ビジネス

1~13 / 2409件

ビジネス
2025/10/15 [WED]
ライオン、研究開発データで追加学習した独自LLM「LION LLM」開発に着手──AWS協力のもと、ものづくりDXを加速のサムネイル画像

ライオン、研究開発データで追加学習した独自LLM「LION LLM」開発に着手──AWS協力のもと、ものづくりDXを加速

ライオン株式会社は2025年10月8日、自社の長年にわたる研究開発データを用いて追加学習を行った独自の大規模言語モデル(LLM)「LION LLM」の開発に着手したと[発表]{target=“_blank”}した。アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWSジャパン)の生成AI実用化推進プログラムを通じた協力を受け、ものづくり分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速する狙いだ。 ## 暗黙知の継承と「ものづくりDX」の推進 ライオンは、「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を掲げる中期経営計画「Vision 2030 2nd STAGE」を2025年から始動。デジタル分野では「ものづくりDX」を重点テーマに位置づけ、収益力とクリエイティビティを両立させた競争力のある製品・サービスを迅速に市場へ投入できる体制を目指している。 同社では、製造業において重要な「暗黙知」の継承が課題となっていた。熟練技術者の退職により貴重なノウハウが失われつつあることを背景に、2023年12月には生成AIと検索システムを組み合わせた研究ナレッジ検索ツールを導入。情報検索時間を従来の5分の1以下に短縮するなどの成果を上げたが、専門知識を要する複雑な質問には対応が難しい状況が続いていた。 この課題を解決するため、ライオンはAWSジャパンの協力のもと、自社の知見を生かした独自LLMの内製開発を進めることを決定した。 ## AWS支援のもとで社内に分散学習基盤を構築 ライオンは2025年4月から、AWSジャパンが提供する「生成AI実用化推進プログラム」に参加。クレジット付与によるコスト支援や科学的助言などの技術協力を受け、内製開発体制を整備した。 社内には分散学習環境を構築。AWS ParallelClusterとNVIDIAのMegatron-LMを組み合わせ、複数GPUサーバーを効率的に連携させる仕組みを採用した。ベースモデルには「Qwen 2.5-7B」を使用し、研究報告書、製品組成情報、品質評価データなど、数十年にわたる社内知見を学習データとして投入している。 初期フェーズの評価では、過去の知見に基づく具体的なアドバイスや、複数の事例を統合した回答が可能であることを確認。従来ツールと比較して、回答の網羅性が大幅に向上したと社内で報告されている。 ## 今後の展開 今後は、学習データの拡充と品質向上を目的に、プレゼン資料など構造化が難しいデータのクリーニングを進める。さらに、経済産業省およびNEDOが主導する「Generative AI Accelerator Challenge(GENIAC)」で開発された国産モデルの活用など、多角的なアプローチで精度向上を図る計画だ。 これらを既存のナレッジ検索ツールと統合し、高度な質問やタスクにも対応できるシステムを目指す。同社は、知識資産の最大活用を通じて「ものづくりDX」を加速し、競争優位性の強化につなげるとしている。 :::box [関連記事:JR東日本 生成AIチャットツールの全社員展開とRAGを用いた独自生成AIの開発を発表 鉄道版生成AIも開発中] ::: :::box [関連記事:リコー、推論性能を強化した日本語LLMを発表──GPT-5相当の性能で金融業務に特化] ::: :::box [関連記事:AWSジャパンが「生成AI実用化推進プログラム」を開始 企業の実装加速へ] ::: :::box [関連記事:楽天、日本語特化のAIモデル「Rakuten AI 2.0」発表:2025年春にオープンソース化へ] ::: :::box [関連記事:オープンLLMの日本語性能でトップ──FLUX、「Flux Japanese LLM」公開 独自手法でQwen2.5を進化] :::

アクセスランキング
mailmagazine_250819
FOLLOW US
各種SNSでも最新情報をお届けしております