米マイクロソフト社は6月22日から、自然言語をコンピューターが理解できるプログラミング言語に翻訳する「Codex」を利用した、AI(人工知能)コーディング支援ツール「GitHub Copilot」を一般提供している。また、AIが支援するソフトウェア開発ツール(以下、AI支援ツール)を使って、自然言語でモデリングソフトを操作する様子も公開した。
Codexは、米サンフランシスコに拠点を置くAI研究開発企業「OpenAI」が開発した機械学習モデルで、自然言語によるコマンドを12種以上のプログラミング言語のコードに変換できる。インターネット上のペタバイト級の言語データで学習させた自然言語モデル「GPT-3」 に由来し、GitHub上のソースコードでも訓練されている。
マイクロソフトのCTOであるケビン・スコット氏によると、Codexがソフトウェア開発にもたらす生産性向上効果は驚異的で、これまで2時間かかっていた作業を2分でこなせるようになるという。
GitHhub Copilotが一般提供開始
今回一般提供を開始したGitHub Copilotは、2021年6月に初めて公開された。数万人のユーザーに向けて、JavaやPythonなどのプログラミング言語のコードの約40%を提案している。マイクロソフトは、5月24に実施した開発者向けイベント「Microsoft Build」において、GitHub Copilotの一般提供を開始することを発表していた。
同ツールはCodexを利用して、開発者が書いたコードからコンテキストを読み取り、追加すべきコードや関数を提案する。また、開発者が達成したいことを自然言語で書くと、知識ベースと現在のコンテキストを利用して、取るべきアプローチや解決策を提示する。
AI活用でローコードからノーコードへ
また、マイクロソフトはCodexを利用したAI支援ツールを使い、リアルタイム3Dエンジン「Babylon.js」で作業する様子も公開した。AI支援ツールのテキストボックスに「太陽系のモデルを作って」と自然言語でコマンドを入力すると、Babylon.jsに適した太陽系モデルのコードに翻訳し、3Dグラフィックを出力する。
Codexについて、OpenAIのプロダクト&パートナーシップ担当バイスプレジデント、ピーター・ウェリンダー氏は、次のように語る。
「そして多くの場合、このツールは、作業の最も面白くない部分を極めて迅速に片付けて、最も興味深い部分に到達できるよう助けてくれます。これにより、創作の体験がより心地よく、刺激的で楽しいものになります」
また、マイクロソフトのビジネスアプリケーション&プラットフォーム担当コーポレートバイスプレジデントのチャールズ・ラマンナ氏は、次のように述べた。
「すべての人を開発者にしたくても、PythonやJavaScriptのコーディングを全員に教えるという計画は非現実的です。しかし、クリックやドラッグ&ドロップ、そして、身近な概念を使って素晴らしいソリューションを生み出すことができる適切な体験を作り、多くの人々の目に触れさせれば、それは可能になります」
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