マグロ養殖作業者が波風や機械音のなかで情報伝達を可能にする実験、KDDIらが実施

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<写真出典:Pixabay

長崎県五島市、株式会社サイエンスアーツ、KDDI株式会社は3月27日、五島市のマグロ養殖現場において、ICT/IoTを使ったマグロ養殖作業者の円滑なコミュニケーションによる作業効率化と安全確保を目的に、スマホIP無線を活用した実証実験を実施したことを明かした。

実証実験は2019年8月5日から2020年3月25日まで実施され、実験には株式会社ツナドリーム五島が協力した。

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船や機械音などの騒音に影響されない情報伝達

五島市のマグロを養殖するいけすでは、海風の音や船の機械音により、作業者同士のコミュニケーションが取りづらいことが課題だった。さらに、作業中は手袋をしているため電話などによる通話も困難なため、必要な情報をリアルタイムで伝えられないこともあった。

そのため、管理者が作業者の居場所も把握できず、有事の際も連絡網によるリレー形式で伝達していたなど、迅速に情報を伝えることが難しく、円滑に情報をやり取りする手段が求められていた。

3月25日まで実施されていた実証実験では、株式会社サイエンスアーツが提供するスマホIP無線「Buddycom (バディコム)」を作業者に配備した。

Buddycomは、スマートフォンに触れることなくハンズフリーで通話が可能な製品だ。音声や動画、位置情報に加え、AIを利用したデジタルアシスタントでのコミュニケーションが可能である。

実証実験では、以下の5項目について確認できたそうだ。
・作業者への一斉情報伝達
・数十メートル離れた作業者との会話
・マップを活用した作業者の居場所把握
・海風の音や船の機械音などの騒音のなかでの着信把握と会話
・会話をテキスト化して履歴を確認

今後は、作業者の避難訓練においても避難指示にBuddycomを使用し、避難指示から参集までの時間が短縮可能か検証していく。

KDDIは鯖の養殖にもAIを活用している

五島市でのマグロ養殖作業者への実証実験に携わったKDDIは、「鯖、復活」養殖効率化プロジェクトにも取り組んでいる。このプロジェクトは2017年からKDDIと小浜市などが産学官連携して進めている

2019年から、IoTセンサーやAIを活用開始。

センサーで取得したいけすの水温、酸素濃度、塩分などのデータをAIを使って分析し養殖におけるノウハウのマニュアル化に取り組んだ。さらに、魚が食べたいときに食べたいだけ自発給餌するシステムや、水中カメラによる魚体サイズの推定にも取り組んでいる。

おいしい鯖を養殖することを目的としているこのプロジェクトによって、小浜市の養殖鯖は全国ブランドサバ知名度ランキングで6位を獲得するまでに至った。

2019年のぐるなびによる調査によるもので、養殖サバ独特の生臭さがなく刺身でもおいしいブランドサバとして、このプロジェクトで作られている「小浜よっぱらいサバ」が6位に入選した。養殖鯖では2位とのこと。ちなみに命名の由来は、鯖街道でつながる京都の酒粕をえさに混ぜているからだそうだ。

当初は市直営の養殖事業だったが2019年1月から地元住民らが発起人となって設立した田烏水産株式会社に事業を移譲。その後、民間が主体かつ地元本位の事業として、ますますの拡大が見込まれている。