AI導入のカギはデジタルトランス フォーメーション。今こそ目の前の現場を見つめなおそう

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2019年2月13日、株式会社レッジは日本最大級のビジネスAIカンファレンス『THE AI 3rd』を開催。「AI時代の適者生存 ── 生まれ変わるために“今”すべきこと」をテーマに、業種や産業を跨いだAI、ディープラーニングの活用事例が業界のトップランナーにより語られました。

「キャンバスは無限大のリアル空間~ Design AI ~」と題して講演したフューチャー株式会社の貞光九月氏は、日本が抱えるAI導入の課題とその解決策について語りました。

貞光 九月
フューチャー株式会社

2009年日本電信電話株式会社入社後、機械学習の研究開発に従事し、2014年人工知能学会現場イノベーション賞受賞。2017年フューチャー株式会社へ入社し、AI専門部門 (SAIG) を立ち上げる。人工知能学会委員等を歴任。工学博士。

AI時代において、今やるべきことは課題から見えてくる

THE AI 3rdが掲げたテーマ「生まれ変わるために“今”すべきこと」には、課題が密接に関わっていると、貞光氏は言います。その課題は、総務省が公開した、海外の会社を含む企業にAI導入にあたっての課題を尋ねた調査結果から明らかになると、貞光氏は指摘しました。


出典:総務省「平成30年版情報通信白書」に一部加筆

――貞光
「大変興味深いことに、日本では『AIの処理結果の質を担保できない』ことが課題と答えた割合は、低くなっています。

その理由として、私は2つの仮説を持っています。

  • 日本のAI技術の質が高い
  • そもそも質を担保するような段階まで進んでいない

そして、仮説は両方正しい側面を持つのではないかと感じています」

――貞光
「日本のAI技術者のレベルは極めて高く、私の周りにも、十分に世界で戦える技術者は大勢います。ただ一方で、質の話以前の部分に問題がある可能性も十分に考えられます。

そこには、グラフで突出している

  • データ収集・整理が不十分
  • AI導入を先導する組織・人材の不足

という2つの課題が影響していると考えます」

ではこれらの課題を解決し、 どのようにしてAI導入をより加速させるのか?その手がかりとなるのが、“Real”と“Data”だと言います。

現場の“Real”こそがチャンスの鍵

――貞光
「AI導入を成功に導くに、まずはリアルの部分をしっかりと見直す必要があります。

世界で進むデジタルトランスフォーメーションにおいて、リアルに存在するヒト・モノ・カネ・情報はデジタル空間に写像され、データ化されていきます。そのデータを元にAIによる新しいサービスが生み出され、さらにサービス同士が繋がってさらに新しいサービスへと昇華していく。そのような動きが、世界で進行しています」

――貞光
「Amazon GOなどの無人店舗などを想像すると分かりやすいですが、リアルのデジタル空間への写像、データ化はあらゆる場面において可能だと思っています。

しかし、例えばリテール業界のサプライチェーンを例にすると、それぞれの流れ、関係性はまだすべてがデジタル化されてはいません。そして、デジタル化されているデータに関しても、ほとんどはAIのデータとして活用されていません」

貞光氏は、デジタル化されていない多様性を持ったリアル空間こそ、大きな可能性を秘めていると言います。

――貞光
「デジタル化されていなければ、デジタル化する。すでにデジタル化されているなら、AIでどのように活用できるかを考える楽しみは無限に広がっています。そのチャンスは、みなさんの目の前の現場にこそ広がっている、と確信しています」

AIで工数削減はするな。付加価値を生むために考えろ

何を入力とするのかのヒントを掴んだ後、どのようなアウトプットをデザインしていくか、貞光氏は次のように語ります。

――貞光
「一方、アウトプットではROIこそが最重要となります。ROIを高めるには、

  • 工数削減
  • 付加価値向上

のどちらかしかありません。AIは人の代替と考えられることが多く、どうしても人の作業と置き換えよう、工数削減に活用しようという発想になりやすいです。しかし、 工数削減を目指すと人対AIという二項対立の世界になってしまいつまらない。いかに付加価値を作っていけるか、プラスを大きくしていけるかが、大事です」

AIでどんな付加価値を生めるか考え抜く

AI導入に対しての考え方、進め方を改めて整理するためのヒントが多く詰まった貞光氏の講演。本レポートでは除いていますが、講演ではAIのためのフレームワークや具体例も交えて話してもらいました。まずはどうやってリアル空間をデジタルへ写像するか、そしてどんなアウトプットをデザインするのかを1つ1つ考えていくことで、曖昧だったAI導入の進め方が明確になったのではないでしょうか。

AIに仕事が奪われるといったネガティブな考え方ではなく、AIによってどのような付加価値を生み出していけるか。我々はそこにフォーカスして未来を考えていく必要がありそうです。

『THE AI 3rd』その他企業の講演資料は下記からダウンロード可能