データサイエンティストを目的通り確保できなかった企業が6割以上 採用は「経験者のみ」が多数

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一般社団法人データサイエンティスト協会は4月18日、国内企業におけるデータサイエンティストの採用に関する調査結果を発表した。

データサイエンティスト協会 調査・研究委員会では、「データサイエンティスト市場の『需要と供給のミスマッチ』の解消」をメインテーマに調査・研究活動をしている。

近年、データサイエンティストに対する企業側のニーズが高まっているものの、企業における在籍状況・採用実態、欲しい人材像などについて、定量的に把握したデータはなかったため、同協会では2019年から企業の人事部門に対してデータサイエンティストの採用について調査している。今回は3回目だ。

データサイエンティスト人材の増減と内訳


直近1年間でのデータサイエンティストの増減について聞くと、2021年度は41%の企業が「1人以上増えた」と回答した。

その内訳は、「社内の異動・育成」が平均3.1人増加で最も多いという結果となった。

2021年はデータサイエンティストを目的通り確保できなかった企業が6割以上


この1年間でデータサイエンティストを確保する予定だった企業に対し、データサイエンティスト採用の充足度について聞くと、2021年は「確保できなかった(35%)」「どちらかといえば確保できなかった(27%)」があわせて6割を超えた。


データサイエンティスト在籍者が1人以上の企業に、人材の育成・研修制度について聞くと、研修関連が2020年比で減少傾向にあることがわかった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けていると考えられる。

一方で、メンターによる個別指導や、ヘルプデスクなどの問い合わせ窓口は増加傾向を示している。

企業が今後増員したいのはビジネスタイプの人材


今後増員したいデータサイエンティストタイプを聞くと、2021年は以下の3つのタイプがほとんど均等に分かれたものの、ビジネスタイプが最も高くなった。

タイプ1:ビジネス課題を抽出し、データを分析・活用して課題を解決できる人材(データマーケターなど)
タイプ2:統計学、人工知能などの情報科学系の知識を理解し、統計ソフトなどを用いた専門的な分析ができる人材(データアナリストなど)
タイプ3:データ分析を目的とし、プログラミング知識を使ってデータの収集、加工やシステムへの実装、運用ができる人材(データエンジニアなど)


今後3年間で、データサイエンティストを増員予定の企業に対し、採用・育成したデータサイエンティストの人材像を聞くと、2021年は「データによるビジネス課題解決を得意とする人材(43%)」が最も多かった。そのほか、「複数の分野を俯瞰的にみてデータ分析の活用を戦略的に考えられる人材(18%)」、「データを使ったサービスを開発する人材(11%)」などの回答が得られた。


また、データサイエンティストの中途採用を予定している企業は、2021年は「経験者のみを採用する」と答えた企業が72%で高い割合を占めていることがわかった。

今回の調査結果について、データサイエンティスト協会 調査・研究委員会 委員長の塩崎潤一氏(株式会社野村総合研究所 データサイエンスラボ長)は次のようにコメントしている。
「企業のデータサイエンティスト採用に関する調査も今年で3回目となりました。新型コロナウイルスの影響で採用動向に大きな影響があることが懸念されましたが、DSに対する採用意欲は旺盛で、目標通り確保できなかった企業は62%もありました。

また、今回の調査では、ビジネスタイプのDSに対する意向が高まっていることも特徴的でした。採用・育成したいDSは“ビジネス課題解決を得意とする人材”が最も多く、過去最高水準でした。DSに対しては、単純にデータを分析するだけという役割ではなく、ビジネスを変革する役割まで期待するようになっていると言えます」

本調査の概要は以下のとおり。

  • 調査対象 :日本国内一般企業(人事担当者向け)
    ※従業員30名以上の企業を対象に、企業規模別にランダム抽出
  • 調査手法 :郵送法+Web調査
  • 調査期間 :2021年9月10日~10月21日
  • 有効回答数:約333社(発送5,400社、回収率6.2%)
    郵送:140社、Web:193社日~12月3日
  • 有効回答数:計600人

調査結果の詳細はこちら

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