飲食店にGravioを導入してみた 現場のデータ化はIoT×エッジで簡単に実現できる!

Gravio導入事例。原価バー
このエントリーをはてなブックマークに追加

今回は筆者が経営する「原価BAR 三田本店」で検証を行いました



Gravio画像認識サービスについての調査資料


IT・ビジネス領域を専門とするライターの柳谷智宣(やなぎや とものり)です。ライターに加え、複業として東京都内で飲食店「原価BAR」や、海底熟成ウィスキー販売会社「トゥールビヨン」を経営しています。

飲食店などリアル店舗を経営する際、デジタル化はとても高いハードルです。とはいえ、人材不足や不景気などの影響で、デジタルによる業務効率化は必須。情報の見える化、定型業務の自動化などは待ったなしで実施しなければなりません。

アステリア株式会社が提供しているエッジプラットフォーム「Gravio(グラヴィオ)」なら、新型コロナウィルス感染防止のためにCO2濃度をチェックして換気したり、店内や冷蔵庫、倉庫の温度や湿度を計測して、そのデータをExcelなどに記録したり、LINE WORKSやSlackなどの業務ツールに投稿するなどはお手のもの。収集したデータを必要に応じて柔軟に流し、活用できるようになります。

今回は、飲食店に「Gravio」を導入して、現場の情報をデジタル化し、活用してみます。

DXの前段階であるデジタライゼーションを後押ししてくれるGravio

GravioのWebサイトGravio公式サイトより

日本のDX(デジタル・トランスフォーメーション)が注目される中、飲食店もまずはデジタル化(デジタライゼーション)を推進しなければなりません。しかし、何をどうしていいのかわからないとか、利益率の低い飲食業界が手を出せるような価格のソリューションが少ないため、DXどころかデジタル化もあまり進んでいない状況です。

経理や人事といったバックオフィス業務であれば、さまざまなSaaSソリューションが出ているのでデジタル化を進めることもできるのですが、現場のデジタル化はハードルが高くなっています。

CO2を計測するセンサーや温度計、監視カメラなど、それぞれのソリューションは単品で販売されているし、導入しているところも多いでしょう。しかし、単体で動作しているだけなので、当然ながらデータが蓄積しません。インターネットと接続されていないので、積極的な運用もできません。実にもったいないところです。

Gravioなら、これらの課題を解決できます。エッジインテグレーションプラットフォーム「Gravio」はセンサーやカメラから得られたデータをエッジで処理したり、クラウドと連携できます。

しかも、この高度な機能をノーコードで設定できるのが特徴です。たとえば、スイッチが押されたことを認識し、連携しているLINE WORKSの特定のトークルームにメッセージを送信する、といったような仕組みを、エンジニアではないユーザーがマウス操作で構築できるのです。

Gravioのデバイスエッジインテグレーションプラットフォーム「Gravio」

温度センサーや人感センサー、振動センサー、CO2センサーなど10種類のデバイスを用意しており、ユーザーは必要に応じてレンタルできます。スタンダードプランでは20個までセンサーを自由に組み合わせられるので、本格的なシステムも作れそうです。それなのに、月額は2万2000円(税込)と企業向けソリューションとしてはチャレンジしやすい価格になっています。

個室のCO2濃度を計測して一定値を超えたらアラートを出す

Gravio HubGravio Hub(エッジゲートウェイ)

まずはCO2センサーを利用した「わがままシステム」を作ってみましょう。CO2濃度を計測するだけなら他の計測器でもできますが、その濃度によって自動的に指定した処理を実行させます。たとえば、個室のCO2濃度が1000ppmを越えたら、キッチンに設置してあるランプを赤く光らせてみましょう。スタッフはランプを見たら換気扇を強くしたり、窓を開けに向かいます。もちろん、1000ppm未満になったら、ランプは消えるように設定します。

窓がある個室であれば、CO2濃度をモニターに表示することで、お客さま自身で換気してもらう、といったことも可能です。こちらのシステムも一緒に作ってみましょう。

各種センサーは「Gravio Hub」というエッジゲートウェイに接続し、エッジ内でライト(ランプ)を点灯させたり、クラウドに接続してLINEやLINE WORKS、Slack、メールなどで通知を送信できます。管理者はPCにインストールした「Gravio Studio」というアプリからアクセスします。

手順としては、センサーを登録し、自動処理したいアクションの内容とそのトリガーとなる条件を設定します。まずは、CO2濃度によって「Gravio Light」を点灯・消灯するアクションと「Gravio LEDマトリックス」に数値を表示するアクションを作成します。

続いて、CO2濃度を定期的に計測して「Gravio LEDマトリックス」に表示する設定と、CO2濃度が1000ppmを超えたときにLEDを点灯させるトリガーの設定を行います。

ちょっと面倒そうに見えますが、複数のセンサーをエッジ処理して、別の場所にあるデバイスをコントロールするという仕組みを構築しているのです。最初は難しく感じますが、慣れてしまえば30分もかからない作業です。

Gravio Studioセンサーセットアップ

Gravio StudioにCO2センサーを登録しました。

Gravio Studioの設定画面

アクションを指定します。ここでは「LEDマトリックス」にCO2の値を表示させる設定をしています。

Gravio Studioの設定画面

トリガーを指定します。ここでは、1000ppm以上になったときに、作成したアクションを実行する設定をしています。

さて、デバイスを設置してみましょう。「Gravio Hub」は店の中央に設置し、CO2センサーの「Gravio CO2」と数値を表示する「Gravio LEDマトリックス」を個室に設置します。「Gravio light」はキッチンに置きました。

電源をつなぐとすぐにCO2濃度が表示され、初期設定では10秒ごとに更新されます。LEDの変更タイミングは好みの頻度に設定することもできます。LEDの明るさは設定で調整できます。試しに息を吹きかけて、わざとCO2濃度を高くしてみました。数秒後に1000以上の数値が表示され、キッチンに置いてあるLEDも赤く光りました。これで換気をしなければならないことがわかります。

Gravio CO2とGravio LEDマトリックス個室に設置したセンサーとLEDです

Gravio lightCO2濃度が1000ppmを超えると赤く光りました

Gravioがすごいのは、何をどうするのかは自分で自由に決められるということです。LEDに換気するように表示したり、CO2濃度によってLEDの光る色を変えたりできます。

アラートを出すのも光ではなく、LINEやLINE WORKS、Slack、メールに送信することもできます。CO2濃度の推移をExcelに記録して、そのファイルをメールやSlackに送ることも可能です。これが、コンポーネントというパーツをマウスで選んでいくことで構築できます。

冷蔵庫の温度チェックやお客さまの呼び鈴にも活用できる

冷蔵庫内にセンサーを設置冷蔵庫に温度センサーを設置しました

飲食店で冷蔵庫が壊れると中の食材が駄目になってしまうので注意が必要です。そこで、Gravioを使って、温度に異常があったらリアルタイムに把握できるようにしてみましょう。

CO2センサーと同様の手順で設定します。「温度センサー」を冷蔵庫内に設置し、「Gravio Studio」で温度をExcelに記録するアクションを作成します。10分ごとに蓄積したデータを確認し、設定温度を超えた場合は、責任者たちにメールが飛ぶようにトリガーを設定すればよいでしょう。その際、メールの文面は自由に設定できますし、温度の推移を把握できるようにメールに添付することもできます。

Bluetoothスピーカーを連携させて、音で知らせることも可能です。厨房など、現場によっては目視より音の方が便利な場合もあります。もちろん、CO2センサーと同様、ライトやLEDマトリックスを光らせることもできます。

温度のデータをExcelに記録異常があれば、警告とともに、Excelに記録されたデータがメールで届きます

センサーで取得するのは数値とは限りません。「スイッチが押された」というのも立派な情報です。たとえば、飲食店ならお客さまが使う呼び鈴に使えます。テーブルに設置したスイッチを押したら、社内で使っているLINE WORKSに通知が行くようにしてみましょう。

まずはセンサーを登録します。複数のセンサーを登録できるので、複数テーブルに設置するのも問題ありません。デバイスにはそれぞれ物理デバイス名が割り振られており、個別に設定がおこなえます。スイッチ1が押されたら、「テーブル1がお呼びです」と送信できるのです。

LINE WORKSに通知がくるように設定「コンポーネントライブラリ」から「LINE WORKS」を選び、アクションを作成します

ITライターの柳谷智宣さんスイッチを押してみます

LINE WORKSに通知がきたところのスクリーンショットLINE WORKSに即通知が届きます

Gravioなら非エンジニアでも店舗データの見える化を実現できる

以上のように、センサーを登録して、アクションを作って、トリガーを指定すれば、いろいろなことができてしまいます。データは蓄積し、分析すると新たな価値が生まれます。

たとえば、「特定の個室だけCO2がやけに高い」という場合は、換気能力の不足が疑われます。「冷蔵庫の温度が一定時間だけ規定値をオーバーしていた」など、今まで見過ごしていたトラブルも見つけられます。また、シングルスイッチの呼び鈴の動作データが溜まれば、どのテーブルや席が人気・不人気なのかを可視化できるかもしれません。

現場の課題を一番知っている現場の人間が、自分たちで現場のデジタル化ができるのです。その分、ダイレクトに業務効率アップに効くシステムができることでしょう。

Gravioには他にもいろいろなセンサーがあります。次回は、カメラの映像をAIで分析して人数をカウントしたり、呼び鈴が押されたらキッチンのスピーカーからサウンドを再生するといった仕組みの構築にチャレンジする予定です。