画像は「京都大学「因果推論 -一般化線型モデルとRubin因果モデルの理論-」講座PV~ gacco:無料で学べる大学講座」より
オンライン講座サイト「gacco(ガッコ)」では、オンライン講座「因果推論 -一般化線型モデルとRubin因果モデルの理論-」を開講中だ。京都大学が大学院生向けに提供する臨床統計家育成コースを過去の教育経験をベースに、臨床医学のための統計学を習得できるように構成したもの。閉講日時は2022年2月28日(月)23時59分。受講料は無料。
本講座では、医学のための因果推論(causal inference)の手法とその理論を解説する。因果推論の理論を系統的にまとめた「講義ノート」が用意され、いくつかの重要な論点を対話形式で解説した動画を視聴して学習する。
因果推論を学ばなければならない理由の1つとして、医学、経済学、政治学、教育学といった分野で、実証研究の価値が高まっていることが挙げられる。医療技術、政策、教育手法といった科学の成果を社会に還元する過程では、それらがアウトカムに与える効果の統計学的な評価が求められる。
因果という概念は、学問体系において哲学、法学、医学、統計学などでも扱われているが、ここでいう因果推論は、統計学(実験計画法、回帰分析、疫学の数理)が発展したもののことである。伝統的な統計学の教科書には書かれていない因果推論の手法が次々に開発され、実際の実証研究で用いられている。
本講座は3部構成である。第1部では、医学研究の具体例を紹介した後に、統計学の基本原理である最尤法(さいゆうほう)について述べる。第2部と第3部は、原因と結果の関係を明らかにしようとするときに用いられる2つのフレームワーク(一般化線形モデルとRubin因果モデル)について解説する。
講師・スタッフは京都大学大学院医学研究科 臨床統計学 特定教授で、責任試験統計家の田中司朗氏が務める。
【「因果推論 -一般化線型モデルとRubin因果モデルの理論-」概要】
- 前提条件:線形代数、微分積分、確率の学部レベルの理解
t検定、χ2検定、Fisher正確検定、ログランク検定の理解 - 課題内容:第1週〜第3週で選択肢の問題
- 修了条件:得点率70%以上
- 学習期間:週2〜3時間程度
第1週:最尤法
- 因果推論の事例
- 最尤推定量と信頼区間の計算
- 最尤推定量の性質
- 小標本のための手法
第2週:一般化線型モデル
- 一般化線型モデル
- 正規線型モデル/ベースライン値のあるランダム化臨床試験の解析
- Poisson回帰モデル/効果の修飾
- 2値データの回帰モデル/Simpsonのパラドックスとその解釈
第3週:Rubin因果モデル
- 潜在結果変数、割付けメカニズム、統計的推測
- プロペンシティスコアの性質
- プロペンシティスコアマッチング
- 周辺構造モデルとIPW推定
- 周辺構造モデルによる時間依存性治療効果の推定
- 操作変数法
第4週:クロージング:講義を振り返って
- ランダム化臨床試験と観察研究
- 代表的な因果推論の手法