「あなたの会社のコールセンター、本当に大丈夫ですか?」AI自動音声応答で1兆円市場に挑むTACT社長が語る

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コールセンターの市場規模を知っているだろうか。日本流通産業新聞社が2019年10月に発表した「第26回コールセンター売上高調査(2018年度)」によれば、合計売上高は約1兆1000億円だったという。また、前年度比の伸び率は約5%もあるそうだ(外部サイト)。

この売上高は電話応対業務を受託するコールセンター企業を対象としたもので、内製でコールセンター業務をしている企業も含めれば、市場全体で2兆円近くの規模をもっているとされる。

しかし、これだけの巨大市場にもかかわらず、離職率の高さや採用難による人的コストが増えているなど、コールセンターに対してあまりいい印象のニュースは見えてこない。

そのコールセンター業界を救うプロダクトを提供している会社がある。株式会社 TACT(外部サイト)だ。AIコンシェルジュなどのソリューションによって、コールセンター業界の課題解決を目指す。そんな同社の代表取締役社長・溝辺和広氏にコールセンターの実情から、AIならではのメリットなどを聞いた。


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チャットボットだけでは課題を解決できないのでは?

――溝辺
「コールセンターに来る問い合わせの約70%は、ウェブサイトやパンフレットなどにすでに記載されていることなんです。極論かもしれませんけど、市場全体の合計売上高の7割、1兆4000億円が“調べれば誰でもわかること”に使われているとも言えなくはないですよね。1兆円以上の問い合わせに対する返答を自動化できれば、コールセンターの抱える課題の解決につながると思うんです」

コールセンターの課題のひとつである離職率の高さ、その理由は「クレーム対応による精神的ストレス」だけではないとされる。給料の低さ、昇給が見込めない、単純作業の繰り返し、将来的なキャリアが限定されている、なども要因にあるそうだ。

ところが、先にも触れたとおり市場規模は上向きだ。毎年のように伸びている業界にもかかわらず、なぜその課題を解決できないのだろうか。

3年ほど前、TACT(旧:U-NEXTマーケティング)がコールセンター市場に乗り出そうとしたとき、他社同様にチャットボットで参入しようとしていた。ただ、チャットボットだけでは課題の解決につながらない、市場参入が難しいと考えた。

――溝辺
「1兆円を超し、伸びている市場で何が起きているかというと、企業が利益をコールセンターの運営コストに充てているんです。ツール提供ベンダーからすれば、お金が欲しいわけで、ある意味で“食い物”として見られているんです。その中のひとつが、チャットボット。導入している企業は多いですけど、電話ユーザーはそもそもウェブサイトなどを見ないので電話が減るどころか、チャットボットを加えた全体の問い合わせ数が増えてしまうこともありました。そうすると離職率が高い、人的コストが減らないなどの話題は消えないですよね。

そもそもチャットボットは利用者が“文章を読む“必要があるんです。ですが、文章を読むことは難しいんですよ。文章を読むなら、ウェブサイトやパンフレットに記載されている内容について7割も問い合わせないですよね。だから、私たちはコールセンター向けのテクノロジーとしてチャットボットではなく『音声』に注目しました」

音声に着目した結果、生まれたのがAIコンシェルジュだ。AIコンシェルジュは、人間の応答のように声で問い合わせ内容を聞き、音声合成によって問い合わせに対して返答するものだ。

聞いた音声は人が文字起こしをして正誤確認

AIコンシェルジュの導入事例をいくつか紹介してもらった。

――溝辺
「オペレーター約13人分の業務自動化、受電率約99%を記録した『コープこうべ』での事例があります。

コープこうべは、世界的にも最大級の生活協同組合です。商品カタログから注文された商品を、決まった日に定期宅配するサービスなどを展開しています。以前はプッシュ入力によって注文を自動受付していましたが、打ち間違いなどによる入力のストレスがあると言われていました。また、待ち時間が発生するなど、電話がつながりにくい状況もあったそうです」

コープは、妊婦や高齢者など、買い物に行くことが難しい人から利用されることも多い。受電数は1日あたり700件ほどあるそうで、生活インフラのひとつと言っても過言ではない。

――溝辺
「AIコンシェルジュを導入したことで、ピーク時でも高い受電率を達成できました。また、プッシュ入力に比べて注文を受け付けて完了させた比率も、従来は35%だったところ70%までアップしたんです。

音声を使ったプロダクトで重要なのは音声認識率です。コープこうべの場合は、『組合員特定』『電話番号』『品番・数量特定』を正確に認識する必要があります。コープこうべの事例に限りませんが、TACTでは音声認識とテキスト内容が正しいかどうか、実際に人が聞いて判断させる学習方法を採用しました。具体的には、人間も実際の音声を聞き、文字に起こしています。学習の繰り返しにより、認識率は平均で95%と高い精度を維持しています」

AIコンシェルジュを利用する際の流れ。基幹データベースと自動照合しながら人を介さずに自動で配達手配まで行なう

どのAIにおいても判断や判定する人材は必要だが、文字起こしをして正誤を確かめるほど“アナログ”なスタイルで取り組むのはなかなかできることではない。さらにTACTでは、導入後もチューニング(学習)を重ねるため正確さが増すそうだ。

余談だが、コープこうべは以前、大手ベンダーのプッシュ式の自動応答プロダクトを利用していたそうだが、TACTのAIコンシェルジュの正確性などを理由に新たに採用したという。

クレーマーはAIが応答すればクレームを入れない

溝辺氏はコールセンターにAIコンシェルジュを導入したことで、応対の自動化による省人化・効率化だけでなく副次的な効果もあったと話してくれた。

――溝辺
「コールセンターという仕事へのマイナスイメージに『クレーム対応』がありますよね。日々クレーム対応に追われると、精神的にも疲弊してしまいます。ですが、AIコンシェルジュはクレームを受けづらいという効果もあったんです」

クレームに関わる話はコールセンターにおいて切っても切れない存在。次に、明治産業における物件のガス開栓・閉栓に伴う受付をAIコンシェルジュで自動化した事例を話してくれた。

――溝辺
「ガスの開栓や閉栓工事は、主に物件の入居・退去時に必要とされますよね。その際に連絡するのがコールセンターなのですが、明治産業では入居・退去の受付のみならず、別に課題を抱えていたんです。それはガス料金未納者からの連絡と対応です。

ガスが止まってしまうと当事者は焦りに焦るため、すぐに支払通知書をコンビニなどに持ち込んで支払います。ただ、支払ったとはいえ、即座にガスが開栓するわけではありません。なので、料金を支払ったにもかかわらず、ガスを使えない状況に憤り、コールセンターにクレームを入れるそうです」

開栓には、ガス業者による工事が必要なので、料金を支払ってもすぐに使えるようになるわけではない。たとえば、金曜日の夜中にコンビニに駆け込んで支払ったとしても、翌営業日まで工事を待つ必要があるのだ。それこそ土日は休みの業者が多いため、月曜日までガスが使えないことがある。

――溝辺
「こういったクレームに人が応対すると、ひどい場合で1時間以上にもわたり相手をするケースもあります。当然、業者や会社側に落ち度がある場合はクレームに納得できるかもしれませんが、未納によるガスが使えなくなったのは顧客側の不注意で発生したことです。しかも、未納によって閉栓するのも開栓するのにも人件費など工賃はかかります。クレーム対応にかかるストレス以外にも会社としてダメージは少なくないのです」

オペレーターがクレームを処理するのは非常に苦労する。ひたすら文句を言われ続けるのは、いくら仕事としてお金をもらえるからといって楽しんでできる内容ではないだろう。

ところが、明治産業がAIコンシェルジュを入居受付業務に導入したところ、ガス料金未納者の反応が大きく変わったそうだ。

――溝辺
「入居・退去の受付希望者に加え、未納顧客もAIコンシェルジュに開栓の申込みをするケースがありました。以前までは、ガス開栓を即時求め、クレームを入れられたケースでも、AIコンシェルジュが『月曜日の午前10時以降で、都合のよろしい時間を教えてください』と言うと、『月曜の10時でお願いします』のように返事も丁寧になり、納得いただけるようになったそうです。AIに対してどれだけ文句を言おうと意味がないと理解しているからでしょう」

明治産業における、AIコンシェルジュの特に大きい導入メリットは、受電件数が導入前よりも130%増加(※)したものの、稼働時間は導入前より30%減少したことであった。この差分はそのまま会社にとっての利益になる。
※受電件数が増えたのは、供給物件数や対応範囲が増えたため

また、人による通話時間はなんと0秒。入居・退去時はすべてAIコンシェルジュが対応しているからだ。オペレーターはAIがヒアリングした情報をチェックするフローに切り替わったそうだ。これにより、正確な情報登録と開栓作業の効率化を実現したとのこと。

問い合わせに対して、AIが質問をしていく形式。日付の認識も「明日」「明後日」などの複数の言い回しにも対応

さらに、溝辺氏はAIコンシェルジュ導入までの経緯について次のように言う。

――溝辺
「明治産業の場合、コールセンターの実情をしっかり把握していたから見抜けた、そこに対して導入したことが成果を出したと思います。上層部がしっかり現場を理解していたからこそ、クレームが減ったり、受電件数は増えたのに稼働時間は減ったりしました。後日聞いた話ですが、社員の離職率も大きく減らせたそうです」

あなたの会社のコールセンターは大丈夫ですか?

溝辺氏に対して取材を進めていたら、ちゃぶ台をひっくり返すような発言があった。

――溝辺
「正直、AIコンシェルジュはないほうが世の中的に良いと思うんです。全員が全員、文字や文章を認識して理解すれば、コールセンターすらも不要になりますよね。だけど、認識や理解が苦手な人が多すぎるんです。だからこそ、コールセンターもあるし、それにともなってAIコンシェルジュも作りました」

さらに続けて次のように話す。

――溝辺
認識や理解ができない人が増えると、破綻する業種も現れてきます。たとえば、格安航空会社。格安のエアチケットは、利用者が手厚いサポートを求めないかわりに価格を下げているのに、コールセンターには大量に問い合わせが来るそうです。それこそ『ターミナルのどこに行けばいいですか』という話もよくある例です。

スマホが発達して、調べればコールセンターに電話するよりも早くわかるのに、それでも問い合わせる人がいるんです。こういった対応に毎回追われていると、格安航空会社が成り立ちません。大手航空会社と同様のサポートを求めるのは酷すぎます。挙句、クレーム処理もこなすようになれば、オペレーターの負担が増え、離職につながりますよね。そして、新たに採用して教育するコストをかけることになる。これって、無駄なお金ではないですか?」

コールセンターでは、繁忙期のみに一時的に人を大量採用することもあるそうだ。たとえば、引っ越しにおけるコールセンター。引っ越し業界では、3月前後が繁忙期。前年12月から1月に人を大量に雇い、1ヵ月半近く教育する。2月末ごろから4月にかけてオペレーターとして働いてもらう。閑散期に近づくゴールデンウイーク前後で業務が終わる。これを毎年繰り返している会社もあるという。

――溝辺
コールセンターへの採用コストも教育コストも安くはない。なのに毎年のようにお金を使う企業があります。ですが、こういう企業に限ってコールセンターの実情を認識していないんです。なぜならコールセンターへの予算は固定化される不変かつ不動の扱いをされているから。

私は言いたいんですよ。会社全体の売り上げを伸ばす挑戦もいいですけど、無駄に溶かしているコストはありませんか? あなたの会社のコールセンターは大丈夫ですか? ということを……」

今後、TACTのAIコンシェルジュはこれまで以上にさまざまな場面・シーンで事例を作ることを狙っている。これは、コールセンター市場に限らず、オムニチャネルに機能を追加していくそうだ。

また、溝辺氏自身もAIコンシェルジュだけで企業が抱える課題を解決できるとは思っていない。そのタイミング、その企業、その課題に対応できるプロダクトを開発し、展開していくという。それこそ、コールセンターの課題をすべて解決はできなさそうだったチャットボットも、使い方、使い道などを見つめなおせば最大限の力を発揮できる場所が見つかるだろう。


AIコンシェルジュの課題を克服する新サービスを発表

そんななか、TACTは1月15日に「AIコンシェルジュ for チャットボット(AICチャットボット)」のサービスを開始した。

本インタビューでも聞いたように、「過去にチャットボットサービスの提供を検討していたが、電話による問い合わせが中心のユーザーを対象としていたため、PC操作が必須のチャットボットだけではコールセンターが抱えている課題の解決につながらない、市場導入が難しい」と考えていた。

だが、AIコンシェルジュの導入を進めているうちに、「電話による音声応答が主だったAIコンシェルジュ単体では、操作方法や故障状況などの複雑な説明を伝達しづらい」という課題が新たに見つかったそうだ。その点チャットボットなら、動画や画像による視覚的コンテンツを組み合わせて提供できる。

受け答えとしてのAIコンシェルジュ、説明などが目的のAICコンシェルジュ(チャットボット)の二軸展開で、今後のTACTはさまざまな市場の効率化や改善を狙っていきそうだ。

>> 株式会社 TACT