AIで画像から数秒で点字に翻訳するサービス無料体験開始 視覚障害者が素早く手紙などを把握

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高専発スタートアップ企業のTAKAO AI株式会社は10月20日、画像データから自動で点字に翻訳する点訳エンジン「:::doc(てんどっく)」の開発、実用化に成功したと発表。デモサイト上で無料体験サービスを提供開始した。

本自動点訳エンジンは、入力した画像データを独自開発のAI(人工知能)モデルで解析し、全自動で点字に翻訳する。スマートフォンやパソコンのブラウザ上に撮影した写真をアップロードするだけで、数秒後には点訳結果が画面に表示される。

ディープラーニング(深層学習)などの手法を用いて画像の認識精度の向上、処理時間の高速化、読み取った文字・写真やレイアウト情報から要約文章の生成や一部の代表的な情報を重点的に点訳するなど、視覚に訴える情報のコンテキストを反映した自動翻訳を実現した。

日常的に身近で受け取る学校からの手紙、地域イベントのお知らせ、周辺スーパーチラシの特売情報などの印刷物を視覚障害者は他人を介さず、タイムリーに内容を把握できる。

従来の点字翻訳は点字技能を有する晴眼者(せいがんしゃ、目の見える人)が1文字ずつ点字に置き換える作業が基本であり、点字に対する深い知識を持った専門の方が長い時間をかけていた。

点訳者の人口は決して多くはないため、世の中の書類のほとんどは点訳されておらず、視覚障害者は日常身近で手にするあらゆる墨字(非点字)情報をリアルタイムに取得することは困難だった。また、文書の中には図表が含まれていることも多く、二次元にレイアウトされた情報を点字で伝えることは非常に難しかった。

TAKAO AIは一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が202年8月に開催した「第1回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2020(DCON2020)」で、最優秀賞に輝いた東京工業高等専門学校(東京高専)のプロコンゼミ点字研究会のメンバーたちが立ち上げた企業である。TAKAO AIは今後も本点訳エンジンの実用化・普及推進に向けて活動していくという。

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