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AI企業の間で、生成AIや将来のAGI(汎用人工知能)を見据えた大規模データセンター投資が加速している。だが、こうした巨額投資が現在のコスト構造のままで採算を取れるのかについて、警鐘を鳴らす声が上がった。IBMのCEO兼会長であるアーヴィンド・クリシュナ氏は2025年12月3日、The Vergeのポッドキャスト番組「[Decoder]{target=“_blank”}」に出演し、AI向けデータセンター投資のリターンは「現状では見込めない」と述べた。 ## 巨額のデータセンター投資「100ギガワット=8兆ドル」 クリシュナ氏は、AI開発企業が進めるデータセンター増設について、1ギガワット規模を「埋める」ためには約800億ドルの設備投資(CapEx)が必要になると説明した。さらに、世界のAI企業全体でみれば、AGI開発を念頭に置いたコミットメントは約100ギガワットに達しており、「総額では約8兆ドルを投じる計算になる」と指摘した。 そのうえで、「この投資が企業に十分な利益として戻ってくる可能性は低い」と述べ、投資回収は極めて難しいとの見方を示した。 ## GPUは5年で陳腐化、光ファイバーとは異なる「短命な資産」 背景には、AI計算基盤の中核となるGPUなどの半導体が短期間で陳腐化するという事情があるという。クリシュナ氏は、こうしたハードウェアは5年程度で入れ替えが必要になると説明し、長期的に価値が残りやすい光ファイバー網などのインフラとは性質が異なると述べた。 100ギガワット級のAIデータセンターには膨大な資金が必要であり、その利払いだけでも莫大な額に達することから、「現在のAIサービスの単価と需要の伸び方では、採算が合うとは考えにくい」と語った。 ## 「AIバブルではない」が…一部資本は「回収されない」 ポッドキャストでは「AIはバブルなのか」という問いも投げかけられた。クリシュナ氏はこれを否定し、「AIバブルではない」と述べた。ただし、一部の資本については「回収されないものが出る」とも指摘した。 特に、巨額の債務を用いてAIインフラに投資するケースでは、収益化の不透明さから返済困難に陥る可能性があるという。消費者向けAIプラットフォーム市場には勝者総取りに近い構造があり、多くの企業が参入しているが、最終的に利益を得られるのは少数にとどまるとの見方を示した。 ## 企業向けAIには期待──年間4000億〜7000億ドル規模の価値 一方で、企業向けの生成AI活用については比較的明るい見通しも語った。コンサルティング企業による試算では、エンタープライズ分野だけでも年間4000億〜7000億ドル規模の価値が見込めると説明し、その20〜30%をテクノロジー企業が吸収できる可能性があると述べた。 AGIについては「現在のLLM技術だけで到達できる確率は0〜1%」と評価し、既存技術の延長線では限界があるとの認識を示した。 ## IBMは「watsonx」と量子コンピューティングに軸足 クリシュナ氏は、IBMが企業向けAIプラットフォーム「watsonx」や量子コンピューティングに長期的な重点を置いていることにも触れた。これらは短期で急拡大するAIインフラ投資とは異なる性質を持ち、企業の生産性向上や高難度計算の領域で継続的な需要が見込まれるという。 :::box [関連記事:OpenAI、ソフトバンク・Oracleと協力し米国に5拠点の新データセンター建設へ――スターゲート計画は目標の10GW中の約70%の計算能力に] ::: :::box [関連記事:NVIDIA、OpenAIに最大1000億ドルを投資──10GW規模のAIデータセンター展開で戦略提携] ::: :::box [関連記事:Anthropic、米AIインフラに500億ドル投資──テキサス&ニューヨークで専用データセンター建設へ] ::: :::box [関連記事:OpenAIとAMD、6GW規模のAIインフラ契約を締結──次世代GPU「Instinct」複数世代を供給へ] ::: :::box [関連記事:Microsoft、世界最強のAIデータセンター「Fairwater」建設計画を発表──数十万のNVIDIA製GPUを搭載しスーパーコンピューターの10倍性能へ] :::
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