東芝、AIなど拠点に340億円投資は始まりに過ぎない

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画像は研究開発新棟(仮称)の外観イメージ

株式会社東芝は8月5日、神奈川県の川崎市にある同社グループの小向事業所内に、約340億円を投じて、人工知能(AI)などの先端研究開発を手がけるランドマーク「研究開発新棟(仮称)」を建設すると発表した。

今回は同施設について、「なぜこの金額を投資するにいたったのか?」「具体的にどのような研究開発をするのか?」など、東芝の広報に問い合わせた。一部考察を加えながら、東芝の広報担当者による回答を公開する。

「新棟は8100億円の『東芝Nextプラン』に含まれる」

>>「東芝Nextプラン」より

まず、「約340億円の投資金額について、なぜこの金額を投資するにいたったのか?」経緯をうかがったところ、以下のように説明してくれた。

東芝 広報担当者

「2018年11月8日に、東芝は5か年(2019〜2023年)計画の『東芝Nextプラン』を発表しました。そのなかで、設備投資・投融資に8100億円を投じると発表しています。その8100億円のなかには、事業基盤投資として『研究開発新棟(仮称)』への投資も含まれていました」

2018年に発表した「東芝Nextプラン」には、研究開発本部新棟のほか、再生可能エネルギー発電事業、空調開発・製造拠点整備などの事業成長投資も含まれる。総額8100億円という膨大な金額を考えると、同施設への投資金額はほんの一部に過ぎないと言える。

「今年6月にAIの技術リリースは発表済み」

続いて、「同施設でAIに関しては具体的にどのような研究開発をするのか?」聞くと、以下のように回答している。

東芝 広報担当者

「今年の6月に、異常検知AIなど、AI技術をリリースしました。現時点で具体的に発表できるものは、すでに6月に発表済みです。なお、新棟は要素技術の研究開発を手がける部門ですので、AIはもちろん、セキュリティ技術や精密医療の技術など、いろいろな要素技術も開発していきます」

6月に東芝はAI技術サービスを立て続けにリリースした。ここで少しだけ動きを振り返っておこう。

6月2日には、インフラ設備や製造装置の異常予知・検知、動作解析の精度を向上するAI技術「Lag-aware Multivariate Time-series Segmentation (LAMTSS)」を開発したと発表している。

>>東芝「複数センサーの時系列データ間の時間のずれを自動で補正するAIの開発-インフラ設備や製造装置に変化が起きた時刻を従来の10分の1以下の誤差で把握、異常予知・検知や動作解析の高精度化に貢献-」(6月2日発表)

同じ6月2日には、工場などの製造装置やインフラ設備における異常を機械学習で、検知・診断する技術において、時系列波形データをベースとした異常の「見逃し」「誤検出」の抑制と、異常と判断した理由がわかる高い「説明性」を両立させた、新たなAI技術「Learning Time-series Shapelets for optimizing Partial AUC(LTSpAUC) 」の開発も発表した。

>>東芝「インフラ設備等の異常の「見逃し」・「誤検出」の抑制と、高い「説明性」を両立した時系列波形異常検知AIを開発-高度な説明性を備え、異常検知性能が約7%向上、故障予知や保守業務の効率化に貢献-」(6月2日発表)

6月3日には、自動車やドローンなどの安全性向上や自動走行・自律移動の実現に向けて、車載カメラと、動きを検知する慣性センサー(加速度センサー、角速度センサー)を用いて、自車両の動きを高精度に推定する「自車両の動き推定AI」と、さまざまな交通シーンで周辺車両の将来の動きを予測する「他車両の動き予測AI」を開発したと発表。

>>東芝「世界最高精度で自動車やドローンなどの動きを予測するAIを開発-自車両と周辺車両の動きを従来より約40%高精度に推定し、一般道での安全な自動運転の実現に貢献-」(6月3日発表)

6月9日には、少量多品種の半導体製品の製造において、異なる種類の製品に共通して発生する重大な不良を早期に発見できるAIの開発も発表している。

>>東芝「少量多品種の半導体製造で発生する不良を早期に発見するAI技術を開発-異なる種類の製品に共通する不良の解析時間を8分の1に削減-」(6月9日発表)

「詳細は現時点ではお答えできません」

最後に、「研究開発の結果をどのような製品やサービスに導入することを想定しているのか?」聞いたところ、以下のような回答が得られた。

東芝 広報担当者

「新棟では、事業化の前の未来の技術や要素技術を研究開発しますので、どのようなものに導入を想定されているのかということは、現時点ではお答えすることはできません。今後、製品やサービスに導入することが決まりましたら、具体的にリリースさせていただきます」

「東芝Nextプラン」の総額8100億円という事業成長投資はもちろん、本回答もあわせると、新棟への340億円投資は始まりに過ぎないと思わせられる。今後の動向から、ますます目が離せなくなりそうだ。

東芝、AIなどの研究開発拠点建設に340億円を投じる

新棟「研究開発新棟(仮称)」は、新棟は2022年1月に着工し、2023年4月の稼働を目指すとしている。

また、新棟は小向事業所内のコーポレート(本社)の研究開発部門の一部と、半導体事業の開発部門の一部の建屋を解体し、跡地に建設予定という。コーポレートの研究開発機能と、首都圏に分散している拠点の一部を集約し、同社グループにおけるAIなどの研究開発基盤を強化するとのこと。

新棟は12階建ての高層棟と、4階建ての低層棟の2棟で構成。ユーザーと共創するコラボレーションスペースや、社外の人を招いて開催する展示会などに活用できるスペースを設置し、ユーザーが気軽に足を運べる開かれた研究所を目指すとしている。

そのほか、新棟の詳細は、以下の記事をチェックしてほしい。