「AIは未来のテクノロジーではなく、今のテクノロジー」 ── Cogent Labsが魅せるAIのリアル

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7月26日に行われたレッジ主催の大規模AIカンファレンス『THE AI 2nd』。前回のTHE AIでもご登壇いただいたCogent Labsからは、こちらのお二人に登壇いただきました。

David Malkin, Ph.D.
株式会社Cogent Labs / AIアーキテクト
ユニバーシティ・カレッジ ロンドン にて機械学習修士号及び博士号を取得。ロンドンにて株式のアルゴリズム取引の開発に従事したのち、遺伝的アルゴリズムを用いた非線形かつ高次元な動的解法の最適化に関するプロジェクトを経験。
Max Frenzel, Ph.D.
株式会社 Cogent Labs / リサーチサイエンティスト
インペリアル・カレッジ・ロンドンにて量子情報理論博士号を取得。 博士課程中、東京大学で1年間研究者として勤務。量子物理学者として、潜在構造モデルや実用的な自然言語処理アプリケーションの開発に強い興味を持つ。

THE AI 2ndでテーマとなったのは、Cogent LabsのAIプロダクトや技術の具体的な「事例」と「成果」です。

AI関連のプロダクトやサービスは次々とリリースされますが、実際どれくらいの結果が数字としてでているのか、従来のどのような業務がAIに代替されたのか、あまり表にでてきません。

そこで今回は、ビジネスの現場や業務にいかにしてAIが溶け込み、結果としてどのような価値をもたらしているのか、Cogent Labsのお二人にお話いただきました。

THE AI
株式会社レッジが「未来ではなく、今のAIを話そう。」というテーマで主催する、大型のAIビジネスカンファレンス。具体的すぎたり抽象的すぎる話ではなく、ビジネスにおいてどの程度のコストで、どこまで活用可能か? という視点で、AIのスペシャリストたちが語ります。

THE AI 2ndの詳細はこちら

既存業務を50%削減するAIは、もはや未来の技術ではない

――David Malkin, Ph.D.
AIは未来のテクノロジーではなく、今のテクノロジーです。

1904年のニューヨークの交通機関の98%が馬だったのが、1912年には50%に、その5年後には100%が自動車になりました。2013年にはモバイルが浸透し、2018年はAIです。

いかにはやくAIが浸透してきているかを認識することが重要です。」

強く印象に残るのは、David Malkin氏の「AIは未来のテクノロジーではなく、今のテクノロジーです。」という言葉。

それを裏付けるように、Cogent Labsが展開するAIプロダクトと事例、その成果を紹介する形で講演は進んでいきました。

まずは、Cogent Labsが注力している「Tegaki」。

Tegaki
手書き書類をスキャンして取り込むだけで簡単にデータ化して保存ができる手書きOCR*サービス。これまで自動認識が難しかった手書き文字を高速・高精度に読み取ることができ、手書き文字の認識率99.22%*を達成した研究結果を元にデータ入力業務の効率化とコスト削減を実現します。
――David Malkin, Ph.D.
「業界によっては、いまだに紙による手続きやデータ入力が多くあります。

我々は、TegakiとRPAをを融合させたソリューションで約50%もの時間を削減しています。AI導入後は、データ入力作業を人がおこなう必要はなくなりました。」

Tegaki × RPAは、IoT連携プラットフォームソリューションです。


人間が180分かけていたデータ入力作業をAIに置き換えることで、約半分の90分になるというコストカットを実現した事例

“AIを使うことで業務時間が半分になった” と、あたりまえのように言っていますが、自分の業務の規模感と照らし合わせて考えてみると、年間の削減総工数・時間は半端ではないですよね。

たしかにAI導入後は少なからず今までのワークフローを変える必要がありますが、50%カットという結果がでている以上、長期的にみればAIを活用するべきなのは容易に想像できます。

膨大なデータ処理もたったの5分。重要なインサイトを可視化する

続いて講演テーマとなったのは、Cogent Labsが提供する「Kaidoku」。

Kaidoku
従来のコンピューターデータベースでは認識、分類、分析できなかった非構造化データを扱ことができる文書検索システム。今まで熟練者が時間をかけて行う必要があった文書の検索作業に圧倒的な抽出力とスピードで対応し、さまざまな業務に革命を起こします。

――Max Frenzel, Ph.D.
「野村證券では、株式売買判断のためにアナリストは膨大なニュースを1日中読み続ける必要がありました。さらに上長はレポートなども要求してきますが、必要なデータをまた膨大なニュースのなかから拾ってくるので、相当な時間と労力がかかっていたんですね。

それがKaidokuを導入することで、業務時間の90%削減を実現しました。5年間で貯めたおよそ50万件のデータを、Kaidokuを使えばたったの5分で解析できてしまいます。」

90%の業務時間削減……!

サラッと言われてしまうとあまり実感できないのですが、50万件のデータを人の手でチェックする作業、膨大なニュースを1日中読み続け、かつ重要なインサイトを得る作業を、ちょっと想像してみてください。

たったの5分ですべてを解析し、データ化して可視化するスゴさ、実感できたと思います。

ほかの事例としてオープンなデータをKaidokuを使って解析した事例も発表されていました。アメリカ政府が公開している

  • クレジットカード
  • 担保ローン
  • 学生ローン

などの約20万件の苦情データをを読み込ませると、以下のような形式でデータ分析してくれるそう。

重要なのは、従来のコンピューターデータベースでは認識、分類、分析できなかった非構造化データが分析可能になるという点です。

――Max Frenzel, Ph.D.
「それぞれの点が1件あたりの苦情を表しており、点同士が近ければ、苦情の言語、意味合いが近くなっています。

従来の方式のメタデータに加え、どの商品、どの会社への苦情なのか、という解析まで自動タグ付けして分類し、直感的なインターフェイスで可視化します。」

データ整理の先にある、因果関係をAIで突き止める

右画面がデータからホットトピックを抽出したもの。左画面が株価チャートです。特定の出来事が株価に影響を与えたという分析が可能になります。

――Max Frenzel, Ph.D.
「データは整理されるだけではなく、数字・データの関係から因果関係をも瞬時に突き止めることが可能になります。

たとえば、鎌倉市のTwitterデータ約20万件をKaidokuで分析した際には、通常の調査や分析では得ることのできない知見や因果関係、ノウハウを導きだすことができました。

ある映画の予告などで鎌倉のツイートが増えたことで観光客が増えたという、因果関係を突き止めるといったことです。」

データを整理するだけではなく、ナゼ? の部分も瞬時に突き止めることができ、かつそれをたったの数分でこなすという、もう完全に人間ができることを超越しています。

この事実を目の前にして、まだAIを使うことに躊躇する方はいるのでしょうか。David Malkin氏が言うとおり、AIは未来のテクノロジーではなく、完全に今のテクノロジーだということを実感させられます。

AIは未来のテクノロジーではなく、今のテクノロジーである

――David Malkin, Ph.D.
「ある大企業のデータをみてみると、AIによって減らすことができる単純作業が、じつに年間およそ360時間もあるとわかっています。

その時間がなくなることで高付加価値の業務に集中することができ、全体の生産性が向上します。さらに無駄な時間を20 ~ 40%と減らすことにより、労働人口の不足の改善にも繋がります。

これは日本企業、そして経済にとって大きな利益となります。」

わたしたちは、AIを使ったサービスやプロダクトを作れないか? と考えがちです。
しかし重要なのは、この課題はAIで解決できないか? 既存の事業構造やビジネスをAIで効率化、加速化できないか? という点に焦点を絞ることではないでしょうか。

今この瞬間に「とはいっても、AIの精度はまだ低いし、実際そこまで使えないのでは」なんてことを考えている方がまだいるのであれば、これからAI時代に完全に置いていかれるでしょう。

まずは何より「AIは未来のテクノロジーではなく、今のテクノロジーである」という事実を強く再認識することが、今後のビジネス・社会で生き残るための、私たちの最初の仕事なのかもしれません。