コロナ禍に「爆破予告」が急増している

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株式会社Specteeは10月7日、人工知能(AI)リアルタイム危機管理サービス「Spectee Pro」を活用し、「爆破予告」についての調査結果を発表した。この1年間に情報を覚知した爆破予告をグラフ化することで傾向を可視化し、その背景に何があるのかを考察している。

緊急事態宣言解除後に「爆破予告」が急増

爆破予告SNS覚知件数

まずは、2019年10月1日〜2020年9月30日の1年間の爆破予告覚知件数を、予告対象機関ごとに分けて表示した。2020年5月までは月に10件以下だったが、2020年6月を境に急増している。具体的には、6月は12件、7月は30件、8月は45件、9月は62件だ。

2020年6月以降のデータを見ると、爆破予告の対象とされるのは「教育機関」がもっとも多く、次に「自治体・行政機関」が標的とされているとわかる。なお、「複数対象」は、たとえば「県内すべての学校と役所を爆破する」のように、特定施設を指定しないものが当てはまる。

教育機関では大学を狙ったものが7割

教育機関における爆破予告SNS覚知件数

次は、対象としてもっとも多かった「教育機関」の内訳を調査した。総件数のうち、「高校」を対象としてものは12%だが、「大学」を対象としたものは69%も占める。

とくに、2020年6月以降のデータを見ると、6月は4件のうち2件、7月は19件のうち15件、8月は22件のうち20件、9月は27件のうち18件が「大学」を対象としたものだ。

なお、「複数の学校(12%)」は「市内の小中学校すべて」というような予告のケースを指す。

件数では大阪、割合では島根県が最多

都道府県別100万人あたりの爆破予告SNS覚知件数

都道府県別に見ると、教育機関に対する爆破予告13件を含む、17件があった大阪府の数字がやや突出して見える。しかし、100万人あたりの爆破予告の件数で見ると、大阪府は10位。割合で言うと、比較的人口が少ないながらも、6件の予告があった島根県がもっとも多い結果になった。

ただし、数字はSNS解析にもとづく覚知件数であり、SNSに投稿されていないものなど、実際の各都道府県での発生件数とは若干のずれがあるとしている。

大学生活のつらい思いが「爆破予告」につながっている?

Specteeは、2020年6月頃から急増していることを受け、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるストレスが、爆破予告に何らかの影響を及ぼしているのではないかと指摘する。

とくに、大学に対しての爆破予告が多い背景としては、小中高校については5月25日の緊急事態宣言の解除以降、一部または全面的に登校が再開されたものの、大学はオンライン授業を継続しているところが多いことが挙げられる。

大学生活は、ただ単に授業を受けるだけではなく、ゼミやサークルなどでの活動における友人や先輩・後輩との交流も大切な要素と言える。Specteeは「とりわけ新入生は友人を作る間もなく自粛生活に入ってしまったことから、つらい思いをされている人も多いと思われ、そうしたストレスや不満から大学を対象とした『爆破予告』につながってしまっているかもしれません」と考察している。

>>ニュースリリース

コロナ禍に男性「仕事時間の増加」うつリスク約3.3倍

東京大学大学院医学系研究科 健康教育・社会学分野教室(近藤尚己 准教授)が8月13日に発表した学術論文でも、緊急事態宣言期間中に男性の32.4%、女性の45.9%がうつ傾向になったと判明している。

具体的には、生活習慣の変化とうつ傾向の関連を調べると、男性は「仕事時間の増加」でうつ傾向のリスクが約3.3倍に。女性は「子育て時間の増加」「緊急事態宣言中の歩数現象」ともに、うつ傾向のリスクが1.3倍になっている。一方で、女性は「在宅ワークへのシフト」をした人は、そうでない人と比べて、うつ傾向のリスクが0.7倍(約26%減)になった。

このような研究結果を踏まえると、新型コロナウイルス感染症によるストレスが、爆破予告に影響を及ぼしているのではないかとするSpecteeの考察も、あながち間違いでもないかもしれない。新型コロナウイルス感染症によるストレスは以前から懸念されていた。爆破予告の増加を食い止めるためにも、ストレス軽減は急務と考えられる。