枯渇する水産資源の救世主となるか?水産養殖へAI活用が進む

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年々世界人口が増え続ける一方、食糧の確保が課題となっています。特に天然水産資源は生態系を崩す恐れもあり、これ以上の漁獲を増やせません。

増加する魚介類消費量を賄うため、養殖業の事業安定化に向け、AIやIoTを活用する取り組みが進められています。

増える魚介類消費は右肩上がり、水産資源は頭打ち

欧米でのヘルシー志向など、食生活の多様化新興国での生活水準の向上により、全世界で魚介類消費量が増えています。

その一方で、全世界の海洋資源のおよそ90%は適正レベルの上限近く、または適正レベルを超えて漁獲されています。これ以上持続可能なレベルを超えた天然資源の漁獲が増えれば、世界の水産資源が枯渇し、生態系にも大きな影響を与えます。

天然資源の漁獲に頼らず、増加する魚介類消費量を賄うには、養殖業の事業安定化が必要となります。自然災害気候変動といった環境リスクを常に伴う養殖業で、海洋環境の把握や分析にAIなどの最先端テクノロジーを活用することで、安定した魚介類の出荷量を確保できるようになります。

赤潮被害が世界各地で漁業被害をもたらす

養殖環境に大きく影響する自然現象のひとつが赤潮です。

毎年、プランクトンの異常増殖によってもたらされる赤潮は、世界各地で漁業被害をもたらしており、大きな損失を生み出しています。

2018年夏に西日本を襲った豪雨による赤潮被害では、愛媛県の宇和海でマダイやブリなど養殖魚4万9300尾が酸欠などにより死に、7,633万円の損失が生まれています。

全地球の沿岸域のデータから赤潮の分析も

水産ベンチャーのウミトロンは宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、気候変動観測衛星「しきさい」の観測データの水産養殖の現場への活用を検証しています。

人工衛星データとAIやIoTと組み合わせ、赤潮など自然環境に左右されやすい水産養殖業の経営安定化を目指します。

現状、赤潮の調査では、赤潮の発生が頻繁に確認される箇所の特定、その地点での定期的な採水および分析といった、知見の蓄積専門技能が必要とされます。

人工衛星から取得される広域データが全地球的に活用できるようになれば、赤潮対策のための体制構築が進んでいない地域にとっても、リスク低減に向けて有用であるいいます。

陸上よりもデータの取得や把握が難しい海洋環境。先端テクノロジーにより、的確に環境の変化を把握することで、水産養殖業の経営安定化、水産資源の乱獲防止にも繋がるのではないでしょうか。