株式会社LIXILは、大府市および介護付有料老人ホーム「フラワーサーチ大府」の協力のもと、IoTやAIのテクノロジーを実装したコンセプト「トイレからのお便り」を高齢者施設のトイレに設置し、今後の事業化へ発展させるトイレ実証実験を7月1日から開始したと発表した。
実証実験の背景と目的
高齢者施設において、一人でトイレに行ける入居者でもトイレ内での転倒や排泄時の粗相による衣類の汚染の可能性がある場合などに備え、スタッフによる頻繁な巡回が行われており、そのために他のケアの時間が圧迫されているという事態が生じている。また、排便状況の記録は、入居者の健康管理を行なううえで重要な項目だが、入居者へのヒアリングや目視で確認した結果をスタッフが手書きで作成する場合が多く、記録の抜け漏れ、排便状況の把握が困難な事例、また便を見せることへの心理的な抵抗など、高齢者施設において解決困難な課題があるのが現状だ。
そこでLIXILでは、課題解決に向けてコンセプト「トイレからのお便り」にて、トイレ利用をIoT活用し通知する“トイレ利用通知”と、AI活用し自動で排便の判定・記録をする“排便管理”の2つの機能を搭載したトイレをフラワーサーチ大府に設置して実証実験を行なうとのこと。
「トイレからのお便り」とは
「トイレからのお便り」とは、高齢者施設におけるトイレソリューションの総称だ。高齢者施設においてトイレ利用は、現状さまざまな課題があり、テクノロジーを活用することでその解決に導くLIXILのコンセプトである。現在トイレ利用をIoTの活用で通知する“トイレ利用通知”とAIの活用で自動で排便の判定・記録をする“排便管理”の2つの機能を研究開発中だという。
「トイレ利用通知」とは
「トイレ利用通知」とはトイレ内にセンサーを設置し、入室や着座などあらかじめ設定した条件から排泄行為や異常事態を判定し、スタッフへの連絡を即座に行なうことで、適切な介助行為を手助けするシステムである。利用通知の条件は入居者の特性に応じてスタッフが変更できるため、通知の抜け漏れや過剰を抑制することができるという。これにより、入居者のトイレでの不測の事態においてスタッフが来てくれる安心感、巡回作業の低減およびアラームの提供によるスタッフの対応力向上が期待される。
「排便管理」とは
「排便管理」では、排便のタイミング、便の形、便の大きさを、AI技術を活用し自動で判定・記録し、その結果を一括確認できる。記録が自動化されることで、認知症の方などの排便状況を容易に把握できるようになるという。これにより入居者のQOL(生活の質)向上、スタッフの業務負荷低減が期待される。
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