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2026/3/26 [THU]
AI動画編集ソフト「Filmora」は実務に耐えうるか? 企業向け動画2種を“素材ゼロ”から作って検証のサムネイル画像

AI動画編集ソフト「Filmora」は実務に耐えうるか? 企業向け動画2種を“素材ゼロ”から作って検証

動画による情報発信は、もはや企業にとって「やったほうがいい施策」ではなく「当たり前の施策」になりつつある。しかし、現場からは「動画の必要性は理解しているが、制作のリソースがない」「外注する予算も時間もない」という悲鳴にも似た声が聞こえてくるのが実情だ。 そこで注目したいのが、クリエイティブソフトメーカーWondershareが提供する動画編集ソフト「[Filmora(フィモーラ)]{ target="_blank"}」だ。近年のアップデートでAI機能が大幅に強化されているという。 本記事では、Filmoraを実際に使用し、「企業担当者が実務で使えるレベルなのか?」という視点で検証を行った。「AIですべて自動化できるか」という魔法のような話ではなく、「どこまで実務の負担を軽減してくれるか」というリアリティのある検証結果をお届けする。 ## 検証の前提:動画編集初心者が「素材ゼロ」から挑む 検証に入る前に、筆者のスキルセットと環境を提示しておく。 - 動画編集スキル: 初心者寄り(他社のツールでYouTube動画を数本作成したことがある程度) - AI利用頻度: テキスト生成AIなどは日常的に使用 いわゆる「動画専任ではないが、動画を作らなければならない企業担当者」の目線に近いと考えてほしい。 今回、以下の2種類の動画を「素材が手元にない状態」からFilmoraのみで制作し、その実用性を検証した。 1. **自社サービス紹介動画** サービス概要のテキストのみ用意。画像、ナレーション、字幕などの素材はすべてFilmora内で生成。 2. **導入事例/インタビュー動画** コメント文のテキストのみ用意。「テキスト→動画」機能を中心に、映像素材を生成。 ## FilmoraのAI機能:生成から編集補助までを網羅 Filmoraに搭載されているAI機能は多岐にわたるが、大きくは以下の3つのカテゴリに分類できる。 1. **生成系AI**: テキスト、画像、音楽など素材をゼロから生み出す 2. **編集補助系AI**: 自動字幕起こし、AIポートレート(被写体切り抜き)、サイズ調整など 3. **運用・出力支援**: プラットフォームに合わせた書き出し最適化など これらが一つのソフト内で完結している点がFilmoraの強みだ。 なお、FilmoraのAI機能を利用する際には「AIクレジット」の消費が必要となる。AIクレジットはFilmoraが提供する高度なAI機能を利用するための仕組みで、機能の種類や処理内容によって消費量が異なる。使用ルールの詳細については [公式ページ]{ target="_blank"}で確認できる。 では、実際の制作フローに沿って各機能の実力を見ていこう。 ![01.png] ## 架空の「自社サービス紹介動画」を作成(所要時間:約1時間) まずは、架空のWeb制作サービスを想定し、その紹介動画を作成した。 **構成案はAIにお任せ(AIコピーライティング)** 動画制作の最初の壁は「構成」だ。Filmoraには「[AIコピーライティング]{ target="_blank"}生成機能」が搭載されている。動画で伝えたい要素を入力するだけで、構成案やセリフの叩き台を提案してくれる機能だ。 ![02.png] ゼロベースで考えるよりも、出力された案をベースに調整するほうが圧倒的に効率が良い。「何をどのような順序で伝えるべきか」を整理するフェーズにおいて、この機能は強力なアシスタントとなる。 **素材もナレーションも内製化(AI画像生成・AIナレーション)** 構成が決まれば次は素材だ。今回は撮影素材がないため、Filmora内の「[AI画像生成]{ target="_blank"}」を使用した。テキストで指示を出すだけで、ビジネスシーンやWebサービスのイメージ画像を生成できる。 ![03.png] 生成された画像は、動画のつなぎ素材として十分なクオリティだ。「とりあえず動画を形にする」という目的において、外部の素材サイトを探し回る手間が省けるのは大きい。 また、ナレーションもソフト内で生成可能だ(テキスト読み上げ(TTS))。複数の声色やトーンが用意されており、男性・女性の使い分けも容易である。 ![04.png] AI特有の機械的な抑揚が気になる箇所もあったが、手動での微調整が可能であるため、実用範囲内といえる。何より、ナレーターを外注したり、自ら録音したりするコストを削減できるメリットは計り知れない。 **驚きの精度だった「[AI自動文字起こし]{ target="_blank"}」** 今回、特筆すべきはその字幕生成の精度だ。 ![05.png] 生成された字幕を確認したところ、誤字脱字の修正はゼロで済んだ。40秒程度の動画で、調整が必要だったのはタイミングと改行位置の3箇所程度のみ。 従来、テロップ入れは動画編集の中でも特に時間のかかる作業の一つだったが、この精度であれば業務効率は劇的に向上するだろう。 **Filmoraの内蔵素材を検証|表現力を支えるステッカー・エフェクトの実力** Filmoraには、動画の表現力や完成度を手軽に高められる[内蔵素材]{ target="_blank"}が多数用意されている。今回はその中から、ステッカー、エフェクト、トランジションを中心に実際に使用感を確認した。 ステッカーは操作性が非常にシンプルで、タイムラインへドラッグ&ドロップするだけで容易に挿入できる。サイズや位置の調整も直感的で、動画編集に不慣れな場合でも扱いやすい設計だと感じた。 ![06.png] AIステッカーについては、生成結果が入力するプロンプトの精度に大きく依存する印象を受けた。今回は比較的カジュアルでプライベート感のある表現が多かったが、指示内容を具体化することで、ビジネス用途にも応用できる余地はありそうだ。 なお、商用利用を前提とする場合は、素材ごとに「商用利用可能」と明記されているものを使用する必要がある。多くの素材は商用利用に対応しているものの、使用前に確認することが重要である。 エフェクトやトランジションについては、ドラッグするだけで映像の印象が大きく変わり、クオリティが一段引き上がる点が特徴的だった。細かな調整を行わなくても自然な動きが適用されるため、表現の幅を手軽に広げられる。 一方で、名称やサムネイルのみでは実際の動きや効果を把握しづらい素材もあり、実制作前に挙動を確認しておくことで、よりスムーズに活用できると感じた。 また、左上にピンク色のダイヤモンドマークが付いた素材は有料素材であり、利用には対応する[素材プランへの加入]{ target="_blank"}が必要となる。必要な表現に応じて選択できる仕組みのため、用途に応じた柔軟な使い分けが可能だ。 **SNS運用に直結する書き出し** ![07.png] ![08.png] 完成した動画の書き出しには、YouTubeや各SNS向けのプリセットが用意されている。解像度や形式で迷うことなく、各プラットフォームに最適な状態で出力できる点は、動画関連の業務が専門ではない担当者にとって嬉しい機能だろう。 ## テキストのみから「導入事例動画」を作成(所要時間:約30分) 次に、「テキストのコメントだけが手元にある」という想定で、導入事例動画の制作に挑戦した。2回目の作業ということもあり、UIへの慣れも手伝って約30分で完成に至った。 **テンプレートでクオリティを底上げ** Filmoraには豊富なテンプレートが用意されている。オープニング映像単体から動画全体の構成済みテンプレートまで、その種類は幅広い。 ![09.png] テンプレートを使用する最大のメリットは、素材を当てはめるだけで「プロっぽい」クオリティが担保される点だ。カットの切り替えやモーションが最初から設定されているため、デザインセンスに自信がない担当者でも、一定水準以上の動画を作成できる。 ビジネス用途ではややトーンの調整が必要なデザインもあるが、今後ビジネス特化のテンプレートが拡充されれば、さらに使い勝手は向上するはずだ。 **「テキストから動画生成」機能の実力** 今回の検証で最も衝撃を受けたのが、この「[テキストから動画生成]{ target="_blank"}(Text to Video)」機能である。 ![10.png] インタビュー対象者の特徴や話している内容をテキスト入力するだけで、AIが映像と音声を生成してくれる。他の生成機能に比べてクレジット消費量は多めだが、その対価に見合うだけの品質がある。 生成された映像に違和感は少なく、音声も非常に自然だ。修正の手間がほぼ不要であることを考慮すれば、業務におけるコストパフォーマンスは極めて高い。「お客様の声はテキストでもらっているが、動画撮影まではできていない」といったシーンで、この機能は強力な武器になるだろう。 **法人利用を想定した価格プランと導入の考え方** Filmoraは、個人利用だけでなく、法人・チーム利用を前提とした価格プランも用意されている。 [法人向けプラン]{ target="_blank"}では、商用利用を想定したライセンス設計となっており、業務用途で安心して動画制作を行える点が特徴だ。 具体的には、年間プランと永続ライセンスが用意されており、利用期間や運用スタイルに応じて選択できる。 短期的なプロジェクトや制作本数に波がある場合は年間プラン、長期的に社内ツールとして継続利用する場合は永続ライセンスが適しているだろう。 また、法人向けプランでは、商用利用可能なクリエイティブアセットを含めた運用が前提となるため、社内資料、プロモーション動画、採用コンテンツなど、幅広いビジネス用途に対応しやすい。 「動画制作専任の部署はないが、内製で一定品質の動画を継続的に作りたい」 そうした企業にとって、Filmoraの法人向けプランは、コストと機能のバランスが取りやすい現実的な選択肢と言える。 ## 総評:Filmoraは「考える負担」を減らすAIツールである 今回の検証を通じて見えてきたのは、Filmoraと他のプロ向けツールとの明確な立ち位置の違いだ。 1. **他のプロ向けツール**: 作り手が主導し、AIはあくまで補助として機能するツール。高度な編集や細部へのこだわりを追求する場合に向く。 2. **Filmora**: AIが主導し、作り手はそれを「判断(ディレクション)」するツール。短時間で一定クオリティの成果物を出すことに特化している。 **結論:どんな企業に適しているか** 検証の結果、Filmoraは以下のような課題を持つ企業や担当者に最適であると結論づける。 **編集リソース不足**: 専任の編集者がおらず、兼務で動画制作を行っている。 **スピード重視**: 外注するほどの予算や時間はかけられないが、サクッと動画を作りたい。 **素材不足**: 手元にリッチな映像素材がないが、情報を動画化したい。 **スキル不足**: 他の高機能ツールはハードルが高いと感じている。 「動画を内製化したいが、リソースもスキルもない」という企業の現場において、Filmoraは現実的かつ強力な選択肢となるはずだ。AIはもはや「魔法」ではなく、日々の業務を支える「頼れる同僚」になりつつあることを、Filmoraの進化は証明している。

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