株式会社Happy Qualityは2月5日、静岡大学との共同研究である、AI(人工知能)の判断に基づく灌水(かんすい)制御によって糖度トマトを高い可販果率での生産成功を発表した。
プレスリリース(PR TIMES)
高品質・高機能な農作物を誰でも安定的に栽培へ
トマトは栽培過程で適度な水分ストレスを与えることで高糖度な果実を栽培できることが知られているそうだ。
そこで2017年度に植物の水分ストレスは植物のしおれ具合から把握できると仮定。低解像度の草姿画像や温度、湿度、明るさといった比較的収集の容易なデータを使用して、植物の茎の太さ(茎径)の変化量を高精度に予測するAIの研究開発に成功した。
2018年度の共同栽培実験では、AIの判断に基づく灌水制御によって高糖度な中玉トマトを低負担かつ大量安定生産できることを実証した。
そして研究開発と実証実験の結果、AIの判断に基づいた灌水制御では平均糖度9.46の高糖度トマトを、バラつきを抑えて容易に栽培できることを示した。さらに、急な天候変化に追従した適切な灌水制御によって、従来の日射比例方式による灌水制御に比べ果実の裂果を大幅に減らし、高糖度トマトを高い可販果率(95%)で生産できることも確認している。
中玉トマト低段密植養液栽培実験の結果
中玉トマト低段密植養液栽培実験の結果
Happy Quality社では、AIなどのテクノロジーを活用することにより高品質・高機能な農作物を誰でも安定的に栽培できる栽培技術の確立を目指している。これには高齢化に伴う農家の減少、新規就農者が技術の未熟さゆえに低所得を脱却できないといった農業界における社会課題を実感していたからだそうだ。
ちなみに、Happy Quality社が販売するトマト「Hapitoma」は、光センサー選果機によって一粒ずつ糖度・形・リコピンを計測、選別し、厳しい基準をクリアしたトマトという。リコピンは通常のトマトの2倍以上のもののみを採用し、糖度別に6度から10度のラインナップを用意。お好みに合わせて選べるとのこと。
ドローンを使って畑の見回りと農薬散布
2018年にLedge.aiはキャベツ収量予測の実証実験を進めるスカイマティクスに対して取材している。同社が実施しているのはドローンで上空からキャベツを撮影し、膨大な量の画像をつなぎ合わせてAIで解析。将来的にはキャベツの育成状況から収量の予測を目指すプロジェクトだ。
上空から撮影した写真をつなぎ合わせ、圃場全体を1枚の高解像画像にまとめる。キャベツを1個ずつ分析できるほど解像度に仕上がるので、育成状態が悪いエリアなどの判別も容易。しかも圃場巡回の時間も削減される。
育成状況を把握したことで、これまで「勘頼み」だった収穫予測などにも役立てられるそうだ。