AI関連メディア Ledge.ai を運営するレッジは、AI業界のスペシャリストを招き、ビジネス現場でのAI活用などを聞くオンラインセミナー「Ledge.ai Webinar」を定期的に開催しています。
4月には、「デジタル化への投資、どれくらい効果ある? エネルギー・プラント業界のAI/データ活用」をテーマに、株式会社マクニカ AI Research & Innovation Hub プリンシパルである楠 貴弘氏、東京大学大学院工学系研究科 特任助教の鈴木 雅大氏をゲストにお招きし、エネルギー・プラント業界でのAI活用などを中心にセミナーをお届けしました。
このセミナーはアーカイブ配信を実施しているので、当日のセミナーを見逃してしまった方や、もう一度視聴したい方は、ぜひともアーカイブ配信をご視聴ください。アーカイブ配信は、本稿の末尾にあるフォームに必要事項を記入いただければ無料で視聴できます。
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登壇者
株式会社マクニカ AI Research & Innovation Hub プリンシパル
楠 貴弘
ASIC ハードウェア開発を経験し、2000 年にマクニカへ入社。ハイエンドプロセッサなどのアプリケーションエンジニアを担当後、GPU 関連製品のサポートをきっかけにAI の世界へ入る。その後マクニカ初のデータサイエンティストチームを立ち上げ、2019 年12 月に新設されたAI Research & Innovation Hub のプリンシパルに就任。社会課題を解決することをミッションにAI の社会実装に向けた普及活動を行っている。
東京大学大学院工学系研究科 特任助教
鈴木 雅大
2013年北海道大学工学部卒業.
2015年同大学大学院修士課程修了.
2018年東京大学工学系研究科博士課程修了.博士(工学).
2020年まで東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 特任研究員.
同年より同大学特任助教.
人工知能,深層学習の研究に従事.
情報処理学会論文賞,
人工知能学会全国大会学生奨励賞などを受賞
Ledge.ai 編集長
高橋 忠弥(モデレーター)
前職は出版社においてIT・デジタル系のウェブメディアと週刊誌の編集者として活動。また、有料会員制メディアの立ち上げからグロースにも携わる。2019年11月にレッジに参画。2020年7月からLedge.aiの編集長に就任。記事執筆以外にも、セミナーやPodcast等さまざまな媒体での出演経験を持つ。無類のアイスコーヒー好き。
「で、その後どうすればいい?」をサポートするAI技術
近年のエネルギー・プラント業界では、自然災害や地政学的リスク、世界規模的な脱炭素化要請を受け、環境整備に対するイノベーションへの投資が計画的に実行されており、デジタル化の促進が求められています。
しかし、デジタル化と言っても「属人化業務を解消したい」「開発スピードを向上したい」「メンテナンス効率を向上したい」など、できそうなことは想像がつくものの、本質的な価値創出には壁を感じるケースが少なくありません。
本セミナーでは楠氏も「エネルギー・プラント業界において、国内で稼働している多くの設備が、2025年までに稼働年数が40年を超すと言われています。今後は、こういった設備に対してどのようにAIを使っていくかがポイントです」と話しました。
同氏によれば、エネルギー・プラント業界でのAIが適応できる範囲は、「保安人材の確保」「設備管理」「生産性の向上」「判断基準の平準化」「労働人材の負荷低減」「属人化の解消」など非常に幅広いといいます。
たしかに、エネルギー・プラント業界はAIで解決できる課題は多そうですが、AIの導入においては超えるべきハードルがいくつかあります。
ひとつは、組織の整備が追い付いていない場合や、AIなどテクノロジーリテラシーのある人材が不足していることなどから起きる「経営的課題」。もうひとつは、高い技術水準を担保しなければいけない「技術的課題」。そして最後に、なぜその判断をAIが導いたのか、安心安全を重視する業界だからこその「説明性」を楠氏は挙げました。
とくに、説明性の要素は近年非常に重視される傾向があるそうで、「エネルギー・プラント業界では、何か問題が発生したときの、経済的なインパクトが非常に大きいです。そのため、『判断理由が明確であるかどうか』に重きを置かれています」と楠氏は言いました。
続けて楠氏は「機械学習などを使って作る“数値AI”と呼ばれるものと、人間の知識や経験をモデル化する“シンボリックAI”を組み合わせることで、重要な決定をサポートさせる―アプローチがエネルギー・プラント業界にとって注目されるのではないかと考えています。このような技術を『ハイブリッドAI』と呼びます」
楠氏によれば、ハイブリッドAIの特徴は、データや数値を使った意思決定のプロセスにくわえ、シンボリックAIを合わせることで『なぜそうなったのか』『この後はどうすればいいのか』といった解決方法などを添えて明示してくれることだそう。
セミナーでは、ハイブリッドAIを活用した事例なども紹介され、セミナー後のアンケートでも視聴者から「ハイブリッドAIを初めて知った」などの声も挙がっていました。
セミナーはアーカイブ配信で公開中 東大特任助教による研究発表も
4月に開催した「デジタル化への投資、どれくらい効果ある? エネルギー・プラント業界のAI/データ活用」では、マクニカの楠氏によるプレゼンテーションにくわえ、東京大学大学院工学系研究科 特任助教の鈴木氏による「ディープラーニングと記号処理の融合」と題した講義も実施しました。
鈴木氏による講義では、「記号処理」「世界モデル」など、AI界隈における研究の先端をご紹介いただきました。
また、楠氏、鈴木氏のプレゼンテーションのあとには、「デジタル化への投資、どれくらい効果ある?」などをテーマに、パネルディスカッションをお届けしました。
AIなどの導入は、まとまった金額が必要にはなるものの、それでもAIの導入をするべきかどうか。主にエネルギー・プラント業界での導入状況や事例などを交え、ディスカッションをお送りしています。
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