東京大学は4月3日、同大のポータルサイトにて理事・副学長である太田 邦史氏の名前で生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusionなど)に関する声明文を発表した。
特にOpen AIが開発した対話型AIであるChatGPTを中心に話が展開されており、ChatGPTを「検索」ではなく「相談」するシステムとし、他のソフトと連動させることでかなりの作業を自動化できる、パソコンやインターネット、スマートフォンの登場時と同等、あるいはそれ以上の社会的な影響がある存在と評価している。
一方で、ChatGPTは大量の既存の文章やコンテンツの機械学習と強化学習を通じ、確率的にもっともらしい文章を作成する仕組みであることから、文章に嘘が含まれる可能性についても指摘。人間自身が批判的に文章を精査する必要性や、機密情報や個人情報などを安易にChatGPTに送信することの危険性についても触れた。
その上で、大学では現状、学生から提出されるレポートがChatGPTを使用して作成されたものかどうかを見分けるのは困難なことから、対面でのヒアリング審査・筆記試験などを組み合わせ、本人が本当にその論文を作成したのかについても吟味する必要があるとし、学生による悪用を危惧する意見も盛り込まれた。
また、現在の社会は法律や制度面でまだまだ生成系AIの登場が織り込まれておらず、失業者の増大や社会の階層化の進行といった悪影響があるとも指摘。人類はこの数ヶ月で後戻りできない「ルビコン川を渡ってしまったのかもしれない」としつつ、学生や教職員の間で良い利用法や新技術、新しい法制度や社会・経済システムなどを見出していくべく、議論の機会を設けるとした。