労働上限「過労死ラインの2倍」に及ぶ医師の働き方を変える。AI問診プロダクトが6医療機関で試験導入など開始

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Ubieは2019年7月より、医療現場の業務効率化を図るためのAI問診プロダクト「AI問診Ubie」の導入・試験導入・共同研究を6つの医療機関で開始した。

一般の「過労死ラインの2倍」に及ぶ医師の働き方

2019年3月の厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」で取りまとめられた報告書によれば、2024年4月以降、研修医や高度技能の獲得を目指す医師の時間外労働上限は、一般労働者の過労死ラインの2倍にも及ぶ「1860時間」と特例的に設定された。

時間外労働が増える主な要因のひとつに、外来診療での“電子カルテなどの書類作成“といった膨大な事務作業が挙げられる。これにより、患者に向き合った診察を行う時間が十分に確保できないという課題があった。

外来の問診時間を3分の1に短縮した「AI問診Ubie」

AI問診Ubieは、患者の待ち時間や上述の医療従事者の事務作業等の負担を減らし、医師がより患者と向き合える医療を目指すため開発された、“問診”に特化したプロダクトだ。

AI問診Ubie使用イメージ

問診はすべての医療の入り口であり、患者の容体を知るのに不可欠だ。しかし、多くの医療機関では、患者が記入した紙の問診表と同様の内容を診察室で問診し直し、ゼロから電子カルテに記載する作業が発生している。

AI問診Ubieはこの課題を解消するため、現役医師とエンジニアが開発。約5万件の論文から抽出されたデータに基づき、AIが患者一人ひとりの症状や地域・年代に合わせた質問を自動で分析・生成する。患者はタブレットから出てくる質問に沿ってタッチするだけで、およそ3分で入力が完了する。

入力データは即座に医師にも届けられ、患者が入力した問診内容が医療用語に変換され、カルテに入力されるため、診察室ではスムーズに治療方針を決定できる。

どの世代や地域の患者にも利用できるよう、ATMやカラオケのリモコンなどのタッチパネルを参考にしたサービス開発を行っているという。待ち時間の短縮、対面での診察時間が増えることで、患者満足度の向上も見込まれる。

AI問診Ubieは、現在大病院13施設を含むおよそ100件の医療機関に導入済み。事例としては、目々澤醫院(東京・江戸川)では、導入後に医師の事務作業が削減し、外来の問診時間が約3分の1に短縮できた。また、看護師不足に悩んでいた長野中央病院では、「業務へのタスクシフト」を図り、生産性が高く働きやすい環境の構築に寄与するなど現場からも好評だという。

導入・試験導入・共同研究の内容

今回試験導入などに取り組む医療機関は以下の6つ。

  • 亀⽥総合病院糖尿病内分泌内科
  • 慶應義塾大学病院
  • 社会医療法人財団 董仙会 恵寿総合病院
  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院
  • 東京大学医学部附属病院
  • 長野中央病院の大病院

導入・試験導入・共同研究の内容は以下の通り。

導入・試験導入の概要

共同研究の概要

Ubieは、今後もサービスの向上を図り、医師が本来の業務と向き合い、患者の満足のいく医療が届けられる世界を目指すという。

Source:PR TIMES