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米国の消費者保護当局である米連邦取引委員会(FTC)は2026年5月19日、同意なくオンライン上に投稿された性的画像や動画の削除をプラットフォームに義務付ける「[TAKE IT DOWN Act]」の執行を開始した。対象には実在の画像や動画だけでなく、AIで生成・改変されたディープフェイクも含まれる。 今回執行が始まったのは、2025年5月に成立した連邦法に基づく削除義務だ。被害者は対象プラットフォームに対し、該当コンテンツの削除を求めることができる。プラットフォーム側は、その申請を受け付ける仕組みを整えたうえで、通知を受けてから48時間以内に対象コンテンツと既知のコピーを削除しなければならない。 FTCは、被害者が事業者の不履行を通報できる窓口「[TakeItDown.ftc.gov]」も案内している。プラットフォームが対応しない場合、FTCが法執行機関として対応する。 ## AI生成ディープフェイクも対象に この法律の特徴は、本人が撮影された実在の画像だけでなく、AIなどで生成・改変された偽の性的画像・動画も対象に含めた点にある。[法律本文]では、AIや機械学習などによって作成・改変された親密な視覚描写を「digital forgery」と位置付けている。 生成AIの普及に伴い、本人が写っていないにもかかわらず、あたかも本人であるかのように見せかけたディープフェイク被害が広がっており、削除を迅速に求められる制度整備が課題となっていた。FTCは[消費者向け案内]で、同意なく共有された親密画像やAI生成ディープフェイクの被害に対し、対象プラットフォームへ削除を求められるとしている。 被害者にとっては、それが本物か偽物かをめぐる複雑な議論に先立ち、まず流通を止める手段が明確になった形だ。 ## プラットフォームは48時間以内に削除対応 TAKE IT DOWN Actは、被害者が削除を求めるための仕組みを対象プラットフォームに用意させる。削除要請が有効な場合、プラットフォームは48時間以内に該当する親密画像や動画、既知の同一コピーを削除する必要がある。 FTCの[事業者向けガイダンス]では、対象となるサービスとして、SNS、メッセージング、画像・動画共有、ゲームプラットフォームなどが挙げられている。違反した場合、FTCによる法執行の対象となる。 **■ 削除申請とFTCへの通報の流れ** ![TIDA-Infographic-updated.jpg] :::small 画像の出典:[Federal Trade Commission] ::: ## 2025年に成立、メラニア氏が後押し 同法は2025年5月19日、ドナルド・トランプ大統領の署名により成立した。ホワイトハウスは[署名時の発表]で、メラニア・トランプ大統領夫人が後押しした施策の一つとして紹介している。 生成AIを悪用したディープフェイク対策では、これまで検知技術や来歴表示の議論が先行してきた。一方で今回の制度は、被害コンテンツが流通した後の対応責任をプラットフォーム側に明確に課すものといえる。AIの悪用が現実の被害につながるなか、米国では削除義務を通じた被害者保護が本格的に動き出した。 :::box [関連記事:デンマーク政府、ディープフェイク規制に向け著作権法改正へ——「自分の身体・顔・声を守る権利」を法制化] ::: :::box [関連記事:Stability AI、AIポルノ生成を全面禁止へ──7月31日から利用規約改定、Stable Diffusion・API・OSSを含む全サービスで性的コンテンツを遮断] ::: :::box [関連記事:Google、AI生成コンテンツの来歴確認を強化 OpenAIも電子透かし「SynthID」採用へ] ::: :::box [関連記事:Google、Geminiに「AI生成画像の検証」機能を導入──目に見えない電子透かし「SynthID」を確認可能に] :::
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