AIで大腸がんを検出 発見が難しいケースでも8割近くの精度を発揮

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国立研究開発法人国立がん研究センター、国立研究開発法人科学技術振興機構、国立研究開発法人日本医療研究開発機構は2021年1月12日、大腸内視鏡検査時に、大腸前がん病変および早期大腸がんをリアルタイムに自動検出できる、人工知能(AI)診断支援医療機器ソフトウェア「WISE VISION 内視鏡画像解析AI」を開発し、医療機器として承認されたと発表した。典型例だけではなく、非典型例も検出できる。

1万病変以上におよぶ25万枚の画像をAIに学習

同ソフトウェアは、1万病変以上の早期大腸がんおよび、前がん病変の内視鏡画像25万枚(静止画・動画)の画像1枚1枚に国立がん研究センター中央病院 内視鏡科スタッフが所見を付けた上でAIに学習させた。

本AIを用いることで、大腸内視鏡検査時に映し出される画像全体をリアルタイムに解析。大腸前がん病変および早期大腸がんを検出した場合は、通知音と円マークでその部位を示し、内視鏡医にフィードバックしてくれる。内視鏡医はAIが示した場所をさらに注意深く観察することで、意識していなかった場所を意識できるようになり、大腸がんの見逃しを回避できる可能性があるとしている。

発見が難しいケースでも8割近くの精度を発揮

同ソフトウェアの性能検証(DESIGN AI-01試験)では、大腸前がん病変または早期大腸がん病変を正しく検出できるか、誤検出がないかについて、350種類の病変を動画で一定時間以上連続して正しく判定した場合を正解とする基準で検証した。なお、本ソフトウェアは、とくに発見の難しい表面型・陥凹型腫瘍を重点的に深層学習(ディープラーニング)していることが大きな特徴という。

その結果、約83%が5フレーム以上連続で正しく検出し、病変が写っていない動画4000区間中の約89%が正しく大腸前がん病変または早期大腸がんではないと判定。また、視認しやすい隆起型の93病変と視認しにくい表面型の257病変に分けて解析したところ、隆起型では約95%、表面型では約78%を正しく検出した。

これらの結果を臨床医の読影試験と比較すると、隆起型の病変に対して、経験豊富な内視鏡医と同程度の診断性能を持っていると言えるという。また、経験の浅い医師(4名)が本AIシステムを使用することで、表面型の病変の検出が6%高くなる結果も得られたとのこと。

検査を受けていても後に大腸がんに至るケースは約6%

大腸がんは日本において頻度の高い疾患であり、罹患者数も死亡数も増加しているという。大腸の場合、通常“がん”は前がん病変である腫瘍性ポリープ(陥凹性病変や平坦型腫瘍を含む)から発生することが明らかになっており、人間ドックや大腸がん検診で前がん病変が発見された場合は、積極的に内視鏡的切除が実施されている。

アメリカでは1993年に報告されたNational Polyp Studyと、2012年に報告されたそのコホート研究の結果から、前がん病変の多くを占める腺腫性ポリープを内視鏡的に切除することが、大腸がんの罹患率を76%~90%抑制し、死亡率を53%抑制したことが明らかにされているという。

しかし、このように前がん病変あるいは早期がんを内視鏡検査時に見逃さないことが重要だが、肉眼での認識が困難な病変や解剖学的死角、医師の技術格差などにより24%が見逃されているという報告もある。また、別の報告では、大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、後に大腸がんに至るケースが約6%あり、その原因は内視鏡検査時の見逃し(58%)、来院しない(20%)、新規発生(13%)、不十分な内視鏡治療による遺残(9%)が挙げられるとする。

国立研究開発法人国立がん研究センターなどは、大腸内視鏡検査時の病変見逃しを改善し、前がん病変発見率を向上させることが大腸がんの予防、早期発見に大きく寄与するとしている。

>>ニュースリリース

大腸がん早期発見へ、オリンパスが医師の診断を補助するAIを発売

大腸がんと言えば、少し前の事例になるが、オリンパス株式会社は2020年3月2日に、大腸内視鏡画像をAIで解析し、内視鏡検査中に病変が映っているかを推測することで、医師の診断を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)」を発表している。

エンドブレインアイは動画から出した約395万枚の内視鏡画像をディープラーニングに基づいて学習したところ、臨床性能試験では感度95%、特異度89%の病変検出精度を達成したという。

そのほか、詳細は以下の記事をチェックしてほしい。