AIによる福祉改革。テクノロジーは山積みの課題をどう打破するのか?

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日本の福祉業界は数々の問題を抱えています。福祉従事者の人手不足に、年々増え続ける要介護者、状況は深刻さを増す一方。

その福祉業務で極めて重要な役割を担うのが“ケアマネジャー”。あまり馴染みのない言葉ですが、ケアマネジャーへの負担を軽減していくことはすなわち、日本の福祉を良くしていくことへと繋がる。その解決に向けてAIでアプローチしているのが、株式会社ウェルモです。

同社CEO 鹿野 佑介さん、CTOの菅 真樹さん、お二人に業界の深刻な状況、抱える問題、それを解決するAIについて伺いました。

ケアマネジャー業務の複雑さ。そこで生じてしまう知識格差による弊害

――さまざまな課題を抱える福祉業界において重要な役割を持つケアマネジャーとは、どういった職業なのでしょう? また、AIで解決されるべき課題とはなんでしょうか?


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――鹿野
「生活でサポートが必要な方たちに、どのような福祉サービスが必要なのかをケアマネジャーが主体となって意思決定を行います。利用者の病状や体の状況に合わせた、最適なケアプランを幾千の選択肢から選んでいくことが主な業務です。

ケアマネジャーになるためには医者看護師介護福祉士などの資格を持った人たちが、プラスαで資格を取る必要があることに加え、医療関係の資格を持ってケアマネジャーになる人、介護福祉関係の資格からケアマネジャーになる人とでは、それぞれの専門知識はあるものの、ケアマネジャーとしては知識量がてんでバラバラ

それにも関わらず求められる知識は幅広く、ケアプラン作成時の知識不足によって大きな事故に繋がるケースもあります。」

介護保険法は複雑なうえ、施設区分に至っては25種類53サービスと細分化していて、サービスを利用者一人一人に合わせて選ぶことは容易ではありません。また利用者自身の情報など諸々がケアプラン作成時に関わってくるので、情報も定量的に測れるものではないのが現状です。

ケアマネジャーには利用者一人一人の状況に合わせた複合的なサポート体制が求められ、それに対応するためにはオーバーワークに繋がるという……。しかも利用者一人一人に対するケアマネジャーの責任は大きいです。

ケアマネジャーの知識を高位平準化。AIで抜け漏れないスピーディなケアプラン作成を支援

――ウェルモの介護計画(ケアプラン)作成支援を可能にするCPA(ケアプランアシスタント)は、ケアマネジャーにどのような価値を提供しているのですか?

――
CPA:ケアプランアシスタントは、ケアマネジャーが抱える知識差をなくし、人的ミスを未然に防ぐよう、支援します。

AIが看護・介護・リハビリ職の知識と経験を学習し、利用者に合わせたケアプランの候補を提案します。あらゆるチャネルに分散する要素を網羅的に学習することで、抜け漏れないケアプラン作成のための情報を得ることが可能になります。

ケアマネジャーの資格・知識によってバラバラだった水準が、AIにより一定の水準に保たれるように支援し、利用者に品質の保証されたサービスの提供を目指しています。」

知識差が問題視されていたケアマネジャーの業界、普遍的なAIが彼らの知識をサポートすることで、ケアマネジャー全体の知識を平準化できる。

同じ保険料を払う国民に福祉の質を担保することは重要なことで、その是正は急務だといいます。

――鹿野
「人手では初回のケアプラン作成に3~4日かかるケースもザラにありますが、CPAを介するとそれが約数時間短縮できます。

時間短縮の結果、利用者とのコミュニケーションにかけられる時間が増えるというメリットがあります。」

コミュニケーションが増えることで、利用者の情報をより深く知ることができる。それこそ、人間がすべきもっとも重要な仕事ですよね。

人間の仕事を代替しサポートするというAIのあるべき姿。人の仕事の価値を引き出すAI活用の好例です。

福祉業界でAIを用いる難しさ。アナログからデジタルへ移行するハードル


ミルモとはウェルモが提供する、福祉事業所のデータベース)

CPAは医療看護・介護・リハビリ職の専門知識と膨大なケアプランデータを学習したうえで、介護事業所データベースとの連携によって、在宅生活を支えるための最適なサービス種別や事業者情報を推奨することを目指します。

そこで気になるのは、これらのデータがどのように集められ、学習されているのか。

――
「私たちがデータを集めるときは、紙の書類やチラシなどを大量に手打ちで入れていくこともしばしば。福祉業界はFAXなども使われておりますし、紙での情報管理がなされている事もあります。AIに学習させるためのデータ準備にとても苦労しています。

ケアマネジャーに必要な専門知識は多岐にわたるため、データを集めるだけでもかなり大変です。さらにデータのフォーマットも統一されていませんし、ケアプランの記述方法も標準化されていません。表記揺れなども多くあるため、作業は単純とは言い難く、AIの精度を上げるために泥臭い作業が必要になっています。」

これまでデータ活用とは無縁な福祉業界において、広範な知識を統合するための手間と苦労は計り知れません。

福祉業界でAI活用に取り組むことは、並大抵の情熱では成し得ないことだと思います。ウェルモの並々ならぬ情熱を感じます。

利用者本位と、ケアマネジャーが正当に評価される福祉業界をAIで実現する

――福祉業界に対するAIのアプローチで、どのような未来を描かれているのでしょう?

――鹿野
私たちは日本の福祉をもっと良くしていきたいです。

日本の福祉サービスは、利用する本人が意思決定できるような構造ではないんですね。属人的でアナログな意思決定行程が起因して、利用者本人が意思決定に関与しづらい。今後は利用者本位を実現することが目標です。

加えて、世の中ではケアマネジャーなどの仕事が正当に評価されていないのが現状です。福祉に携わる人々が正当に評価される社会を作っていきたいですね。

AIを開発する人は、こういった日本が抱える社会問題解決に取り組む方向にもっと動いて欲しいです。」

福祉は必ず私たち自身、もしくは私たちの周りの人が関係してくる、無関心ではいられない領域です。

日本社会でAIが今果たすべき本当の役割は、生活や生命に関わるような重大な事案に対応すること。社内の作業効率化やPR目的のAI活用などもありますが、そこに偏りすぎずもっと大きなスコープで捉えられる問題のためのAI活用が重要なのかもしれません。

日本の社会問題を本気で解決しようと取り組まれているお二人、貴重なお話ありがとうございました。