ソフトバンクグループ、初めて日本企業に投資 孫正義さんは何を語る?

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画像は2022年3月期 第1四半期 決算説明会より

ソフトバンクグループ株式会社は、AI(人工知能)企業への投資で知られる「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」において、バイオベンチャー企業であるアキュリスファーマ株式会社への総額68億円の資金調達を主導した。ソフトバンクグループが日本企業に投資するのは初である。アキュリスファーマが10月29日に発表した。

今回の資金調達はキャタリスパシフィック、HBM Healthcare Investments、Global Founders Capital、三井住友トラスト・インベストメント、ANRIが参加するシリーズAラウンド。

アキュリスファーマは、フランスのBioprojet Pharmaとの間で、睡眠障害分野において米国・欧州で各当局の承認を受け、すでに臨床現場で使用されているヒスタミンH3受容体拮抗(きっこう)薬/逆作動薬「pitolisant」に関する日本での独占的開発・商業化に関するライセンス契約を締結した。今後はAIなどのデジタル技術を活用した取り組みを進めるという。

ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズの前マネージング・パートナーで、ソフトバンクグループのマネージング・ディレクターである松井健太郎氏は「Vision Fund 2として初の日本での投資先となるアキュリスファーマが、睡眠障害に対して革新的な医薬品と、AI・デジタル技術を駆使したbeyond-the-pill solutions(薬を超える解決策)を届けられると私たちは確信しています」とコメント。

続けて、「不眠症やナルコレプシーなどの睡眠障害は全世界で何百万人もの人々に影響を及ぼしており、日本でも睡眠障害にともなう社会経済的損失は年間10兆円を超えると言われています。キャタリスパシフィックとともに、綱場氏やアキュリスチームのパートナーとなり、日本の患者さんのために神経・精神疾患領域の医薬品を開発するという彼らのミッションをこれから支援出来ることをうれしく思います」と述べている。

アキュリスファーマの共同創業者、代表取締役社長兼CEOである綱場一成氏は「睡眠障害に対して新しい作用機序を持った治療薬であるpitolisantを日本国内に導入するためにBioprojet社と提携できることをうれしく思います。また、私たちの志に賛同して下さった国内外の機関投資家の力強いご支援に感謝いたします。我々アキュリスファーマは治療のみならず、広く睡眠障害分野の医療に変革をもたらし、一人でも多くの患者さんが自分らしい生活そして人生を送られるよう、これから全力で取り組んで参ります」と意気込む。

アキュリスファーマの創業時のCEOであり、取締役会会長兼代表取締役であるBT スリングスビー氏は「神経・精神疾患で苦しむ患者さんに革新的な新薬を届ける第一歩を踏み出せたことを、とてもうれしく思っております。カンパニー・クリエーション及びアーリーステージのライフサイエンス投資に特化した日本で数少ないベンチャーキャピタルとして、アキュリスファーマの設立及び資金調達を綱場氏と共に行なう機会に恵まれたこと、また、今後同社の卓越した医薬品開発チームと協業することを大変喜ばしく感じております」と語った。

なお、ソフトバンクグループは11月8日の16時30分から、2022年3月期 第2四半期 決算説明会を実施する。代表取締役 会長兼社長執行役員 孫正義さんが日本企業への初となる本投資について、何を語るのかが注目される。Ledge.ai編集部では詳細を報じる予定である。

>>ニュースリリース

孫正義さんは2022年3月期 第2四半期 決算説明会の質疑応答のなかで、日本企業への投資について「ぜひ日本企業への投資を増やしていきたい。3000社ぐらいの会社をパイプラインとして常にディールフロー(投資機会の流れ)を見ているが、あまりにも日本企業が少なすぎる。かねてより私も残念だと思っていた」と語った。

「すでに(日本企業への投資として)2号の会社とは具体的な投資の条件、手続きを進めている最中だ。2号は必ず近いうちに登場する。他にもいくつかまさに検討中の会社があるので、これから日本の銘柄も徐々に増えていくと信じている。ぜひわれわれも応援していきたい。心から願っている」

※一部、加筆しました。(11月9日 11時07分)