株式会社スペースデータは8月3日、シードラウンドとして複数の投資家から総額14.2億円の資金調達を完了したと発表した。外部からの増資による資金調達は今回が初だ。
今回調達した資金で、世界中で急拡大するメタバースやデジタルツインの需要に対応して、さまざまなソリューションを提供するとしている。最終的には、交通量・人通り・昼夜・四季・気温・植物分布・夜間光量など現実世界のあらゆるデータを取り込んで、限りなくリアルタイムの現実に近い「並行世界」をコンピューター上に再現するAIに進化させるという。
3DCG技術で石・鉄・植物・ガラスなどの細かな材質も自動的に再現
スペースデータは、衛星データと3DCG技術を活用してバーチャル空間に現実そっくりの仮想空間を自動生成するAIを開発している宇宙関連スタートアップだ。
人工衛星から取得した地上の静止画像と標高データに機械学習を実施し、地上の構造物を自動で検出・分類・構造化した上で、AIに地上の3Dモデルを自動生成させ、3DCG技術で石・鉄・植物・ガラスなどの細かな材質も自動的に再現し、1つのシステムとして統合している。
AIが自動生成したバーチャル新宿はこちら。
従来の3D地球儀は衛星写真や航空写真を3Dモデルに貼り付けたものが一般的だった。俯瞰的な視点での地上を再現するには向いている一方で、人間が歩く一人称視点では写真の解像度が足りず劣化してしまい、VR・ゲーム・映像制作・自動運転など高度なビジュアルが求められる領域では活用が進んでいなかった。
今回開発したAIアルゴリズムは、従来の3D地球儀が苦手とする人間視点(一人称視点)での3Dモデルを自動生成することを得意とし、近い距離でも景観が劣化しにくいためVRやゲームや映像制作といった三次元空間を人間の視点で動き回るような用途にも活用しやすいという。
衛星データに機械学習をかけて地上の構造物の意味(物体の種類・形状・色・材質・高さ・広さ・役割など)をシステムに理解させた上で3Dモデルとして再変換をかけているため、物体に近づいても景観を劣化させずに表現できるという(特許出願済)。
メタバースやデジタルツインといった3D仮想空間技術はまだ黎明期であり、VRやゲームなどの消費者向け需要から、都市開発や自動運転などの大企業の需要、防衛防災や宇宙開発などの国家の需要まで、本AIアルゴリズムは多種多様な領域への応用が期待できるとしている。
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