9月20日、21日の2日間で開催中のTECH IN ASIA TOKYO 2018。
午後も中盤に差し掛かる講演では、「The Artificial Intelligence Bottleneck is (still) in Hardware」と題して、 Hardware Club の Jerry Yang 氏が登壇。そこで話されたポイントをまとめました。
アメリカのスタートアップ企業 Hardware Club のゼネラル・パートナー兼ハードウェア・リードを務めている。
現在のAIを取り巻く7つのハードウェアの問題
ここ数年、機械学習をはじめとしたAI技術は凄まじいスピードで進化しており、さまざまな企業が優れたソフトウェアを研究、開発しています。しかし、それを搭載するハードウェアには、以下の7つの問題が残されている、とYang氏は語ります。
メモリ使用量(Memory)とエネルギー消費(Energy)
AIを使用する際、莫大な量のデータを覚えこませ、さらにそれらのデータを管理、維持しなければならないため、ハードウェアは常に大量のエネルギーを消費する。そのため、単縦な作業しかできないAIでさえ、かなりのエネルギーを消費するという問題。
エネルギー利用効率(Throughput)とコスト(Cost)
ハードウェアのなかには、AIが使用するエネルギーの利用効率が低いものがまだまだ多い。そのため、無駄なエネルギーを使用し、AIを稼働させるのに必要なコストが高くなる。
熱発生(Heat)
AIを掲載したハードウェアは大量のエネルギーを消費するため、ハードウェア内のマイクロチップを焼いてしまうほどの熱が発生する。
持続可能性(Sustainability)
山間地帯など、エネルギー獲得が困難な場所でAIを利用する場合、それを稼働させ続けるために必要なエネルギーを獲得可能な技術がない。
外部センサー(Sensor)
自動運転車の車外センサーは、夜間の暗闇では正確な視覚情報を得られず、事故のリスクがある。ハードウェアの外部センサーの技術が低いため、正確な情報を伝達できないという問題。
「多くのエンジニアはAIのソフトウェアの研究、開発に注目しがちですが、本当に解決しなければいけない問題はハードウェアにも数多く残っています。」
これからのAIを考える上でハードウェアは大きな課題であり、そこを解決することでAIの可能性はさらに大きく広がる、とのこと。
膨大な情報を処理する必要のあるディープラーニングでは、ハードウェアの処理能力がよく議論されます。しかし、それらにとどまらず、発生する熱や持続可能性にも気を配る必要がある、という主張は目から鱗でした。自動運転やファクトリーオートメーションなど、エッジへAIを組み込む上では無くてはならない視点です。
さまざまな企業の出展や、ネットワーキングスペースなど、ほかにも熱いコンテンツが盛りだくさんのTECH IN ASIA。2日目も楽しみです。