個人情報流出を防ぐ「自動車画像加工AIライブラリ」の実力 ── 技術の標準搭載で我々の生活は一変する

このエントリーをはてなブックマークに追加

インターネットにおける個人情報流出の問題は、あらゆるWebサービスやFacebook、Twitter、InstagramをはじめとするSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、とくに顕著だ。

Instagramを例にあげると、タイムライン上にはあらゆる種類の写真がユーザーによって投稿され、そのアクティブユーザー数は、じつに8億人を突破しているという。

そういった写真のなかにも多くの個人情報が含まれているが、知らず知らずのうちに自分、もしくは他人の個人情報を流出していることも少なくない。

その個人情報の流出を、AIによって技術的に解決しようとしているのが、ユーザーローカルとウタゴエ株式会社が開発する「自動車画像加工AIライブラリ」だ。

AIの画像認識、加工技術で個人情報流出を防ぐ

自動車画像加工AIライブラリの主な機能は以下だ。

  • 複数車体からメインの車体のみ検出
  • ナンバープレートを検出して自動でぼかす
  • 車体以外の背景を自動でぼかす

以上のような機能を人間がやろうとすると、専門の人間が画像編集ソフトを使い、相当な時間とコストを使う必要があった。

それが、自動車画像加工AIライブラリを使えば、画像をアップロードするだけで、瞬時にナンバープレートやメインの車体を認識、自動で加工してくれるというのだ。

車にかぎらず、あらゆる個人情報や、それが記載されている物体を検知・認識するAIがSNSアプリなどにデフォルトで搭載されれば、個人情報流出の多くを防げるのではないだろうか。

その実現のポテンシャルを持っているのが、今回紹介する「自動車画像加工AIライブラリ」である。

その実力はどうなのか、自動車画像加工AIライブラリを実際に使ってみた。

ディープラーニングによる検出・ぼかし・切り抜きで、またひとつAIが課題を解決する

さっそく、ナンバープレートの検出・自動ぼかし機能を検証してみる。

使うのはこちらの画像。

AIによる認識・加工の結果がこちら。

AIが車のナンバープレートを認識して、自動でぼかしてくれている。

画像をぼかすプロセスで必要となるのが、ナンバープレートの検出・切り抜きである。従来、その切り抜きの精度が課題であったが、ディープラーニングのひとつであるCNN(Convolutional Neural Network)などの技術で実現しているという。

CNN(Convolutional Neural Network)とは

畳み込みニューラルネットワークともいわれるCNNは、何段もの深い層を持つニューラルネットワークで、画像を複数のカテゴリに分類するよう学習します。画像分析を行う学習手法の1つで、その理解のしやすさからも、画像認識の分野で注目されています。

上記の画像は、ナンバープレートのみにぼかしを入れている状態だ。場合によっては、背景すべてにぼかしを入れたいときもあるだろう。

背景にぼかし加工をした結果がこちら。

車体以外の背景を正確にぼかしている。

続いて、こちらの画像でもナンバープレート、背景のぼかしを試してみる。

結果がこちら。

2枚目の画像は車体を斜めから撮影し、複数の車体も写り込んでいるが、問題なくメインの車体を検出して、背景とナンバープレートをぼかしている。

自動車画像加工AIライブラリによる車体の検出とナンバープレート、背景のぼかしは、すでに実用に足るレベルまできていると言えるのではないだろうか。

SNSやウェブサイトに画像をアップロードしたと同時に、画像の加工が自動で施されることを想像してほしい。

それがどれほど工数を削減してくれるかは、容易に想像できる。

AI技術が標準で搭載されることで、生活は一変する

たしかに人間が時間と労力を使えば、解決できる課題はあるかもしれない。

だが、AIを使うことで、労力は一切かからず、その時間は数秒に短縮される。もちろんPhotoshopの技術など、特別な知識を使わずにだ。

現状、まだまだAIが標準で実装、使われていないのも事実ではあるが、もはや時間の問題だろう。

実際に、今回紹介した自動車画像加工AIライブラリは、中古車買取販売のガリバーを運営する株式会社IDOMに導入されるという。

AIの技術があらゆる製品、サービスに標準で実装されたとき、私たちの生活は一変することは言うまでもない。

今回紹介した自動車画像加工AIライブラリにかぎらず、革命と言えるほどのAIでなくとも、そのAIがどのような観点で、またそのAIだからこそ解決できるであろう課題に対して、どのようにアプローチしていくのか。

そこを突き詰めることで、AIがより多くの課題を効率的に解決していくことに繋がるのではないだろうか。