TAKAO AI株式会社は2023年3月15日、画像/文書データを自動視覚障害者対応のデータに変換できるエンジン「Tendoc」に、米OpenAI社の「ChatGPT」にも用いられるLLM(大規模言語モデル)「gpt-3.5-turbo」を導入した最新バージョンを開発し、視覚障害者向けの試用サイトを公開したことを発表した。
従来の点字翻訳・視覚障害者対応の課題
従来、文書の点字翻訳は点字技能を有する晴眼者(目の見える人)が1文字ずつ点字に置き換える作業が基本であり、点字に対する深い知識を持つ限られた専門家が長い時間をかけて行う必要がある。そのため世の中の文書の大半は点訳されておらず、視覚障害者は日常身近で手にするあらゆる墨字(非点字)情報をリアルタイムに取得することは困難だ。また文書の中に含まれる図表などの二次元にレイアウトされた情報を、点字で伝えることも非常に難しい。
またWebサイトの情報に視覚障害者がアクセスするためには、アクセシビリティに配慮した設計が必要不可欠だ。昨年デジタル庁の公開した「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック 」の内容などに代表される通り、画像に埋め込まれてしまっていてスクリーンリーダーで読み上げることができないテキストの存在や、上から読み上げていくと意味の通じないボタンなど、視覚障害者にとって理解しづらい情報は非常に多く、これを避けた設計をすることが求められつつも、Webサイトの開発において大きな負担となっている。
全自動で点字や音声読み上げに対応したテキスト等に変換できるエンジン
文書視覚障害者対応エンジン「Tendoc」は、入力された画像/文書データ、Webページを独自開発のシステムによって解析し、全自動で点字や、音声読み上げに対応したテキスト等に変換できる。
ディープラーニング等の技術を用いることで画像からの情報の認識精度の向上、処理時間の高速化、さらにレイアウト情報から要約文章の生成や一部の代表的な情報を重点的に抽出・変換するなど、視覚に訴える情報のコンテキストを反映したまま、視覚障害者が読みやすいデータを生成できるという。
・学校や自治体からの手紙
・地域イベントのお知らせ
・スーパー・小売店舗のチラシ
・レストランのメニュー
・スーパーで手に取った商品のラベル
・公共料金の請求書 / 明細 など
上記のような印刷物に加え、複雑にレイアウトされたWebページなどにも、晴眼者を介すことなく視覚障害者のみでタイムリーにアクセスできるようになるとのこと。
「Tendoc」試用サイト 最新バージョンのポイント
最新バージョンのポイントは以下のとおり。
・ChatGPT API導入による点訳結果の読みやすさの飛躍的向上
・視覚障害を持つ利用者の声に応え、スクリーンリーダーに完全対応
同社はOpenAI社の新しい大規模言語モデル「GPT-4」についても注目しており、公開され次第いち早く実装に取り組んでいくとのこと。
■試用版サイトURL:https://v2.demo.takao.ai/
■TAKAO AI株式会社
https://takao.ai/
メールアドレス:info@takao.ai
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