東芝情報システム株式会社「アナログニューロンチップ」半導体のアナログ回路でニューラルネットワークを実現:Ledge.ai EXPO

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東芝情報システムは、ICTで人々の暮らしや心を豊かにする社会を目指し、エンベデッドシステム、LSI設計、システムインテグレーションの3つのソリューションで事業を展開しています。

私たちは高度なテクノロジーをベースに、デバイスからプラットフォーム、アプリケーション、サービスまで、幅広いソリューションでお客様のさまざまな課題を解決し、成長を支えていきます。

アナログニューロンチップついて

AIに代表されるニューラルネットワークでは、低消費電力で高速動作可能なハードウェア技術が求められています。当社は、(株)東芝と共同でニューラルネットワーク向けのアナログ回路を搭載したICを開発しました。本ICは、人間の知的活動に近い高速な情報処理を実現していることを特長とし、機器の異常検知や故障予測のほか、さまざまなセンサーへの適用が期待されています。

IoT社会で急増している情報を活用する上で注目を集めているのが、ニューラルネットワークによるAI(人工知能)技術です。AI処理は、非常に多くの演算を行います。一般的にニューラルネットワークに使われるマイコンや専用アクセラレータは、AI処理の高速化のため内部にデジタル演算器を大量に並べて並列処理をするという方法を採用しています。この処理方法は高性能ではあるものの、どうしても大量の電力を消費してしまいます。

一方、ニューラルネットワークのモデルである脳は、数十ワット程度で非常に効率的にアナログ動作していると言われています。そこで、脳のようにアナログ動作するニューラルネットワーク向けハードウェアが期待されていましたが、半導体のアナログ回路は超低消費電力の環境においては安定動作させることが極めて難しいという技術的な課題がありました。

これまで、デジタル系のニューロンチップは数社からリリースされていたものの、これらは消費電力が多いという問題がありました。また、高速性を追求してアナログ回路を採用したニューロンチップも存在していましたが、低消費電力で安定動作できるものはありませんでした。

当社と共同研究を行っている東芝は、超低消費電力の環境においてもニューロン回路を安定的に動作させるため、抵抗器でアナログ電流を制御して比較出力し、入力信号によりアナログ電流をクロス状に切り替える独自の動作原理を考案。当社は、この技術を活用したICのシステム設計とデバイス開発を担当し、ニューラルネットワーク向けのアナログ回路を搭載したICを完成させました。

脊髄反射型アナログニューロンチップのイメージ

今回開発したICの特長は次のとおりです。
(1) ニューラルネットワーク向けのアナログ回路を搭載
(2) 超低消費電力で長期安定動作
(3) 事象発生時に高速に反応する「脊髄反射神経的」な知的処理(人間の知的活動に近い情報処理)が可能

ニューラルネットワークとしての反応速度は、応答速度1μ秒以下と、同程度の消費電力で動作するマイコンよりはるかに高速で、生体内の脊髄反射のように高速で知的な処理を可能にしました。また、一般的なLow Power-CPUに比べて10倍、 Middle Power-CPUより100倍以上高い演算電力効率を実現しています。

ニューロンチップの性能評価

本ICをさまざまなIoT機器に活用することで、センサー情報による機器の異常検知、故障予兆検知などの高速化が超低消費電力で実現できます。また、高速応答や素早いフィードバックが必要とされるロボットの先端部分のセンサー、超低消費電力で動作する特長を活かし常時稼働し続ける工場のラインや製造機械の監視、音、匂いなど特定用途のセンサーへの適用も考えられます。

当社は現在、1~10mW程度に抑えている本ICの消費電力をさらに低減し、高速応答ができる新しいICの開発を進めています。販売時期や方法については、ICとしての供給、IP販売などお客様の用途に合わせたご提供方法を検討中です。

今後は本ICの能力を最大限に引き出せるようなセンサーと組み合わせ、PoC(Proof of Concept)を準備の上、お客様へのアピールを加速させていきます。

対応可能な業種
電子部品・デバイス・電子回路製造業/情報処理サービス業/情報通信/研究開発/教育

問い合わせについて

会社名東芝情報システム株式会社
URLhttps://www.tjsys.co.jp
電話番号044-200-5433
問い合わせ窓口TJ-lsiproductplan@tjsys.co.jp
住所神奈川県川崎市川崎区日進町1-53