ALSOKはAI・4K・5Gの実用化に向け、セキュリティ領域で何を仕掛けるのか

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綜合警備保障株式会社のブランド名である「ALSOK」。誰もが一度は耳にしたことがある企業だと思います。

ただ、ALSOKさんがAIを活用しているということはあまり知られていないのではないでしょうか。今回ありがたいことに「The AI」でALSOKのAI活用の事例についてご講演いただきました。テーマは“セキュリティにおけるAI活用”です。





『The AI』とは
The AIとは、株式会社レッジ主催の、“今のAIを語る”大規模AIカンファレンスです。AIが世の中をこう変える、ビジネスを進化させるなどの抽象的な未来な話ではなく、具体的なコストは? 具体的に何ができるのか? など、今のAIを知る名だたる企業が登壇する大規模イベントです。
>> The AIの詳細はこちら

警備業ですでに使われている技術は、検知・GPS・加速度センサー・カメラなど、AIがまさに得意とするデータがそろうようなもの。

セキュリティ領域は、AIを活用するには抜群のポテンシャルを持っているんです。

それでは、さっそく講演の内容を振り返っていきます。

干場 久仁雄
綜合警備保障株式会社 / 商品サービス企画部 次長。
2010年に綜合警備保障(株)に入社し、ユーザー企業の立場から情報通信技術の利活用を推進中。オープンイノベーション、スタートアップ支援も担当する。

AIは人間よりも優れた「目」として機能する

セキュリティという言葉でまず頭に浮かぶのはカメラによる監視ですが、もちろんALSOKもAIを取り入れようと動いているようです。

――干場
「不審者、困っている人の検知など、監視カメラへのAI導入はどのセキュリティ会社もまず考えることです。当然ALSOKもAIを導入したいと思っていますが、重要なのは“AIがどのように監視するか”です。」

さぁ、取り入れよう! といって一筋縄でいかないのがAIですよね。
監視カメラとAI、一体どのような連携が必要なのでしょうか。

――干場
「AIをゼロから作るのは非常に大変です。AIを開発する際には、警備員のノウハウ、施設の監視ニーズを取り入れたAIアーキテクチャから開発します。でないと誤報などが多くなり、使いものにならないAIができてしまいます。」

ノウハウやニーズからAIを開発して、警備員と同じ判断をできるAIを大量に開発する必要があると、干場さん。

たしかに誤報ばかりのAIができてしまうと、真の警報も「どうせまた誤報だろう……」と、逆にセキュリティ意識が低くなりそうです。

――干場
「AIが検知してアラームを鳴らすだけだと正直意味がありません。ですので、監視カメラに連動して警備員が駆けつける連携システムも開発しています。

AIがいくら検知しても犯罪が防げなければ意味がありません。検知して、警備員が駆けつけてはじめてセキュリティの意味があるんです。」

警備員のノウハウを積んだAIが機能すれば、限られた範囲しか警備できなかった人間に比べ、全方位かつ顔認証までできてしまうといいます。

監視カメラ × AI、圧倒的なセキュリティ向上が期待できそうですね。

セキュリティ領域でAIを最大限に活かす、新しい技術との連携

AIを活用するにしても、その効果を最大限に活かすにはほかの新しいテクノロジーとの連携が効果的です。

セキュリティ領域でどのように連携してセキュリティを強化しているのか、具体的な話もしていただけました。

4KとAIで、監視領域を拡大する

まずは話題の4K、フルハイビジョンの4倍も高精細な映像を可能にした4Kの活用も、監視カメラならでは。

――干場
「HDでは見えない人も、4Kなら捉えることができます。車も乗用車かトラックか、などの細かい判別が可能なので、人間がみてもわからないような範囲までをすべて監視できるものを作りたいと思っています。

また遠くだけではなく、近くの映像も細かいところが見えるようになり、AIの精度もあがります。」

高画質の伝送に5Gが必須

4Kを使用することで、従来のLTEでの伝送も厳しくなりますが、その対策にもALSOKはすでに取り組んでいるようです。

――干場
「4Kのデータ伝送に光ファイバーなどを使うのはそれだけで相当なコストがかかるので現実的ではありません。ですので、ALSOKでは2020年にむけて日本でも登場してくる5Gをいちはやく警備に取り込み、ドコモさんと実験を始めています。」

5Gを使えば、1つの基地局で4Kカメラを100台ほどさばき、そのデータを警備員に届けるところまでも可能になるそう。

AIの活用は、無線インフラという観点でもさまざまな対策が必要そうです。

エッジコンピューティングでリアルタイム性を実現する

――干場
「さらに警備において重要なポイントは、“速さ”です。5Gを含め、カメラの中にはエッジコンピューティングの仕組みを取り入れていきます。

というのも映像をいちいちクラウド経由にしていると、警備員に届くまで数秒かかってしまいます。そうすると、届いたころにはその映像は過去の話になっていて、探している人、犯人はもういないんですね。」

モバイルエッジコンピューティングの仕組みを用いて、インフラ側で映像・画像を処理して伝送すれば警備で十分使えるネットワークを実現できるということで、すでに実験の段階に入っているそうです。

新しい技術との連携の多くがすでに実験フェーズ、AIへの取り組みの熱意を感じます!

実例からみる、AIを導入する際に苦労すること

干場さんによるとAIを導入、提供する際に以下5つの点に気をつける必要があるといいます。

  • AIの本質の理解。AIはソフトウェアではない
  • 開発コードはすべて保存できない
  • 教師データの取扱い
  • AIは万能ではない、実証実験からやるべき
  • 最終的な判断は人間がする仕組み作り
――干場
「AIのプロダクトは学習などで変わってくるので、品質や性能が定義できないんです。その点の認識を最初の段階ですり合わせておかないと、後々もめることになったりするので注意が必要です。

教師データの取扱いなどもそうですね、絶対にデータ取扱いに関しての説明も必要です。」

――干場
「あとはAIが万能ではないということも知っておくべきです。いわゆる弱いAIを使っているので、できないこと、できることをわかったうえで、まずは実証実験から始めていくという理解が導入、開発側に必要です。

最後に、プロダクトのなかで最終的なリスクを回避するために、現状の段階では人が判断をするという仕組みが、特に警備においては必須ですね。」

セキュリティ領域におけるAIの技術から、実際のAIの導入、AIプロジェクトにおける苦労点、注意するべきポイントを聞けたのは、分野関わらずこれからAIを活用していこうという方々にとっても非常に有益な情報でした。

「The AI」へのイベントご登壇、ありがとうございました!