AIで衛星データからバーチャル空間にニューヨークを自動生成 今後は無償提供予定

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株式会社スペースデータは10月13日、衛星データと3DCGを活用してバーチャル空間に世界を自動生成するAI(人工知能)を開発し、アメリカ合衆国のニューヨーク市のマンハッタン地区を自動生成したと発表。

これまでは日本の都市部を中心に生成してきたが、今回の実験でグローバルに対応可能になった。今後はAIで自動生成したさまざまな地域の3Dモデルを公開していき、誰でも無料で使えるように無償提供予定という。

本技術は人工衛星から取得できる地上の静止画像と標高データ(DEM・DSM)に機械学習させ、地上の構造物を自動で検出・分類・構造化する。AIに地上の3Dモデルを自動生成させ、3DCG技術で石・鉄・植物・ガラスなどの細かな材質も自動的に再現。これらを1つのシステムとして統合することで実現している。

「Google Earth」に代表される従来の3D地球儀は衛星写真や航空写真を3Dモデルに貼り付けた形で提供されることが一般的だった。従来の3D地球儀は見下ろす視点での地上を再現するには向くものの、人間が歩く一人称視点では写真の解像度が足りず劣化してしまう。VR・ゲーム・映像制作・自動運転など高度なビジュアルが求められる領域では活用が進んでいなかった。

今回開発したAIアルゴリズムは、従来の3D地球儀が苦手とする人間視点(一人称視点)での3Dモデルを自動生成することを得意とする。近い距離でも景観が劣化しにくいため、VRやゲームや映像制作といった三次元空間を人間の視点で動き回るような用途にも活用しやすいという。

従来の3D地球儀だと写真に写り込んだ看板や広告などの肖像権や著作権を犯した状態で提供されることが大半で、企業がそのまま活用するのは法的にグレーな状態が続いていた。今回は地上の構造物を学習させたうえで、AIで看板などを除いた3Dモデルを自動生成しており、従来のグレーゾーンの問題も気にせずに利用できるとしている。

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