※本記事は、AIに関する内容を網羅的に記載しています。ご興味のある章から読んでいただいくなど、自由にご活用いただければと思います。
AI(人工知能)とは
AIとは「Artificial Intelligence」の略で、一般的には、「人間の知能をコンピューターを用いて人工的に再現したもの」という意味で理解されています。
しかし、学術的な視点では「AI(人工知能)」という言葉は多義的であり、その定義は、専門家の間でも明確に定まっていません。
以下に専門家による定義の一部を紹介します。
松尾 豊 東京大学 | 人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術 |
中島秀之 札幌市立大学 武田英明 国立情報学研究所 | 人工的につくられた、知能を持つ実態。あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野である |
西田 豊明 東京大学 | 「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」である |
溝口理一郎 北陸先端科学技術大学院 | 人工的につくった知的な振る舞いをするためのもの(システム)である |
長尾真 京都大学 | 人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステムである。人工的に作る新しい知能の世界である |
浅田稔 大阪大学 | 知能の定義が明確でないので、人工知能を明確に定義できない |
松原 仁 公立はこだて未来大学 | 究極には人間と区別が付かない人工的な知能のこと。 |
池上 高志 東京大学 | 自然にわれわれがペットや人に接触するような、情動と冗談に満ちた相互作用を、物理法則に関係なく、あるいは逆らって、人工的につくり出せるシステム |
山口 高平 慶應義塾大学 | 人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム |
栗原 聡 慶應義塾大学 | 人工的につくられる知能であるが、その知能のレベルは人を超えているものを想像している |
山川 宏 玉川大学 | 計算機知能のうちで、人間が直接・間接に設計する場合を人工知能と呼んで良いのではないかと思う |
出典:松尾 豊「人工知能は人間を超えるか」P45より(一部現在の在籍状況に合わせて改変)
AI(人工知能)の分類
AIは汎用性AI、特化型AIの2つに大別できます。
いわゆるAIのイメージに近い「人間のように考えるコンピューター」は汎用性AIに分類されます。一方で、「人間の能力の一部を代替するシステム」は特化型AIに分類されます。どちらもAIと定義されますが、機能はまったく異なります。
汎用性AIとは、特定の課題にのみ対応するのではなく、人間と同じようにさまざまな課題を処理可能なAIを指します。
人間は、想定外の出来事が起きた場合でも、これまでの経験に基づいて総合的に判断し、問題を解決できます。このように、人間のような問題処理能力を持つAIが汎用型AIです。現在のところ汎用型AIの実現への方法は明らかになっていません。しかし、特定領域では人間以上の能力を発揮するAIも存在します。
特化型AIとは
特化型AIとは、限定された領域の課題に特化して自動的に学習、処理するAIを指します。
具体的には、画像認識や音声認識、自然言語処理などの技術(後の章で詳しく解説)を持つAIです。現在ビジネス領域で広く活用されているAIは特化型AIに当たります。
加えて、アメリカの哲学者ジョン・サールが提唱した、強いAIと弱いAIという分類もあります。
強いAIとは、人間のような自意識を備え、全認知能力を必要とする作業も可能なAIを指します。
弱いAIとは
人間の知性の一部分のみを代替し、特定のタスクだけを処理するAIを指します。
「強いAI」と「弱いAI」は、「AIが人間の意識や知性を持つかどうか」という観点で分類した概念。一方、「特化型AI」と「汎用型AI」は「人間のように広範な課題を処理できるか」といった「課題処理」の視点で分類した概念です。
つまり、「強いAI」と「弱いAI」、「汎用型AI」と「特化型AI」の関係性は、どのような観点でAIを判断するかの違いから分類されています。「強いAI」と「汎用型AI」、「弱いAI」と「特化型AI」は観点が異なる近い概念といえます。
AI(人工知能)の歴史
出典:松尾 豊「人工知能は人間を超えるか」P61より
今となってはさまざまな領域で認知されているAIですが、これまで「ブーム」と「冬の時代」を繰り返してきました。
第一次AIブーム「推論・探索」
「AI(人工知能)」という言葉が誕生したのは1956年にさかのぼります。当時、ダートマス大学の数学の教授であったジョン・マッカーシーが「人間のように考える機械」を「Artificial Intelligence(人工知能)」と名付けました。
最初のブーム(第1次AIブーム)は、1950年代後半〜1960年代に勃興。この時代は*「推論」や**「探索」と呼ばれる技術により、パズルや簡単なゲームなど、明確なルールが存在する問題に対して高い性能を発揮し、AIに大きな期待がかけられました。しかし、現実の複雑な問題は解けないという性能的な限界が見えると、ブームは下火となります。
このときAIが解くことのできた実用的でない問題は、「おもちゃの問題(トイ・プロブレム)」と呼ばれました。
*人間の思考過程を、記号で表現し実行しようとすること
**目的となる条件(答え)を、解き方のパターンを場合分けして探し出すこと
第二次AIブーム「知識・エキスパートシステム」
次のブーム(第2次AIブーム)が起こったのは1980年代。この時代は、AIに専門家のように「知識」をルールとして教え込み、問題解決させようとする「エキスパートシステム」の研究が進展します。
エキスパートシステムの研究が進むことで、「医療診断」などビジネスへの応用例も現れるようになりました。しかし、人間の持つ「一般常識」レベルの膨大な知識を記述しなければならないことや、例外処理、矛盾したルールに対応できないといった壁に直面し、ブームは再び終息に向かいます。
第三次AIブーム「機械学習・ディープラーニング」
そして、2000年代からまさに現在にかけて、第3次AIブームを迎えます。
第3次AIブームの原動力になっているのが「ディープラーニング(深層学習)」という技術です。従来の機械学習(後の章で詳しく解説)では人間が*特徴量を定義し、予測や推論の精度を上げていました。ディープラーニングを活用することで、学習データから自動で特徴量を抽出し、精度を向上させることが可能になりました。
機械学習における特徴量とは、学習の入力に使う測定可能な特性のことです。たとえば、赤いリンゴと青いリンゴを識別する際には、「色」が特徴量となります。人はものを識別する際に、無意識に適切な特徴量を利用しますが、ディープラーニングを除く従来の機械学習では、識別に利用すべき特徴量を人間が入力していました。これまで「人の顔の識別」などの複雑な問題において、AIに適切な特徴量を教えることが困難でした。
「コンピューターが自ら特徴量を獲得する」ことは、AIの研究分野においてブレークスルーとなり、現在のAI研究のブームの起爆剤となりました。
ここまで、
- AIには明確な定義がないこと
- AIはいくつかの種類に分類できること
- AIがブームと冬の時代を繰り返してきたこと
を解説しました。
次に、AIについて理解する上で必要になる技術「機械学習」「ニューラルネットワーク」「ディープラーニング」について解説します。
機械学習
機械学習とは、コンピューターが大量のデータを学習し、分類や予測などのタスクを遂行するアルゴリズムやモデルを自動的に構築する技術です。現在使われているAIの、中核技術と言っても過言ではありません。
機械学習の原型は第1次AIブームの1960年代から登場していますが、大量の学習データを処理するのに膨大な計算リソースが必要だったため、実用レベルに達するまでに時間がかかりました。2000年代以降のコンピューターの性能向上や、2010年代からビッグデータを扱うようになり膨大な計算リソースを獲得したことで実用化が進みました。
機械学習の手法は、主に教師あり学習、教師なし学習、強化学習の3種類に分けられます。
そして、機械学習の技術の1つに、第3次AIブームのきっかけとなった、ディープラーニングが存在します。
ニューラルネットワーク
上図:ニューラルネットワークの模式図、下図:ニューロン(人間の脳を構成する神経細胞)Ledge.ai編集部作成
ニューラルネットワークは、上の図のように、データを入力する入力層、データを出力する出力層、入力層から流れてくる重みを処理する隠れ層から構成されます。
人間の脳を構成する神経細胞である「ニューロン」は、電気信号で情報を伝達します。情報伝達の速度は、ニューロンとニューロンの結合部分である「シナプス」の結合強度によって変わります。ニューラルネットワークでは、層と層の間にあるニューロン同士のつながりの強さを「重み付け」で表現します。
ディープラーニング
ディープラーニングの模式図 Ledge.ai編集部作成
ディープラーニングとは、このニューラルネットワークの隠れ層を複数にすることで、特徴量をコンピューターが判断する手法です。
従来の機械学習とは異なり、学習に必要なデータさえ用意すれば学習に必要となる特徴量を自ら抽出できるため、従来、人の手で特徴量を与えていた機械学習では実現不可能だった、高性能な認識が可能になりました。
どの特徴量が重要なのかを自動的に学習できるようになり、人間が考えた特徴量を用いるよりも精度が高くなったと言われています。
ここまで、AIの中核技術として機械学習が存在し、ディープラーニングが「特徴量を自ら獲得する」技術であることを解説してきました。
ディープラーニングの登場により飛躍的に進化した技術があります。ここからはなかでも代表的な「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」「予測」技術を紹介します。
AIによる技術(画像認識、音声認識、自然言語処理、予測)
ここまで、AIの中核技術として機械学習が存在し、ディープラーニングが「特徴量を自ら獲得する」技術であることを解説してきました。
ディープラーニングの登場により飛躍的に進化した技術があります。ここからはなかでも代表的な「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」「予測」技術を紹介します。
画像認識
Ledge.ai編集部作成
画像認識とは、人間の視覚機能と同じように静止画像や動画の内容を理解する技術です。
ディープラーニングが最初に適用された分野であり、現在では自動運転を実現するための中核技術として注目を集めています。ほかにも工業製品の検査など製造業を中心に活用がされ、ロボットメーカーや自動車メーカーなどによる投資も盛んに行われています。
音声認識
Ledge.ai編集部作成
音声認識とは、音声情報と言語情報を組み合わせることで、音声を文字に変換する技術です。
人間が言葉を脳で理解するのに対し、コンピューターは、データ化した音声の特徴量と、記号(音素や単語)を整合させることで音声を認識します。近年急速に普及したスマートフォンやAIスピーカーに搭載されているAIアシスタントの操作に不可欠な技術です。
ちなみに、音声認識は音声からテキストを生成する部分までの機能であり、テキストから意味を抽出し、目的に応じた作業を行う部分までは含まれず、この機能は「自然言語処理」が担っています。
自然言語処理
自然言語処理とは、人間の言語(自然言語)を機械で処理する技術です。
具体的には、言葉や文章といったコミュニケーションで使う「話し言葉」から、論文のような「書き言葉」などの自然言語を対象とし、それらの言葉が持つ意味を解析する技術を指します。機械翻訳、カナ文字変換予想、AIアシスタントなどの音声対話システム、検索エンジンなどで活用されています。
また、自然言語処理の活用を飛躍的に広げた一手法として、Word2Vecというツールがあります。詳しくは関連記事に記載しています。
予測
予測とは、その名の通り将来を起こる事象をAIにより予測する技術のことです。過去の膨大な量のデータを分析することで可能となります。
競馬のレースの着順予想や、ニュースから市場の変化予測、人口統計データとタクシー運行データなどからのタクシー乗車台数予測など、幅広く利用されています。
AI(人工知能)の活用事例
画像・音声認識、自然言語処理、予測などの技術を通して、AIはさまざまなサービスや製品に活用されています。多くの企業がAIを取り入れ新たなビジネスモデルを構築するなど、活用が進んでいます。
ここでは、AIの活用例を「身近な活用事例」と「産業分野への活用事例」に分けて解説します。
生活の中にある身近な活用事例
・画像認識:AIの「踏切障害物検知システム」
踏切の安全確保のため、障害物を検知する画像認識技術が活用されています。
歩行者やベビーカー、車椅子など、これまでの障害物認知システムでは検知できなかった「人」をAIで検知し、踏切での接触事故を減らします。
踏切映像をリアルタイム解析し、AIが人の立ち入り(異常)を検知したら停止信号を発光させて、運転士に緊急停止を促します。同時にネットワーク経由で運転司令室に異常発生を知らせ、現地の踏切映像を確認可能になりました。
・音声認識:AIスピーカー(スマートスピーカー)
AmazonやGoogle、LINEなどが提供するAIスピーカー(スマートスピーカー)には音声認識の技術が使われています。
音声認識によって得られたテキストから、話し手の命令を抽出して指示をこなす「AIアシスタント機能」が搭載されており、ユーザーと対話することで、天気や交通状況などのさまざまな情報やサービスを提供します。
また最近では、自動対応のサービスなどで用いられるチャットボットにも、AIアシスタントが搭載されたことで、音声での活用が広がり、注目されています。
・自然言語処理:文字変換システム出典:https://www.google.co.jp/ime/
スマートフォンでよく目にする、キーボードに入力した文字を変換する文字変換システムは、自然言語処理を活用した機能のひとつです。
「Google 日本語入力」は、豊富な語彙に加え、よく使うフレーズを覚えてくれるほかにも、「明日」など相対的な日付を「2020年2月28日」といった絶対的な日付に変換してくれたり、郵便番号を入力すると住所に変換してくれるなどの便利な補完機能があり、変換の煩わしさを感じさせない日本語入力が可能です。
また、自然言語処理は先に紹介した音声認識と組み合わせることで、AIスピーカーが私たちの声に応対して天気を教えてくれるなど、音声の意味を解析できるといった点で、活用の幅は広がっています。
・AIを活用した予測:競馬×AIPhoto by annca on Pixabay
競馬の着順予想にAIが活用されています。
過去のレースデータを集計し、着順の掛け合わせパターンを計算、データを比較することで、AIがレースの着順を予想します。2017年に株式会社ドワンゴが主催した競馬予想アルゴリズム協議会「電脳賞」では、ニコちゃんAI競馬というチームが通算回収率181.9%という数字を叩き出すなど、話題になりました。
競馬AIは、人が処理できない過去の情報を処理できるため、次世代の競馬予想ツールとして期待されています。
産業分野への活用事例
・農業×AI
就農人口の減少や高齢化など、深刻な問題を抱える日本の農業。これらの問題を解決するため、AIの導入が進んでいます。
「いろは」は、圃場の様子を上空からドローンで撮影することで、作物の育成状況を一目で把握できるサービスです。ドローンで撮影した画像をAIで解析し、収量の予測を助けたり、ピンポイントの除草剤を散布したりしてコスト削減を実現。圃場巡回の時間が削減できるだけでなく、ドローンでのより正確な育成状況の把握が可能になりました。
・医療×AI
先端的な医療現場で膨大なデータの中から患者に有効な治療法の候補を見つけたり、新たな薬を探したりするための糸口として、AIの活用が進んでいます。
富士フイルム株式会社が販売する「胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID」はAI(人工知能)技術であるディープラーニングを活用し、胸部単純X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の3つの画像所見を検出し、医師の画像診断を支援するソフトウェアです。医師の負担を軽減し、肺がんや肺炎、気胸の早期発見を促します。
ほかにも、生活習慣病リスク予測AI、AIを活用した医療施設内での見守りサービス、どこでも簡単に医療診断を受けられるAI搭載アプリなど、医療分野での活用が広がっています。
・金融×AI
金融業界でもAIの活用が増えています。
そのひとつがロボアドバイザー。資産管理・運用をAIがアドバイスするサービスです。別名AI投資とも呼ばれます。アドバイスのみ行い、実際の運用は本人に委任するアドバイス型と、完全自動で資産運用を代替してくれる投資一任型があります。不確定要素が多く、損得が読めない金融商品のリスクをAIが低減します。
また、従来の資産運用のように金融スペシャリストに依頼するよりも、圧倒的にコストを削減できます。それに加え、AIが運用までしてくれる手軽さから、これまで資産運用に触れてこなかったユーザーも取り込むことができそうです。
これらの活用事例のほかに、「2019年AIおもしろプロダクト」をまとめた記事、2020年度のAIアプリをまとめた記事もあります。
AI(人工知能)の未来・人間を超えるのか
Photo by mohamed mahmoud hassan on Pixabay
ディープラーニングの登場によって急速に活躍の場を広げているAIですが、どこまで進化するのでしょうか。AIのこれからについて解説します。
果たしてAIは人間の知性を超えるのか?このような議論でたびたび耳にするのが「シンギュラリティ(技術的特異点)」です。
AIなどの技術が、自ら人間より賢い知能を生み出すことが可能になる時点を指す言葉です。米国の数学者ヴァーナー・ヴィンジにより最初に広められ、AI研究の権威であるレイ・カーツワイル博士も提唱した概念です。
レイ・カーツワイル博士は、「2029年にAIが人間並みの知能を備え、2045年に技術的特異点が来る」と提唱しており、2045年問題と呼ばれています。
近年、シンギュラリティや2045年問題が注目を浴びるようになったきっかけとして、コンピューターの知性を判定するチューリングテストの結果があります。
この実験では、2014年にウクライナ製のAIが「Eugene(ユージーン)」という名前の13歳の少年として振る舞い、30%の観察者が「人間かAIか判断できない」という評価をしたという結果に。
チューリングテストの合格を疑問視する声も多く挙がっていますが、この出来事は人々がAIの発展を現実的に考えさせられるきっかけとなりました。
今とるべき行動とは?
AI(人工知能)が確実に社会に影響をもたらしている現在、今を生きる人間はどのような行動をとるべきなのでしょうか?
AI(人工知能)が仕事を奪う?なくなる仕事、なくならない仕事
AIが人間より高い能力を持つようになれば、これまで人間が行っていた仕事の多くがAIにとって代わられる可能性もあります。現在のような働き方は成立しなくなるかもしれません。
オックスフォード大学の論文「THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?(外部リンク)」では、将来90%以上の確率で消える職業が紹介されています。
また、野村総合研究所のレポート(外部リンク)でも10〜20年後に日本の労働人口のおよそ49%が就いている職業において、AIやロボット等で代替可能との結果が出ています。
代替可能性が高い職種 | 代替可能性が低い職種 |
電話勧誘販売、保険の査定担当者、数理技術者、証券会社員、弁護士の秘書、不動産ブローカー、レジ担当者、料理人、事務員 …etc | リクレーション療法士、聴覚訓練士、社会福祉士、歯医者、精神カウンセラー、人事マネジャー、コンピュータアナリスト、教職者、エンジニア …etc |
参考:https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf
傾向を見ると、主にAIの方が正確かつ素早く処理できる職業が消える可能性が高いとされています。現在でもレジの自動化や調理のロボット化などの機械化の兆候がみえるようになっており、一部の業務において、AIはすでに人間に代わる存在になりつつあります。
一方、対話でのコミュニケーションが必要とされている職業や、専門性の高いエンジニアなどの職業は、仕事として残る可能性が高いと論じられています。AI化やロボティクス化が進むなか、それらの職業は今後一層需要が高まるのかもしれません。
AI(人工知能)との関わり方
今後職業までにも影響を及ぼすと言われるAI。仕事の業務がAIに置き換わることを不安に思う人もいるかと思います。大切なのは、AIとの関わり方を知ることです。
まずは、AIの開発がどのようなプロセスになっているかを知る必要があります。こちらの記事で詳細に紹介しているので、ご覧ください。
あくまで一例ですが、ここでは今後のAIと関わった働き方を大きく3パターンに分けてご紹介します。
Ledge.ai編集部作成
・関わり方1:プログラミングを習得し、AIを実装する
AIの中核技術である機械学習を、自ら実装できるようになるという関わり方です。
近年は「Python」が、機械学習で用いられるプログラミング言語として人気を博しています。AIエンジニアへの第一歩として、Pythonは最適なプログラミング言語と言えるでしょう。
- 信頼性:現在のAIプログラムや研究の多くにPythonが用いられている
- 効率性:Pythonをベースにしたフレームワーク機能が豊富で、効率的に機械学習モデルが構築できる
- 習得の容易さ:Pythonは少ないコード量で簡単にプログラミングができ、他人が書いたコードとの可続性も高い
「プログラミングを実装できるようになる」という観点では、日本ディープラーニング協会(JDLA)の実施する検定試験のE資格の受験も役立つでしょう。
・関わり方2:ノンプログラミングでAIを実装する
ノンプログラミングでもディープラーニングを実装できる「Neural Network Console」のようなツールもあります。
Neural Network Consoleはプログラミングなしでディープラーニングを実装できるGUIツールであり、ソニーネットワークコミュニケーションズ社からリリースされています。
GUIとは、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface)の略語です。GUIツールは、コンピューターへ出す命令や指示などを、ユーザが画面上で視覚的に捉えて行動を指定できるツールで、それまで主流であった命令文を入力して実行する方式(CUI)に比べ、直感的に操作できるのが特長です。
クリックだけでニューラルネットワークをモデル構築でき、Pythonなどのプログラミング言語は出てきません。AIエンジニアの不足が騒がれるなか、個人から法人でも使えるGUIツールも注目を集めています。
・関わり方3:AIをビジネスに組み込む横断的なスキルを持つ
AIと関わるうえで、必ずしもプログラミングの習得を目指す必要はありません。「AIを活用できるビジネスパーソン」を目指すのも選択肢のひとつです。
日本ディープラーニング協会が実施する資格試験のG検定は、AIを学ぶ第一歩としてオススメです。
勉強方法
・本から学ぶ
AI関連の書籍を読むことは、AIと関わる上で一番と言って良いほど身近で効率的な方法です。AIについて大きな枠で捉えつつ、たくさんの専門家の意見を取り入れながら、これからのAI時代がどう変化していくかに思いを馳せるのも良いのではないでしょうか。
・プログラミングを学ぶ
実際に手を動かして、プログラミングをやってみたいという人は、「Python」を勉強することでAIエンジニアへと近づけます。
Pythonは今や非常にポピュラーなプログラミング言語となり、わかりやすさでも有名です。実際にAIを実装してみたいという方は、勉強してみるのが良いでしょう。
その他の関わり方
Ledge.aiではAI業界の活性化を目指す活動の一環として、業界のスペシャリストを招き、最先端の情報に触れる機会を提供する「AI TALK NIGHT」や「THE AI」といったイベントを開催しています。
またほかにも、AIをビジネスに活かすサポートとして、AI活用事例の検索プラットフォーム「e.g.」を提供しています。
成長著しいAIソリューションを、どうやって自社の業務やサービスに活かせばいいのか?「AI TALK NIGHT」は、そんなAI導入を検討している企業がもつ悩みを、AIのスペシャリストのゲストに直接ぶつけられる無料のトークイベントです。さまざまな会社のイベントスペースで定期開催しています。
過去のイベントレポートは下記から。
【Microsoft×電通】使えるAIを作るためには「仮説」と「現場の声」が不可欠
そのデータは顧客の何を知っているのか─データ活用に求められる課題設定力
「THE AI」とは、株式会社レッジ主催の、”今のAIを語る”大規模AIカンファレンス。AIが世の中をこう変える、ビジネスを進化させるなどの抽象的な未来な話ではなく、具体的なコストは? 具体的に何ができるのか? など、今のAIを知る名だたる企業が登壇する大規模イベント。
THE AIの詳細はこちら
AI(人工知能)が普及する世界で大切にしたい考え方─Ledge.ai 元・編集長 飯野希
これまで解説してきたように私たちは、今後一層AIと関わりを持った社会を生きることになります。
そこで、Ledge.aiの編集長を務める飯野希(2020年6月に編集長は高橋忠弥に交代)に「AIと関わるうえで大切にしたい考え方」を聞きました。
「『AIが私たちの仕事を奪うのでは……』と漠然とした恐怖を抱いている方も多いと思います。
もちろん、一部の仕事はAIに代替されていくことは避けられません。ただ、それはAIに限らずどんなテクノロジーが出たときも歴史で繰り返していることです。重要なのは『機械に任せられることは任せてしまう』という意思を持つことです。
これからますます時代は、人間だからこそできることの価値が大きくなっていきます。自分だからこそできることは何か? を考えながら、スキルアップしていくのが大事だと思っています。
第三次と言われている今回のAIブームですが、ビジネスでの事例も多くでてきており、単なるブームではなくこのまま社会に溶け込んでいくでしょう。この大きな分岐点のタイミングに立ち会える喜びを感じながら、しっかりこの波に乗っていきましょう」
AIの定義や使われている技術、活用事例や生活にもたらす影響などを解説してきました。
本記事を通して、AIに対する理解が深まり、AIをビジネスに活用しようと一歩を踏み出す一助となれたら幸いです。
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