東芝、教師なしで画像をグループ化できるAI開発 精度は95.4%で世界最高級か

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株式会社東芝は4月28日、製造現場向けに教師なし(分類基準のラベルづけ作業なし)で高精度に画像をグループ化できる画像分類AIを開発したと発表。一般画像の公開データ(※1)を分類したところ、分類精度が従来の71.0%から95.4%に改善し、世界トップレベルの性能を達成したとうたう。

(※1)ImageNet-10:AIの性能検証で使用される代表的なデータセット。犬や猫など10種類の対象を含む一般画像を指す。

東芝は本AIを製造現場で製品の外観画像を分類することで、不良や欠陥の発生状況を早期に把握する外観検査向けに開発した。AIで外観画像を分類する手法には、事前に分類基準を人手でラベル付けする「教師あり学習」と、分類基準の設定や教示用のデータを必要としない「教師なし学習」がある。東芝によると、製造現場における外観検査では分類基準を学習するための人手作業が不要で、導入・運用コストが低い「教師なし学習」が求められる傾向にあるという。

だが、従来の「教師なし学習」はAIが不良や欠陥の特徴を十分に学習できず、分類精度が低下する可能性があった。とくに外観検査の画像では、付着したダストやキズといった着目したい不良や欠陥に対して、それ以外の背景領域が大部分を占める。背景に含まれる特徴も学習してしまい、本来着目したい不良や欠陥の分類精度が低下する問題があった。

今回、東芝が開発したAIはまず人手による分類基準のラベルではなく、1枚の画像を1つの分類基準とする疑似的な「教師あり学習」をすることで、多くの画像に表れる背景のような部分ではなく、一部の画像に表れる不良や欠陥に着目して特徴を抽出できる。抽出する特徴が重複しないような独自の学習基準を設定することで、画像に含まれる多くの特徴から類似した不良や欠陥をグループ化するのに有効な特徴量(特徴を数値化したもの)を作成できるという。

本技術を用いることで、上図のように背景がまったく異なる画像を同一グループに分類可能になる。製造現場で撮影される外観画像においては、検査対象以外の物が背景に映りこんでいるような複雑な画像でも、製品の不良や欠陥を教師なしで高精度に分類できるという。同社は今後、製造現場のさまざまな検査工程・製品に本AIを適用し、性能実証を実施するとしている。

>>ニュースリリース

AI関連の特許出願件数 世界3位の東芝「2022年頃までに2000人規模のAI人材を確立したい」

これまでAI関連メディアのLedge.ai編集部が報じてきたとおり、東芝はAIや疑似量子コンピュータ技術など、最新テクノロジーに積極的に取り組む日本企業のひとつと言える。

東芝は1950年代からすでにAI技術の研究を開始しており、「郵便番号自動読取区分機」「日本語ワープロ JW-10」「自動運転用の画像認識プロセッサー Visconti」など、さまざまな場面でAI技術を活用してきた。東芝が手がけるAI関連の特許出願件数はIMBとMicrosoft(マイクロソフト)に次ぐ世界3位で、日本国内では1位だ。

今回発表した技術もAIに注力してきた東芝の強みが生きていると考えられる。今後の発表にも注目したい。