NEC、自動で排泄検知・通知する介護向けシステムを販売開始 職員と利用者の精神的負担を軽減

このエントリーをはてなブックマークに追加

NECプラットフォームズ株式会社は5月23日、介護施設向けにエッジAIやIoT技術を用いて自動で排泄を検知し、職員への通知を実現する「NECサニタリー利用記録システム」を販売開始した。利用者のトイレ付き添いや排泄日誌の手書き記録といった職員の業務負担を減らすほか、利用者のプライバシーに配慮する。

少子高齢化の進展に伴ない医療と介護の財源や人材不足がより深刻となる中、政府は持続的な介護制度の実現に向けて、現行の介護施設の利用者3人あたり最低1人の職員配置の緩和に関する検討を議論している。

こうした中、介護施設の運営事業者には、介護の質を維持しながらデジタル技術を活用した業務効率化がより一層求められている。

同システムの現場での使用感や効果を検証するため、社会福祉法人ウェルフェア仙台の特別養護老人ホーム「大年寺山ジェロントピア」に本年1月より先行導入している。

同施設では、職員のアンケート結果などから職員一人あたり平均月22時間の作業時間と精神的負担の軽減効果を確認しているという。

本システムは、NECソリューションイノベータ株式会社と共同で開発し、トイレに後付けできる工学センサを用いた「排泄検知ユニット」と、エッジコンピューティングによるAIエンジンでデータを処理する「制御ボックス」から構成される。

排泄データは、便座の下に設置した排泄検知ユニットから収集し、エッジAIで分析した排泄情報を利用者情報とともに担当する施設職員が閲覧できる専用アプリへ通知する。

また長時間着座など注意すべき行動も検知・通知でき、職員のトイレへの付き添いを必要最低限に抑えながら、施設利用者ひとりひとりに寄り添った質の高い介護の維持に貢献するという。
機器構成

施設職員向けに提供するアプリイメージ

「NECサニタリー利用記録システム」の主な特徴は以下のとおり。

  • トイレ見守りと記録業務の効率化:
    エッジAIやIoT技術を用いて自動で排泄を検知し、排尿・排便時刻、着座時間、便量、便の性状、排尿の時間など排泄情報と予め紐づけた施設利用者情報をスマートフォンのアプリへ通知する。また、長時間着座など注意すべき行動も検知して通知を受け取れるため、遠隔から状況を見守りながら排泄の自立を促し、必要な場合に駆けつけることでトイレの付き添いを必要最小限にできる。さらに、本システムにより職員の手書きによる排泄記録が不要になることに加えて、効率的な排泄日誌の作成に向けて介護記録ソフトとも今後連携していく予定。
  • プライバシーを確保:
    健康管理を目的とした介護職員のトイレの付き添いが不要になり、施設利用者は遠慮することなくトイレ空間が利用できる。人間の尊厳の1つである排泄に関して利用者のプライバシーを確保するため、排泄に関するデータの分析処理はトイレに設置した機器内で完結する。そのため光学センサから取得したデータは分析後すぐに廃棄、便量や便の性状など必要最低限の情報に加工して利用する。なお排泄に関するデータは本人同意のもとで収集し、「NECサニタリー利用記録システム」内のみに使用して、他の目的に使用することはない。
  • 直感的に操作できるアプリ:
    施設職員が情報を受けるスマートフォンアプリは、ウンログ株式会社の協力により開発した。ウンログが個人向けに提供する腸活を応援するアプリは、90万ダウンロードを達成している。この経験と知見を活かし、言語による補足説明を最小限にした直感的に操作できるインタフェースを実現している。

製品の概要は以下のとおり。

  • 製品名:NECサニタリー利用記録システム
  • 価格(製品):オープン価格
    参考価格:排泄検知ユニット1台と制御ボックス1台の標準構成で 1セット約24万円。(工事や保守、通信、システム利用料などの費用は含みません)
  • システム利用料:1800円/月
    標準構成の1セットあたりの利用料
  • 出荷開始日:2022年7月22日
  • 販売目標:今後3年間で2万台提供

>>ニュースリリース