。いま、世界では魚介類の消費量が増えている。天然資源の漁獲が増えれば、世界中の水産資源が枯渇し、生態系に大きな影響を与えるとされる。

以前、水産ベンチャーのウミトロンは宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、気候変動観測衛星「しきさい」の観測データの水産養殖の現場への活用を検証していると発表された。人工衛星データとAIやIoTと組み合わせ、赤潮など自然環境に左右されやすい水産養殖業の経営安定化を目指すという。

人工衛星から取得される広域データが全地球的に活用できるようになれば、赤潮対策のための体制構築が進んでいない地域にとっても、リスク低減に向けて有用だとされる。