国内社会人の4割以上が、学ぶことに無関心なだけでなく、今後も学びたいと思っていない——。
株式会社ベネッセコーポレーションは、社会人約35,000人を対象に実施した「社会人の学びに関する意識調査2022」と、同社が国内企業への販売を行うオンライン動画学習サービスUdemy Businessを導入する国内企業800社の受講状況からの分析結果を発表した。
社会人の学びへの関心の低さと学習意欲の高め方や、国内企業の業界別のリスキリングの人気講座なども明らかになった。
国内社会人の41.3%が学びに無関心
「社会人の学びに関する意識調査2022」では、18歳から64歳の学生を除く社会人35,508人に対して学習状況の調査が行われた。社会人になってからの学習経験と学習意欲の有無から、学習状況を4つに分類した結果、以下のようになった。
【学んでいます層】社会人になって学習したことがあり、これからも学びたいと思う層:33.6%
【学ぶつもり層】社会人になって学習したことはないが、これから学びたいと思う層:13.5%
【学ぶの疲れた層】社会人になって学習したことがあるが、これからは学びたいと思わない層:11.5%
学習意向と仕事への意識には関連性
「学習意向」と「仕事への意識」で関連性がみられ、特に「新しい仕事に挑戦し続けたい」「仕事を通じて成長をし続けたい」といったスキルアップの面で意識の違いがみられた。
学ぶ意欲が高い人(学んでいます層・学ぶつもり層)は、意欲が低い人に比べて「副業や兼業をしたい」「学位取得のために仕事を離れて学び直したい」と回答した割合がやや高い一方、どの層も「できれば働かず不労所得などで暮らせるようになりたい」は多数派だった。
「学ぶのに必要なきっかけ」TOP5
学習経験がなく、学習意欲も低い(「なんで学ぶの層」に該当する)人が答えた、学ぶのに必要なきっかけのTOP5は以下のようになった。
1位 「仕事で必要になる」
2位 「お金に余裕ができる」
3位 「達成したい目的がみつかる」
4位 「時間ができる」
5位 「職場から求められる」
リリースでは、「学ぶのに必要なきっかけ」TOP5の結果から、「国内のリスキリング推進には、企業や組織が一体となったアプローチが有効だといえる」と考察されている。
リスキリングの主流はDX
ここからは、Udemy Businessを導入する国内企業800社の回答からみる、リスキリングの受講トレンドを紹介していく。
本調査では、2022年上半期に受講された人気講座TOP10のうち8講座がDX及びIT関連の講座だった。
トップは「今日から始めるデジタルトランスフォーメーション!テクノロジーの仕組みからデータ活用基盤のつくりかたまで」。
また、データ活用やExcel講座、文系向けのプログラミングなど、「ITを使う人」のリスキリングが加速しているといえる。AI関連講座は「みんなのAI講座 ゼロからPythonで学ぶ人工知能と機械学習」が10位にランクインした。
IT専門職・ビジネス職別の人気講座TOP5
最後に、主要な業界のITを作る人(エンジニア等)・使う人別の、人気のリスキリング講座TOP5を紹介する。
PythonでのAI講座やAWSなど、「作る人」には実践的プログラムが人気
Sler・ソフトウェア開発:オープン系・Web系サービスの開発に移行が進んでいる影響から、AWSなどクラウド技術をエンジニア社員が学んでいる
自動車・輸送用機器:自動運転などAIを始めとする最先端技術の向上を目的とした社員のリスキルが推進されている。一方で、まずはExcel VBAでの業務効率化からリスキルを始める企業などもあり各社で状況は異なっている
輸送・ロジスティック(物流):配達員の業務効率化につながるAI技術の導入などを目的としてAI・Python関連の講座が上位を占めている
コンサルティング:新入社員研修として、データベースや統計学、Excelといったデータ分析関連の講座が上位を占めた
「使う人」はITパスポートやITリテラシー、仕事術の講座を受講
銀行・証券:若手社員のITリテラシー育成が中心。ITパスポート資格は「ITのTOEIC」的位置づけとして取得を推奨され始めているため、今回1位となった
広告・放送・新聞:デジタルマーケやWebデザインなど新たな知識を必要とする仕事が増加していることから、企業として学習環境を提供しているケースが多い。ExcelなどのITリテラシー関連が広く受講されている一方で、より高度なITスキルを学習し始めている社員もいる
不動産:DXを実施する企業が増加している。ITリテラシーの育成を中心にリスキルが進行しており、金融業界と同様にITパスポート資格の取得が推奨されている
総合商社:マイクロソフトが提供するデータ可視化ツール「Power BI」の講座がトップとなっており、企業によってはExcelからPower BIに標準ツールを移行しているケースもある
調査概要
社会人の学びに関する意識調査2022
- 対象:全国18~64歳の男女(学生を除く)、35,508名
- 期間:2022年3月18日(金)~2022年3月22日(火)
- 方法:インターネット調査
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