月30万5000円のベーシックインカム実現なるか 5年前に否決されたスイスで再び動き

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カリフォルニア州オークランド市の実験によると、ベーシックインカムは精神面にも良い影響を与えるという(Unsplashより)

スイスにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)の導入に向けた動きが再び始まった。発起委員会はスイスに住むすべての人々に月々約2500スイスフラン(約30万5000円)の支給を目指している。Swissinfo各国版が報じた。

近年、世界各国でベーシックインカムに熱いまなざしが向けられている。AI(人工知能)の進歩はもちろん、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう不景気や失業率の悪化、少子高齢化や格差拡大などの社会的背景による影響も大きい。

スイスでは2016年、ベーシックインカム導入の是非を問う国民投票を実施し、有権者の76.9%が反対に投じて否決された。今回、発起委員会は既存の税収や社会福祉制度に加え、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字)などの多国籍企業も貢献すべきだとしており、資金調達の方法をより明確にした。

スイスは直接民主制を採用しており、ベーシックインカムのみならず、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなうロックダウン、同性婚などについて国民投票を実施している。最近では同性婚の法制化に関する国民投票を実施し、賛成が64.1%と半数を超えた。AFPBB Newsの報道によると、同性婚の法制化は2022年7月1日から可能となるという。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう不景気や失業率の悪化などにより、2016年当時よりベーシックインカムは多くの人々に聞き慣れた存在なっていると言える。Swissinfoの報道によると、3年以内に有権者による署名10万筆を集めればイニシアチブ(国民発議)が成立し、国民投票に進められるという。今後の動向を見守りたい。

>> Swissinfoによる報道

>>米Business Insiderによる報道

>>AFPBB Newsによる報道