日テレ、自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn」をリリース 作業時間を約5割削減

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日本テレビ放送網株式会社は7月5日、株式会社NTTデータの協力のもと映像編集の自動モザイク入れAIソフトウェア「BlurOn(ブラーオン)」をリリースしたと発表した。

BlurOnは従来、映像編集者が1フレームずつ実施していた人物の顔や身体全体、車両のナンバープレートなどへのモザイク入れを自動化できるソフトウェアだ。

モザイク編集の編集前後イメージ(上図:編集前、下図:編集後)

モザイク入れは編集スタッフが映像をフレーム(1/30秒)単位で作業するので、とても時間と手間がかかる単純作業だ。近年では、個人情報保護の重要性の高まりから、番組映像についても一層の慎重な取り扱いが必要となり、作業負荷が増大している。
ベテランの映像編集者でも1分の映像素材へのモザイク入れに1時間程度かかることもあり、現場の課題となっていた。

日本テレビやグループ会社におけるBlurOnを使った実験では、作業時間を最大90%程度効率化できたとのこと。すでに同社のバラエティー番組や情報番組で活用されており、番組によっては1時間の番組を編集するのにモザイク入れだけで72時間かかるところ、本ソフトウェアを使うことで50%減の36時間で済んだという。

BlurOnはテレビ番組での活用にとどまらず、すべての映像編集者のモザイク入れ作業を効率化し、現場の働き方改革を目指すという。
手作業とBlurOn利用時のモザイク掛け作業時間比較イメージ

開発の背景

テレビ業界の映像編集では、個人情報保護を目的に映像内の一般の方々にモザイクを入れることが多く、たとえば1時間の番組を制作するのにモザイク入れだけで2〜3日費やす場合もあり、テレビ業界のコンテンツ制作における大きな課題だった。

近年、画像認識AIの精度は格段に向上し、実用化レベルまできている。この技術による課題解決の可能性を感じ、日本テレビとNTTデータが手を組んでBlurOnの共同開発プロジェクトが立ち上がった。

日本テレビが持つ映像編集ノウハウと、NTTデータの高い技術力を組み合わせて、クリエイター目線で「カンタンで使いやすい」「質の高いアウトプットが可能」な製品の実現を目指し、試行錯誤を繰り返してきた。

本プロダクトを通じ、モザイク入れという単純作業からクリエイターを解放し、テレビ業界だけでなくコンテンツ制作業界全体の働き方改革を実現することを目指しているという。

BlurOnの概要

BlurOnは映像編集者のモザイク入れ作業を効率化するためのソフトウェアだ。導入の検討やデモを希望する場合には公式サイトより問い合わせができる。

また、アプリ導入の相談だけではなく、日本テレビの持つ映像編集ノウハウを活かした「モザイク入れ作業」自体の代行・請負も相談可能。

本プロダクトの特徴は以下のとおり。

  • AIで自動検出可能な対象:顔、頭部、全身、ナンバープレート
  • Adobe After Effectsのプラグインとして利用できるため、別ソフトの立ち上げなどが必要ない
  • クラウドで検出処理を実施するため、必要最低限のPCスペックで動作可能

使い方は以下のとおりだ。

  • Adobe After Effectsにモザイクを入れたい動画ファイルを追加
  • クラウドにアップロード(自動処理)
  • 顔などの検出情報をダウンロード
  • Adobe After Effectsで用途に合わせてエフェクト(ぼかし、モザイク、色付けなど)・領域の形・位置などを調整可能

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