株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(以下、ソニーCSL)は3月24日、AIアシスト楽曲制作プロジェクトFlow Machines(以下、FM)によるサービスの開始を発表した。
FMは、機械学習や信号処理技術でアーティストと共に、いくつものスタイルの新たな音楽の生成に取り組んでいた。そのFMの核となっているのは、AIアシスト楽曲制作ツールFlow Machines Professional(以下、FM Pro)だ。さまざまな音楽を解析して構成された音楽ルールに加え、先端ソフトウェア技術を用いて、クリエイターの構想のもと多様なスタイルのメロディーを自由自在に生成できる。
作曲者の作りたいスタイルに合わせたメロディー、コード、ベースを提案
FM Proは作曲に特化したツールで、作曲者の作りたいスタイルに合わせたメロディー、コード、ベースを提案してくれるAIだ。FM Proには曲のスタイルを表現するスタイルパレットという独自の概念がある。このスタイルパレットは、ソニーCSLが開発した音楽データを解析した機械学習モデルだ。
楽曲の制作は、作りたい曲のコード進行にあわせてスタイルパレットを選択。選択したコード進行にあわせたメロディー、コード、ベースが連動した4小節×4パターンもしくは8小節×2パターンの曲をAIが提示する。また、何度でも新しい候補に更新することもでき、複数のパターンを1小節ずつ組み合わせる機能も備える。
気に入った音楽はMIDIデータとして使用可能だ。MIDIデータなので、作曲家自身であとから微調整できる。
もちろん、曲全体をFM Proで作る必要もなく、サビ部分だけ……といった部分的に活用するユースケースも見込んでいる。
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AIで顔イラストを生成し絵師が全身を制作
ソニーCSLのFMのように、人とAIがいっしょに“何か”を作る取り組みはクリエイティブ分野では注目が集まっている。
たとえば、2019年12月には、株式会社ラディウス・ファイブは、AIの特性と人(絵師)の特性を活かしたハイブリッドな全身イラスト制作サービス「彩ちゃん+」(読み:さいちゃんぷらす)の提供開始を発表した。
彩ちゃん+は、AIだけで実現するには難易度が高い全身のイラストを人(絵師)との共同作業にすることによって“速やか”に実現するという。一般的なイラスト制作に比べ、1/3の時間、1/3の料金で制作することが可能にもかかわらず、高品質な全身イラストを制作できる。
制作されたイラストを自由に使えることも特徴で、個人・ビジネス問わずさまざまなシーンで利用可能。個人利用であれば、同人ゲームのキャラ素材としてだったり、SNSのアイコンなどに使えたりする。一方ビジネスユースなら、各種ゲームのキャラクター、広告などの素材、さらにはVtuber用としての使用も考えられる。