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12月3日、丸の内「Deloitte Tohmatsu Innovation Park」にてスマートファクトリー共同セミナーが開催された。当日は主催の合同会社 デロイト トーマツのほか、エヌビディア合同会社(NVIDIA)やデル・テクノロジーズ株式会社、シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社、アルテアエンジニアリング株式会社、パロアルトネットワークス株式会社といった、スマートファクトリー関連企業から担当者が登壇。製造業が抱える課題と、スマートファクトリー化に向けたさまざまな提言を行った。 本記事ではその中から、デロイト トーマツの芳賀氏、NVIDIAの高橋氏、デル・テクノロジーズの比留間氏、水口氏による講演をレポートする。 ## デロイト トーマツが語るSDMと製造業の変革ポイント :::box ![0.png] 合同会社 デロイト トーマツ パートナー 芳賀 圭吾 氏 ::: 芳賀氏はまず、製造業が直面する2025年に向けた課題として、「地政学リスクへの対応で複雑さを増すグローバルビジネス」「労働力人口が減少する中、製造業を支える新たな人員体制の必要性」「AIテクノロジーの進化スピードへの適応が競争力を左右すること」を挙げた。 特にAIの進化は製造業に大きなインパクトをもたらしており、現場データをいかに価値創造やイノベーションに活用していくかが重要だと指摘する。また、中国をはじめとする新興国の製造業におけるデジタル活用の動きにも危機感を示し、日本の製造業もスピード感を持ってキャッチアップしていかなければならないと強調した。 ![1.jpg] 製造業へのデジタル活用といえば、本イベントのテーマでもある「スマートファクトリー」が注目されている。しかし、芳賀氏によると「目的別のITと設備・組織別のOTは相容れない考え方」とのことで、両者の統合にはまだ課題が多いという。 そのような製造領域のデジタル化における複雑性を解消する鍵となるのが「ソフトウェア・デファインド・マニュファクチャリング(SDM)」だ。 ![2.png] 「SDMは仮想化テクノロジーをベースにした柔軟かつオープンなテクノロジーで、自由度の高い管理を実現しています。たとえばSDVがそうです。物理的に実現した機能を電子的に変更するだけでなく、ソフトウェア上でのシミュレーションを通じて機能や性能を高め、それを物理世界に落とし込むサイクルが重要です」(芳賀氏) こうしたデジタル空間における物理世界の再現は、これまでにも議論されてきた話題ではある。しかし、それらの取り組みは“再現”で終わることが多く、その先にあるイノベーションに結びつくことが少なかった。 その理由の一つとして芳賀氏が挙げるのは、工場内にある設備機器や人の仕事がまだ本当にモデル化されているとは言えないことだ。タクトタイムやチョコ停、品質など、さまざまな要素をモデル化し、あらゆる設定や配置の中でシミュレーションする。そこから新たな課題を発見し、改善する。こうしたプロセスが重要になると芳賀氏は語った。 ![3.jpg] 続いてSDMを支える技術的なアーキテクチャについても解説があった。芳賀氏によると、SDMは従来のデータベースとデータの標準化による連携ではなく、AIの機能を活用した連携がポイントになるという。 「特にフィジカルAIでは、上位システムからの指示を現場の制御系機器やデバイス制御に落とし込んだ上で、実際の制御データと実績のフィードバックを組み合わせ、物理法則も理解しながらモデルをチューニングしていくことが重要です」(芳賀氏) ![4.png] このように、ドメインごとの業務マネジメントの仕組みをAIエージェントが管理し、人の要求に対してシステムが自動的に調整を行う動きが今後は一般的になっていくだろう。 芳賀氏はさらに、現場で発生するさまざまな出来事に対して必要なデータを紐づけ、「現場の事実情報」として構造化する考え方を提示した。 たとえば品質エラーが発生した際、単なるエラーコードだけでなく、設備、製品、部品、環境条件、オペレーター情報などを含めた5W1Hを確認することで初めて原因特定が可能になるわけだ。 現在はデータレイクから情報を取り出して加工しなくても、ストリーミングで上がってくるデータを加工してアノテーションできる時代になっている。こうした取り組みを通して、データを意思決定に活用できるようにしていくことがポイントなのだ。 また、芳賀氏はAIがデータの範囲内で答えを出す一方で、人間がAIの問いに対して現場を見ながら最適な判断をして新しい仮説を創造する役割分担が重要だと強調。日本の製造業における競争力の源泉である「変更点管理」「なぜなぜ分析」「横展開」といった改善活動について、AIを活用して支援する「活動・意思決定モデル」の構築を提案した。 ![5.png] 芳賀氏は最後に「新興国が投資だけでなく、製品の進化や品質向上のスピードでも勝負をかけてきている」と指摘。日本の製造業全体の競争力を維持するために、SDMの導入が必要だとあらためて訴えた。 SDMはツールでも目的でもなく、大きな変革の流れそのものであり、事業課題を解決する切り口として欠かせない考え方だ。人の役割や価値が変わっていく中で、現場を支えるワーカー、そしてグローバルなデジタル人材の重要性はさらに増していくだろう。 ## フィジカルAIとデジタルツインがもたらす新しい工場の形 :::box ![6.png] エヌビディア合同会社 Professional Visualization Business Development Manager 高橋 想 氏 ::: 続いて登壇したのは、NVIDIAのデジタルツイン開発プラットフォーム「Omniverse」のビジネス開発を担当する高橋氏だ。 ![7.jpg] 高橋氏はまず、フィジカルAIの定義について「物理空間を認識・理解し、正しいアクションを導き出すAI」と説明、「入力された映像やテキストに対して、ロボットの動作や自動運転車両の制御、工場設備の全体最適化などを行うAIモデル」と位置づけた。 このフィジカルAIを作るための3つのコンピューティングリソースが、「AIの学習環境」「ロボットや自動運転車両などのAGX」「シミュレーション/デジタルツイン」である。 ![8.png] このうち本講演で高橋氏が深堀りするのが「シミュレーション/デジタルツイン」だ。仮想空間でデータを取得するデジタルツインは、発生頻度が低い事象や危険を伴う状況、効率的にデータを取得できないケースなどにおいて有効な手法となる。 NVIDIAが提供するデジタルツイン開発プラットフォーム「Omniverse」は、物理ベースのビジュアライゼーション、リアルタイムコラボレーション、生成AIの統合、ロボットトレーニングといった機能を持ち、自動車会社や製造業、工場、物流倉庫などで活用され始めているという。 さらに高橋氏が紹介するのがNVIDIAの世界基盤モデル開発プラットフォーム「Cosmos」。これは物理的に正しい動画データを生成する基盤モデルであり、プロンプトからのデータ作成や、最初のフレームから次の動きを予測する機能などを搭載している。 ![9.png] これらのサービスを活用して企業はさまざまなアプリケーションを開発するわけだが、とはいえゼロから取り組むのは簡単ではない。そこでNVIDIAでは「Isaac GR00T」「Metropolis VSS」という二つのBlueprintを用意している。 「GR00Tはヒューマノイドロボットの学習データを作成するBlueprintであり、Cosmosと組み合わせることで3Dデータの質感や環境情報をもとにバリエーション豊かな合成モーションを作成できます」(高橋氏) ![10.jpg] ただし、ヒューマノイドロボットを動かしてデータを作成するのは、オペレーターのリソースの都合もあり簡単ではない。そこでGR00Tではデータを水増しして、効率的に学習データを作るというアプローチをとっているという。 「GR00Tを使えば、数十パターンの人間の動きを数百まで簡単に増やすことができます。従来ならオペレーターが8時間もかけて行っていたデータ収集を効率化し、AIの学習を進めることができます」(高橋氏) さらにVSS(Video Search and Summarization)というAIエージェントを活用することで、工場や物流倉庫のカメラ映像データなどから多くの洞察を得られるという。 ![11.png] たとえばバスケットボールの試合の映像を分析して、シュートの確率が高い選手を見つけたり、高所作業でハーネスを着用しているかチェックしたりといった活用が可能になるのだ。 講演ではこれらのBrueprintを活用した事例も紹介された。具体的にはNVIDIAの新工場における機器レイアウトの最適化やロボットシミュレーション、自動搬送ロボットの経路最適化などに活用されているという。 また、IoTセンサー情報をデジタルツインに紐づけることで、機器の稼働状況や問題発生時のエラー情報をリアルタイムに確認でき、担当者が現場に向かう前に状況を把握できるメリットがあるとのことだ。たとえば医薬品業界では処方に合わせた薬剤調合ロボットのシミュレーションや、実験室で創薬を行う際のレイアウト検討に活用されている。 ## NativeEdgeが支えるスマートファクトリーのインフラ基盤 :::box ![12.png] デル・テクノロジーズ株式会社 NativeEdge Business Development Manager 比留間 翔太 氏 ::: 最後に紹介するのはデル・テクノロジーズで「NativeEdge」のビジネス開発を担当する比留間氏の講演だ。 比留間氏はまず、「エッジデバイスの増加に伴って、現場(エッジ)でのデータ収集とリアルタイム利活用の重要性が増している」点を強調する。 ![13.jpg] これまではオンプレミスからクラウドへのデータの流れが主流だったが、今後はエッジや小規模な分散データセンターにデータが集約されていくことが予測されるのだ。 ただし、エッジや分散データセンターには独自の課題がある。 「たとえば工場内に分散配置されるデバイスの運用管理、IT専任者がいない場所でのサポート、セキュリティの確保、ソフトウェアの継続的な運用管理などです」(比留間氏) これらの課題に対応するのが、「エッジ」と「分散データセンター」にフォーカスしたデル・テクノロジーズのソフトウェアプラットフォームが「NativeEdge」である。 NativeEdgeの主な機能はふたつ。まず、管理マネージャーからハードウェアデバイスを遠隔で管理できるオーケストレーター機能、そしてハードウェア上のアプリケーションを一括配信できる機能である。 ![14.png] さらに、NativeEdgeはブループリント機能も備えている。通常、アプリケーションを導入する際はOSを導入し、ネットワークストレージを設定し、アプリケーションをインストールするといった手順が必要だ。 この導入手順を一つのファイルで作成したものがブループリントであり、一括でデプロイメントできる仕組みになっているのだ。 そして、NativeEdge最大の特徴ともいえるのが「ゼロタッチプロビジョニング」機能である。 「これにより、サーバーやエッジデバイスを現地に直送し、お客様が電源ケーブルとLANケーブルを接続して電源を入れるだけで、あとはすべてオーケストレーターから一括で設定できるようになります」(比留間氏) NativeEdgeの登場により、従来のようにIT専任者が各拠点を訪問してOSやアプリケーションを導入するのではなく、よりスマートに遠隔で一括配信する導入プロセスが定着していきそうだ。 比留間氏はNativeEdgeの仕組みについて、「各エッジデバイスにNativeEdge OSというカスタマイズされたSOSがインストールされており、Hypervisorとして使用できる」と説明。ユーザーはその上に仮想マシンやコンテナアプリケーションをデプロイできるわけだ。 さらにNativeEdgeはクラスタリング機能も備えており、1台のデバイスが故障してもサービスを継続できる冗長性も確保できるという。 比留間氏はNativeEdgeの全体像についても解説した。それによると、デバイス単体での使用だけでなくHCIとしても利用できるほか、各デバイスにストレージを接続して大容量ボリュームを確保することも可能とのことだ。また、基本的にデル製品に特化しているが、他社製品においても一部機能の制約はあるものの利用可能だという。 ![15.png] 次にNativeEdgeのセキュリティについて、比留間氏は「ゼロトラストの考え方に基づいて構成されている」と説明する。 具体的にはデバイスのオンボーディング時には「バウチャー」と呼ばれる秘密鍵を使用して認証を行うほか、物理的なセキュリティとして、デバイスの外部端子は基本的にすべて無効化されているという。外部端子を使用する際は、オーケストレーターからの設定で、必要なポートのみを仮想マシンに許可するわけだ。 ![16.png] 「NativeEdgeはさまざまなセキュリティ機関の厳しい審査をすべてパスしており、セキュアにお使いいただける環境をご提供しています」(比留間氏) 続いて比留間氏は、デル・テクノロジーズとNVIDIAによる「Dell AI Factory with NVIDIA」ソリューションについても紹介した。 これはデジタルアシスタントなどのユースケースに対して、サーバー、ネットワーク、ストレージといったインフラストラクチャーと、NVIDIAのソフトウェアプラットフォーム、デル・テクノロジーズの構築サービスを一つのパッケージとして提供するものだ。Tシャツのサイズ(S、M、Lなど)のように簡単に選べる形で提供されているため、AIを始めてみたい企業には最適なソリューションと言える。 ![17.png] ここで登壇者が比留間氏から、インフラストラクチャー・ソリューション営業統括本部の水口氏にチェンジ。エッジ向けに開発されたサーバー「XR」シリーズについて説明を行った。 :::box ![18.png] デル・テクノロジーズ株式会社 インフラストラクチャー・ソリューション営業統括本部 システム周辺機器部 水口 浩之 氏 ::: XRサーバーは専用フィルターを持っており、人の多い場所でも使用できるほか、マイナス5度から55度までの環境に耐えられる特性を持っている。当然、あらゆる工場で安定して使用できるわけだ。 また、T160、R260、R360といった通常のサーバーにフィルターをつけることで、エッジ環境で使用することも可能だという。 ![19.png] 「ぜひサーバーが必要なときは、我々にお声がけをいただければと思います」(水口氏) 最後に水口氏が紹介したのは、デル・テクノロジーズとシュナイダーとの取り組みである「IT×OTフュージョンプロジェクト」だ。 PLC(プログラマブルロジックコントローラー)のパイオニアでOTのプロフェッショナルであるシュナイダーと、サーバーを作れるITの専門家であるデル・テクノロジーズが協力し、問い合わせから提案、導入、サポートまでの一連のプロセスを共同で行う。これにより、顧客の負担を減らすことを目的とした取り組みである。20年以上のビジネス関係がある両社ならではの協業と言えるだろう。 ![20.png] イベント後は、会場であるDeloitte Tohmatsu Innovation ParkのThe Smart Factory by Deloitte @ Tokyoの見学も行った。 The Smart Factory by Deloitte @ Tokyoにはデル・テクノロジーズのPowerEdgeサーバーと、シュナイダーのバーチャルPLCが展示されており、実際に装置のデータを収集・分析するところを体感することができる。 国内でもまれな“ミニスマートファクトリー”を実機で体験できる施設なのだ。 ![21.jpg] 本イベントを通して、日本の製造業の現状と課題、そしてスマートファクトリーの展望が伺えた。単にデジタルツールを導入するだけではない、真のトランスフォーメーションに向けて、大きなヒントが得られたイベントだったのではないだろうか。 :::box 関連ページ:[デロイト トーマツのスマートファクトリーご紹介トップページ] ::: :::box 関連ページ:[「NVIDIA Omniverse」ご紹介トップページ] ::: :::box 関連ページ:[「Dell NativeEdge」ご紹介トップページ] ::: :::box 関連ページ:[あらゆる場所でイノベーションを推進「Dell PowerEdge サーバー」]カタログ ::: ![22.png]
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