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英語圏の大手出版社としては初めて「明確に」AIの無断利用を禁止-Penguin Random Houseが著作権ポリシーを更新
Penguin Random House(PRH)は、AIによる著作権侵害に対抗するため、著作権ポリシーを世界規模で改訂したことを2024年10月18日、英国の出版業界メディア「[The Bookseller]{target=“_blank”}」が報じた。新ポリシーでは、同社の全ての新刊書籍および再版書籍の著作権ページ(インプリントページ)において、AIシステムのトレーニング目的での利用を明確に禁止する文言を追加するという。PRHは、この変更を全ての市場に適用し、書籍のデータを無断でAIが利用することを阻止する狙いがあるとのこと。 PRHは、EUの「デジタル単一市場における著作権に関する指令」に基づく「テキストおよびデータマイニング(TDM)の例外」から自社の書籍を除外している。この指令は、教育や学術研究などで著作物の解析を合法化するが、出版者にはこの例外の適用を拒否する権利がある。PRHはこの拒否権を行使することで、AI企業が無断でコンテンツを使用することを防ぎ、ライセンス契約を通じて適切な報酬を確保する狙いがあるという。 この動きは、近年米国で相次いでいるAIによる著作権侵害訴訟や、海賊版書籍がAIシステムのトレーニングに利用されているとの報告を背景にしている。学術出版社の一部は、AI企業とのライセンス契約を結んでいるが、PRHは英語圏の大手出版社として初めて公然とAIの利用を禁止する措置を取った。 著作権保護団体であるAuthors' Licensing and Collecting Society(ALCS)は、この措置を「著作権を守るための前向きな一歩」と評価し、他の出版社にも同様の対応を求めているという。また、イギリスの著作者協会(Society of Authors)は、今回の変更に加え、出版契約においてもAI利用に対するさらなる保証を求めているとのこと。 :::box [関連記事:OpenAI、著作権訴訟でChatGPTのトレーニングデータを公開へ──厳重警備の中でデータ精査が許可] ::: :::box [関連記事:ニューヨークタイムズ、OpenAIとマイクロソフトを著作権侵害で提訴] ::: :::box [関連記事:スティーブン・キング「著作がAIに学習されても構わない」と語る] :::