スマートファクトリーとは?製造業のAI×IoT化事例・課題と成功の秘訣を解説

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スマートファクトリーとは、デジタルデータ活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続発展的に実現する工場と定義されている。

いま注目される製造業のAI×IoT化を実現するスマートファクトリーの、辞書的な意味と定義、起源について整理するとともに、価値・メリットや事例、取り組む際の課題とポイント、スマートファクトリー化成功の秘訣などを、専門家に解説してもらった。

スマートファクトリーとは?

スマートファクトリーとは、一般的にデジタルデータ活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続発展的に実現する工場と定義されている。ドイツ政府が提唱した国家プロジェクトの「インダストリー4.0」を体現した工場で、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの先端的な技術を取り入れている。

国内製造業のデジタル化&スマートファクトリー化の状況

経済産業省が発行している「ものづくり白書(外部サイト)」の2019年度版によると、製造過程のデータ化や自動化の実施状況は、「可能であれば実施したい」という割合が増加している。

しかし、「実施している」または「実施する計画がある」と答えた割合はほぼ増えていない。この状況を見るに、デジタル化の必要性は感じているものの、実行まで移せている企業は少ないと考えられる。

出典:「2019年版ものづくり白書

さらにスマートファクトリー化の状況について、製造業に特化したAI×IoTコンサルティング事業を手がける株式会社マクニカの阿部 幸太氏は次のように語る。

――阿部
「日本の場合、スマートファクトリー化で具体的な成果を出し始めた企業がある一方で、思うように進まない企業も増えており、いわば『二極化』した状況にあります」

今さら聞けないスマートファクトリーの起源と意味・定義


そもそもスマートファクトリーという、ややアイコニックなこの言葉をどのように定義するのが正しいのだろうか。阿部氏に成り立ちと定義を聞いた。

スマートファクトリーの起源

スマートファクトリーが注目されるきっかけとなったのは、ドイツ政府が主導した、産学連携でものづくりのICT化を推進する国家プロジェクト「インダストリー4.0」だ。第4次産業革命とも言われ、AIやIoTなどの最先端技術の進化とともに産業構造の変革が起こると言われている。

日本政府もその潮流から、スマートファクトリーをはじめとする最先端分野への取り組みを推進するための支援戦略「コネクテッドインダストリーズ」を打ち出した。日本においても、ますますスマートファクトリー化は進んでいくと見られる。

スマートファクトリーの意味・定義

スマートファクトリーとは、一般的にデジタルデータ活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続発展的に実現する工場と定義されている。

この定義について、専門的な観点から阿部氏はこう付け加えた。

――阿部
「スマートファクトリーの考え方は、ここ数年で動的に変化してきています。数年前は、予兆検知、異常検知など、工場の一部の機能をテクノロジーで自動化することを示すのがほとんどでした。

次第に部分的な取り組みではうまくいかないことがわかり、製造ラインや部門レベル→工場全体レベル→経営レベルへとスマートファクトリーの適応範囲は徐々に広くなり、今では部分最適ではなく全体最適を目指す考え方が主流になりました」

「サイバーフィジカルシステム(CPS)」とは?

スマートファクトリーと合わせて覚えておきたいのが、「サイバーフィジカルシステム(CPS)」という概念だ。
 
サイバーフィジカルシステムとは、フィジカル(物理)空間の情報を、IoT技術などを用いて収集しサイバー(デジタル)側で処理し、現実世界にフィードバックしていくシステム。ドイツ政府が主導した産学連携でものづくりのICT化を推進する国家プロジェクト「インダストリー4.0」で提唱された。

デジタルの進化は指数関数的で、他方フィジカルな現場は少しずつしか進化しない。デジタルの進化をうまく現実世界と結びつけて今までにない課題解決を目指すのが、サイバーフィジカルシステムだ。

工場はこれからどうなる?スマートファクトリーの価値・メリット

スマートファクトリーのメリット・価値は、データの見える化やデータ活用による生産性向上と品質の安定にあるという。

▲スマートファクトリー化によって可能になる事項

データを可視化し、適切な現場判断が可能に。「見える工場」が生み出す価値

まず阿部氏が挙げるのは「見える工場」だ。稼働状況や製造実績をデータ化し可視化した工場を指す。データが見たい時に見えるようになり、リアルタイムでどこからでも見えるようになる。また、データを分析し従来見えなかった改善ポイントをリアルタイムで対処でき、経営判断にも活かせるのがメリットだという。

――阿部
「優れた現場のリーダーや、的確な判断のできる熟練工がいる工場こそ、感覚的な判断にデータの裏付けを加えることの効果は大きくなる傾向にあります。

また少人数で現場を管理をしなければいけない状況では、リモートで工場全体のどこで何がおきているかを把握することで、ボトルネック解消早期のトラブルシュートなどの効果が高いです」

製造ラインをストップさせない。ボトルネックを予測する「止まらない工場」

阿部氏が次に挙げるのは、「止まらない工場」。生産ラインの自動化や製品の異常検知、設備の予知保全などで、品質管理や生産性の向上を継続的に実現する。

――阿部
「止まらない工場とは言い換えると『未然に防ぐことができる工場』。見える化で必要なデータが、必要な時に見えるようになった工場において、継続的な改善効果や、早期のトラブルシュートが打てるようになります。

さらには予兆の検知として、致命的なトラブルが発生する前に予測することで、止まる前に手を打つことができるということが、大きな価値になると考えております」

工場の情報を広げ、連携する。「つながる工場」へ

そして最後が「つながる工場」。各拠点の工場間、拠点間で情報を連携する。そして連携した情報を定量的に比較し、課題の抽出や強みの横展開、生産計画やリソースの再配置などを行い、経営的な判断を素早く客観的に実施できるようにする。

――阿部
工場間や拠点間での情報連携を価値とする企業が増えてきているように感じます。

さらには、設計部門や営業部門との連携による業務フローの刷新を行うことを前提とされている企業も、増えてきていると感じます」

スマートファクトリーの定義は、デジタルデータ活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続発展的に実現する工場だ。言い換えると、「見える工場」「止まらない工場」「つながる工場」の価値を全てを併せ持つ工場が「スマートファクトリー」と言われるのだ。

国内・海外のスマートファクトリー3事例

スマートファクトリー化をより具体的にするため、国内外で多くの事例をもつマクニカの事例の一部を紹介してもらった。

大手輸送機器メーカーの工場で異常検知

大手輸送機メーカーの工場では、熟練工の引退、地方での新規人材確保難により、操業に影響が懸念される状況があった。

――阿部
「そこで、大規模な自動化を実施しました。自動化により、働き方改革の一環として掲げている長時間労働削減に成功。また、品質異常が発生した際、リアルタイムでの稼働状況確認と異常検知を行い、被害を最小限に抑えました」

素材メーカーの主力製品の歩留り向上

ある素材メーカーの各種製造条件の設定オペレーションでは、属人化した体制により不良原因と結果を紐づけることができず、改善が困難な状況が続いていた。

さらに、需要の海外シフトに伴い新設工場の建設も予定しており、新工場でのオペレーション人材の確保、安定生産も大きな課題となっていた。

――阿部
「AIによる品質予測と、熟練オペレーターによる確認作業のフィードバックループを回すことにより、推奨製造条件の自動化と品質に影響の高いパラメーター解析を実施。並行して品質改善と、約10%の歩留まり改善を実現。これにより数億円レベルのコストダウンに成功しました。

新工場ではこの取り組みの結果、必要なデータ収集の仕組みを設計段階から構築できました」

日用品メーカーが海場生産拠点の生産能力を向上

ある日用品メーカーでは、需要が急増している海外工場での生産効率向上が求められていた。しかし、国内工場の同設備と比べ、生産効率に大きなギャップが存在していた。

――阿部
「まずStep1として、リアルタイムに見える化し、ボトルネックの可視化を実施。結果的に、トラブルシュートや調整対応を実施するマネージャーとリーダーの負荷を、稼働効率化によって軽減できました。

Step2では、見える化の際に構築したデータ基盤を活用し、重要設備異常や予兆検知、工程最適化し、生産効率の向上に大きく貢献しました」

スマートファクトリー化推進プロジェクトの特徴

では、実際にスマートファクトリー化によるデジタル変革を推進する際に、どのような点に留意すべきか。阿部氏は「スマートファクトリー化はあくまでも手段のひとつとして捉えるべき」と語る。

――阿部
「経営的視点と明確な目的意識を持ち、その手段としてのデジタルに取り組むことがスマートファクトリー化ではもっとも重要な考えです。つまり、工場の一部だけ自動化しても全体最適には繋がらないことがスマートファクトリー化の難しさなのです」

スマートファクトリー化による影響範囲は、デジタルの世界だけに止まらず、物理的な現場にも及ぶ。そのため、スマートファクトリーを推進するプロジェクトは、簡単に作り直したり、やり直したりできず、小回りが利きにくいのが特徴だ。

たとえば、生産管理部門と生産技術部門が別々のプロジェクトで自動化した場合、そもそも両者の通信プロトコルが違い、結局連携が取れないといったケースに陥りかねない。

スマートファクトリー化の現場を見てきた阿部氏はこう述べる。

――阿部
「サイバー(デジタル)とフィジカル(物理)をうまく結びつけた瞬間に、大きく産業構造を変えるような変革が起きるはずです。

しかし、物理空間にテクノロジーを適用することはものすごく大変なこと。もし、スマートファクトリーの取り組みではじめの方向性を間違えると、軌道修正には恐ろしいコストと時間がかかります

そのため、スマートファクトリー化に取り組む際は、全体を俯瞰した経営的な視点と、明確な目的意識を持ち、ゴールまでのロードマップを描くことを、肝に命じておく必要がある。また、デジタルとフィジカルの垣根を超えて考えられることも重要だ。

スマートファクトリー化に取り組む際の課題、システム構築のポイントは?

スマートファクトリープロジェクトにおける最大の課題は、一部だけ自動化しても全体最適には繋がらないと阿部氏は指摘する。

また、製造業では作りたいものや計画が柔軟に変化する。そのため、一部だけ自動化しても、先に導入した自動化ラインが足かせになってしまうケースが存在しているという。

では、全体最適を目指すためには具体的にどうすればいいのか?

――阿部
「スマートファクトリー化のゴールまでのロードマップを描き、全体最適を行うための計画を練る必要があります。そのためには、データ基盤の構築が必要不可欠です」

そう言って阿部氏は、データ基盤構築のポイントとして以下の3点を挙げた。

データ基盤とは「情報を収集、加工、蓄積するためのシステム」。スマートファクトリーでは既存のシステムとの親和性を考慮しながら、システムを連携していく必要がある。その上で、全体の最適化や生産性の向上のためにフィードバックループを回していく

しかし、連携後のデジタルデータの利活用では、要件が変化し続ける。変化する要件の中で、中長期的に価値を出し続けるためには、拡張性の高いシステムを選定・構築していく必要がある。

スマートファクトリー化を成功させる秘訣とは?

最後に、スマートファクトリー化成功の秘訣は何かを語ってもらった。

――阿部
「何度も言いますが、経営的視点と明確な目的を持ち、その手段としてのデジタルに取り組むことです。

一部のデジタル化をゴールとし、部分的な導入に落ち着いた場合、あとになって負の遺産になりかねません。ラインレベルから工場レベル、工場レベルから経営レベルへと視野のスコープを広げていくことによって、エコシステムが最適化され、スマートファクトリー化は成功していくはずです。

業界を俯瞰すると、『やらなければ』という方針だけ立てて、動けていない人たちが多くいます。導入効果が予見できない不安や、何を進め、どう優先順位をつけ、どのような計画を立て、何が正しいのかを判断することができないというケースも多々存在します」

スマートファクトリーの取り組みは今後ますます加速するだろう。

インタビューを通して、スマートファクトリーは一朝一夕には実現できないものであり、常に全体最適を考えながらゴールを目指すものなのだと分かった。

手段としてのデジタル化。新しい技術が次々と出てくる昨今、耳が痛い人も多いだろう。

手段としてのデジタル化を推進するには、「手段を理解している」パートナーが不可欠だ。マクニカには、製造業に特化したAI×IoTコンサルティングのスペシャリストが集まっている。スマートファクトリー化を進めたい担当者は、相談してみてはいかがだろうか。

プロフィール

阿部 幸太氏

戦略系コンサルティング企業で経験を積んだのち、株式会社マクニカに転職。海外テクノロジー製品の国内製造業に向けた導入支援に10年従事。現在はイノベーション戦略事業本部 ソリューション事業部の事業部長で、スマートファクトリー導入支援事業を推進している。