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無料で機械学習が学べるコンテンツ+α 特集 2023年・秋版
:::small 画像はAdobe Fireflyでプロンプト[秋にプログラムの勉強をする猫]で生成 ::: 近年、人工知能(AI)業界は急速に進化し、機械学習を活用したサービスが登場している。すでに「ChatGPT」や「Microsoft 365 Copilot」などが企業や大学、官公庁の業務効率向上に導入がされており、そのメリットとデメリットを慎重に検討しながら利用されている。使用するデメリットとして、これらのAI・機械学習サービスは情報流出などの予測外のリスクも考慮しなければならない。AI開発者だけでなく、利用者自身も機械学習の基本的な理解を持ち、AIを安全に活用することがこれからの時代に重要なリテラシーだ。 AI開発には特に「Python(パイソン)」というプログラミング言語が注目されている。Pythonは機械学習の開発に広く用いられ、使いやすさと豊富なライブラリが人気の理由である。 幸いインターネット上には、無料で機械学習を学べる多くのコンテンツが存在する。活用すれば個人の仕事や研究にAIを活用することはもちろん、企業や大学のIT担当者として組織の業務全体に必要なAIを選んで導入したり、目的に合わせたAIの開発まで可能になる。 学問に王道は存在しないが、本稿では代表的なオンライン学習サイトを紹介し、それらをどのような順番で利用すべきかを、計画的かつ合理的に解説する。 :::box **目次** - **機械学習の学習ロードマップ** まずは「機械学習基礎」と「Python」を学ぶ - 「Aidemy Free」はプログラミング初心者におすすめ - 「Chainer Tutorial」はプログラミング経験者向き - 東大「Pythonプログラミング入門」は一度挫折した人にぴったり - 東工大 「Python早見帳」「機械学習帳」で回帰・分類・教師なし学習に挑戦 - **専門分野「自然言語処理」「コンピュータビジョン」等を学ぶ** - 「JMOOC」で数学から「データ分析」を学びたい方に - 「データサイエンススクール」は総務省 統計局が提供する社会人向け講座 - 「Scikit-learn公式ユーザーガイド」は「データ分析」のタスクに必要な部分だけ学べる - 「キカガク」は無料で「画像認識」「自然言語処理」に必須のライブラリを学べる - **有料で学習しやすいコンテンツもチェック** - Udemy 学びたい人、教えたい人のためのオンラインのマーケットプレイス - Cousera 修了証明書や専門職資格が取得できるオンライン大学 - PyQ 技術本一冊分で学べる機械学習 - Aidemy premium 3ヶ月でAI人材に!Python特化型プログラミングスクール ::: ## 機械学習の学習ロードマップ 無計画で機械学習の学習を進めることは困難である。また計画しようにも何から手をつければいいかわからず、計画段階で心が折れてしまうこともある。 自身の目標や必要な知識を明確にすること、そして学習の進め方を計画することが効率的な学習に重要だ。計画の参考になるよう、以下に学習のロードマップの一例を示す。 ![image5.png] **0.目標の確認** はじめに目標を確認し、目的に必要な知識をリサーチすることをすすめる。 膨大な学習を効率化するために重要な項目である。 **1.数学の基礎** 数学(微積・線形代数)の基礎知識があると、機械学習の学習をスムーズに進めることができる。例えばPythonの数値計算ライブラリである「NumPy」を使用する際、線形代数の行列という概念を理解していれば素早く理解できることがある。またデータ分析に役立つ機械学習ライブラリ「scikit-Learn」を学ぶ際には、アルゴリズムの背後にある原理を理解するために微分積分の知識が役立つこともある。 このような数学の知識は、機械学習の理解を深める上で大いに役立つが、あくまで機械学習の基本をより強固にするものである。自身のスキルや目標に合わせて、必要な数学の部分から学んでも良い。 **2.機械学習の基礎** Pythonの文法と機械学習に必須の3種類のライブラリ「NumPy」「Matplotlib」「Pandas」から学ぶことをおすすめする。 :::box **ライブラリとは** 「NumPy」「Matplotlib」「Pandas」はPythonのライブラリである。 ライブラリはある特定の機能を、短い記述で実行するための関数の集まりである。 例えば「Matplotlib」はグラフを表示するためのライブラリで、簡単にグラフの種類や、文字の色の変更などを行える。 ::: **3.プログラムの基礎** 機械学習の基本的な概念(教師あり学習、ディープラーニング、強化学習)を学び全体像を掴んでおくことも専門的なタスクを実行するとき、理解への助けになるはずだ。 **4.専門的な学習** 続いてタスク別の分野「画像認識」「データ分析」「自然言語処理」など、自分が興味のある専門分野を選び、実装を目指す。さらにそれぞれの基本的な概念やライブラリを学習する必要があるためどれか一つに絞ることが得策だ。 本記事ではそれぞれの学習段階を意識して無料で学べるコンテンツを紹介する。 ## 完全無料で「Python」と「機械学習の基礎」が学べるコンテンツ まずは「2.機械学習の基礎」「3.プログラムの基礎」が無料で学べるコンテンツ紹介。機械学習のためにPythonを使うことが意識された教材を厳選した。 ### [**Aidemy Free**]**プログラミング初心者おすすめ** :::box 情報の充実度★★☆ わかりやすさ ★★★ 学習スタイル テキスト+動画+テスト 完全無料 ::: **学べる内容** Python、機械学習の基礎、ディープラーニング基礎 ![image8.png] Aidemy Freeは一度もプログラミングをしたことがない人にもすすめられる。 Aidemy FreeはPythonの実行環境をサイトに搭載しており、環境開発要らずで学習を始めることができる。また各章にテストがあるため、初心者でも着実に学習を進めることが可能だ。完全無料で「Python入門」や「はじめてのAI」「機械学習概論」「ディープラーニング基礎」などのコースを選択することできる。 「機械学習とは?」という全体像を掴むことができ、学習のスタート地点に最適。 ### [**Chainer Tutorial**] :::box 情報の充実度★★★ わかりやすさ ★★☆ 学習スタイル テキストのみ 完全無料 ::: **学べる内容** Python(NumPy、Matplotlib、Pandas)、数学基礎 、データ分析入門(scikit-learn) ディープラーニング(Chainer) ![image6.png] Chainer Tutorialは「Python以外のプログラム経験がある人」、「数学を復習したい人」にすすめる。 Chainer Tutorialは機械学習の理解への助けとなる数学の解説からはじまり、ディープラーニング実装まで学習できる非常に丁寧な解説かつ情報量の多い完全無料のテキストである。 PythonライブラリのNumPy、Matplotlib、Pandasやデータ分析ライブラリのscikit-learnを詳しく学ぶことができる。自分の力で読み進めてゆける人には最適な教材だ。 ### **東京大学 数理**・**情報教育研究センター** 「[**Pythonプログラミング入門**]」 :::box 情報の充実度★★★ わかりやすさ ★★☆ 学習スタイル テキストのみ 完全無料 ::: **学べる内容** Python(NumPy、Matplotlib、Pandas)、データ分析入門(scikit-learn)、Colaboratory Jupyter Notebook ![image11.png] 東京大学 数理・情報教育研究センターの「Pythonプログラミング入門」は実行環境の開発に挫折した人にすすめる。 「Pythonプログラミング入門」はオンライン実行環境であるColaboratoryやJupyter Notebookの使い方が解説されており、簡単に実行環境を用意できる。微分や線形代数を理解していればPythonライブラリのNumPy、Matplotlib、Pandasやデータ分析ライブラリのscikit-learnをスムーズに学習できる。 ただし「機械学習とは?」という全体像を掴むことに適した教材ではないので、そちらは別に学ぶとよいだろう。 ### **東京工業大学 岡崎 直観教授** 「[**Python早見帳**]」 :::box 情報の充実度★★★ わかりやすさ ★★☆ 学習スタイル テキストのみ 完全無料 ::: **学べる内容** Python(NumPy、Matplotlib)、機械学習 (回帰・分類・教師なし学習) ![image3.png] 東京工業大学 岡崎 直観教授の「Python早見帳」&「機械学習帳」は機械学習の回帰・分類・教師なし学習を学びたい人にすすめる。 「機械学習帳」ではイラストを交えながら理論とPythonによる実装をセットで解説が行われており、実際にプログラムの動きを見ながら学習することができる。 ## 機械学習の専門分野が無料で学べるコンテンツ 続いて「**4.専門的な学習ができるコンテンツ**」を紹介する。 機械学習には「データ分析」「自然言語処理」「コンピュータビジョン」「ディープラーニング」など様々な専門分野が存在する。以下ではタスク別で、学習コンテンツを紹介する。 ![スクリーンショット 2023-09-28 15.09.28.png] ### **オンライン大学講座のプラットフォーム** [**JMOOC**] ![image9.png] :::box 学習できる内容: 「数学」「データ分析」「機械学習の概要」など ::: :::small ※上記の学習できる内容は、科目の開講時期によって異なる。 ::: JMOOCは「オンラインで公開された無料の講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる」MOOC(MOOCs)という教育サービスの日本版である。 開講科目は時期によって変更されるが、2023年9月現在は滋賀大学「データサイエンス」早稲田大学「機械学習」、明治大学「線形代数」など様々な講義を無料で受講することが可能だ。 ### [**データサイエンススクール**] ![image12.png] :::box 学習できる内容:「 データ分析(理論)」 ::: 総務省 統計局が提供する無料のオンライン学習サイトである。統計力向上を目的とした講座で、「社会人のためのデータサイエンス入門」ではデータサイエンスの必要性からビジネスにおける事例と手法を学習することができる。またExcleやR言語を使った演習も体験できる。 ### [**Scikit-learn公式ユーザーガイド**] ![image7.png] :::box 学習できる内容: 「データ分析(実装)」 ::: scikt-learnは特に「データ分析」で有効なPythonのライブラリである。scikt-leranのユーザーガイドではモデルごとの実装例と手法が詳しく解説されているため、自分のタスクに必要な部分だけを学習することが可能である。目的が既にあり、統計分野の知識があるかたはこの公式サイトで十分かもしれない。 ### [**キカガク**] ![image2.png] :::box 学習できる内容: 「画像処理」「自然言語処理」「ディープラーニング」の基礎 ::: 「画像処理」「自然言語処理」「ディープラーニング」の実装に必要な「TensorFlow」や「PyTorch」を登録なしで、無料で学習することができる。またサイトに登録すれば無料で 「Python&機械学習入門コース」 や 「脱ブラックボックスコース 」を利用できる。 また有料版ではサポート付きの長期コースや、買い切りのオンライン学習コンテンツを選択することができる。 ## 有料で学習しやすいコンテンツ ### [**Udemy**] 「**学びたい人、教えたい人のためのオンラインのマーケットプレイス**」 「[**ビジネスケースで学ぶPythonデータサイエンス入門**]」 ![image4.png] :::box 学習できる内容: 「データ分析」「画像処理」「自然言語処理」「ディープラーニング」など 価格: 1000円~50000円 ::: Udemyはオンライン上で教材の販売、購入が行えるプラットフォームである。 販売されている教材はユーザーレビューが確認できるため、質の高い最新の教材を選択することができる。以上はデータ分析に関する人気教材の例である。 ### [**Cousera**]「**修了証明書や専門職資格が取得できるオンライン大学**」 「[**IBM Data Science**]」 :::box 学習できる内容: 「データ分析」「画像処理」「自然言語処理」「ディープラーニング」など 料金: 月額4714~6946円 ::: Courseraは、多くの有名な大学や教育機関と提携しており、さまざまな分野のオンラインコースを提供している。Courseraでコースを修了すると、修了証明書や専門職資格(Specialization)、学位プログラム(Master's degree、Bachelor's degreeなど)を取得できる場合がある。 これらの証明書や学位は、職業的なスキルの向上やキャリアの発展に役立たせることが可能である。 Courseraは多言語に対応しているが日本語に対応しているコンテンツが少ないため、英語での学習にストレスがない方におすすめする。以上はデータサイエンスに関する人気教材の例である。 ### [**PyQ** ] ![image13.png] :::box 学習できる内容: 「データ分析」「ディープラーニング」など 料金: 月額3040円 ::: PyQではブラウザでPythonを実行することができる。これにより、教材を読む→コードを書く→実際に動かすという流れを画面内で完結できる。PyQでの学習は、数個の問題からなる「クエスト」という単位で進む。 600クエスト・1500問以上存在するすべてのクエストは、好きな順に学び放題だ。楽しみながら学習したい人にすすめる。 ### [**Aidemy premium**] :::box 学習できる内容: 「データ分析」「画像処理」「自然言語処理」「ディープラーニング」など 料金:528,000円~ ::: Python特化型プログラミングスクールである。未経験から3ヶ月でAI人材を目指すことを目標にしており、短期間で学習を進めることができる。さらに専門知識のあるメンターからサポートを受けることができる。質問をできる環境が欲しい人向きだ。

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