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2026/8/14 [FRI]
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【イベントレポート】AIエージェント時代、企業競争力を決めるのは『知識実装』ーー株式会社CAT.AI メディア勉強会

2026年8月5日、株式会社CAT.AIによるメディア向け勉強会が開催された。テーマは「AIエージェント時代、企業競争力を左右するAI実装とは」。勉強会では、AI活用の競争軸が「モデル選定」から「自社の知識や価値観をAIへ実装すること」へ移りつつあるとの見解が示された。 同社は2026年4月に株式会社トゥモロー・ネットから分社化されたAIソリューション企業である。登壇したのは、NTTグループやLINEでAI事業の企画・開発や新規事業立ち上げに携わってきた、同社 執行役員 ビジネスデザイン本部長の熊谷彰斉氏だ。 本記事では、熊谷氏が語ったAIエージェント時代の企業競争力の考え方や、「知識実装」の重要性、日本版FDEの必要性、企業が取り組むべきポイントについて、勉強会の内容をレポートする。 ## 企業競争力を決めるのはモデルの性能差ではなく「知識実装」 「これまでは『どのモデルを選ぶか』『どんなツールを入れるか』といったAI導入の速さや巧拙が競われていましたが、これからの競争軸は自社データをAIに組み込む『知識実装』の速さと深さになります」 熊谷氏は、基盤モデルの性能差が縮まりつつある現在、競争力を左右するのはインフラやモデルそのものではなく、自社のナレッジを蓄積した知識層や、それを活用するAIエージェントの実装だと説明した。 ![catai_1.png] :::small 画像の出典:株式会社CAT.AI ::: 一方で、知識実装だけでは十分ではないという。次の競争軸になるのは、組織や部門が持つ『社会性・価値観』をAIへどう実装するかだ。その背景として熊谷氏が挙げたのが、2022年に登場したInstructGPTだ。 「2020年に登場したGPT-3は圧倒的な知識量と推論力を持っていましたが、指示を無視したり空気を読まなかったりと『賢いけれど使いにくい研究モデル』でした。それを『賢さより価値観を合わせる』方向へ180度転換したのがInstructGPTです」 InstructGPTによって人間が望む振る舞いを学習させるアプローチが確立され、その流れがChatGPTの実用化につながった。この考え方は企業向けAIにも共通すると熊谷氏は語る。 「社内AIエージェントの構築においても、単に社内データを検索(RAG)させるだけでなく、自社や部門が持つ独自の文化、評価基準、思考プロセスといった『社会性・価値観』をアライメント(調和)させることが、競争力の源泉になります」 ![catai_4.png] :::small 画像の出典:株式会社CAT.AI ::: しかし、社会性を学習したAIは利用者に合わせた応答を優先するあまり、不都合な事実を伝えにくくなるリスクもある。熊谷氏は、「快適さではなく、正しく伝わるよう設計することが重要です」と注意を促した。 ## AI実装の常識はどう変わるか?「汎用」から「部門特化」「自律運用」へ 続いて、チャプター2で熊谷氏は、AIエージェントの普及によって企業におけるAI実装の常識そのものが変わりつつあると説明した。 ![catai_2.png] :::small 画像の出典:株式会社CAT.AI ::: まず挙げたのが、汎用型AIから「部門特化AI」への転換だ。 営業やカスタマーサポート、経理、法務など、部門ごとに役割や扱うデータ、業務ルールを切り分けたAIエージェントを配置することで、より高い精度や実用性が期待できるという。 次に挙げたのが、「使う」から「協働・自律運用」への変化である。 従来のように人が一つひとつ承認するのではなく、ゴールや閾値、例外条件をあらかじめ定義し、その範囲内でAIが自律的にタスクを実行・評価する「ループ型」の運用が広がっていくとした。 さらに、AI導入の進め方自体も変化すると熊谷氏は語る。 従来のように要件定義や提案書の作成、PoCを経て開発するのではなく、その場でプロトタイプを構築し、現場で改善を重ねる開発スタイルが主流になっていくという。 その例として紹介されたのが、AIを活用した事業承継の事例だ。 熊谷氏は、知人が亡き父の設計事務所の見積書や設計書をClaude Codeへ取り込み、設計思想や見積もりロジックを継承したことで、事業を続けられるようになったケースを紹介。「企業では意思決定の複雑さが障壁になるものの、業務やプロセスをシンプルに捉え直せば、同じような変化を起こせるはずだ」と強調した。 ## 日本版「FDE」の必要性は? チャプター3では、AIエージェント時代における新たな役割として注目されるFDE(Forward Deployed Engineer)について解説された。熊谷氏は、AI導入がPoC段階で止まってしまう背景として、自社データをAIに接続する難しさや、現場業務を理解した上でシステムへ落とし込める人材不足を指摘した。そこで、顧客企業の現場に入り込み、業務理解から実装までを伴走するFDEの重要性が高まっていると説明。さらに、日本企業特有の環境に適応した「日本版FDE」の必要性についても言及した。 「日本企業では、業務が属人的になっていたり、暗黙知として蓄積されていたりするケースも多い。そのため、コードを書けるだけではなく、現場に入り込み、文脈を理解したうえで要件を見つけ出す力が求められる」 日本版FDEに求められる役割は、大きく4つある。 - 業務理解(Business Reader): 現場の意思決定ロジックを読み解く - データ設計(Knowledge Architect): 散在する社内知識を構造化・RAG化する - 実装力(Builder): その場で「動くもの」を見せる技術力 - 伴走力(Trusted Partner): 稟議や現場調整に伴走し、意思決定の遅れを突破する 熊谷氏は、FDEの価値を示す例として、同じ社内データを渡しても、経験の浅いFDEは一般的なチャットボットを作る一方、優秀なFDEは企業の背景を踏まえ、ダッシュボードや分析機能まで備えた仕組みを短時間で構築する事例を紹介した。同氏によると、優秀なFDEは企業名や事業内容から必要な情報を推測し、利用者が求めるであろう分析機能やダッシュボード、参照元情報の表示などをあらかじめ組み込むという。 「お客様に言われなくても、『こういう情報があった方が良いですよね』という形で提案できる。そういう人は、データさえ準備できれば数日から数週間、場合によっては半日程度で動くものを作れます」 ## 企業が直面する課題と、経営が取り組むべき5つのアクション 最終章では、AIエージェントを企業活動に組み込むために、経営が取り組むべきポイントが整理された。熊谷氏は、AIエージェント時代の課題として、主に「コストガバナンス」「セキュリティ」「人材・組織設計」の3点を挙げた。 ![catai_3.png] :::small 画像の出典:株式会社CAT.AI ::: 特にAIエージェントは、人間の承認を介さず一定範囲で自律的に動くことで大きな価値を生む一方、利用量が増えるほどトークン費用の管理が重要になる。 「トークン費用はシステム維持費ではなく、『優秀なアシスタントの人件費』として考える必要があります」 熊谷氏は、AIを単なるツールとして管理するのではなく、経営課題として捉え、ガバナンスを設計することが重要だと説明した。 ### 経営が取り組むべき5つのアクション 1. AIエージェントインターフェース開発プラットフォームの導入 2. 日本版FDEの採用と内製AI人材の育成 3. トークン費用を「人件費」と捉えるコストガバナンス 4. コスト抑制とセキュリティを両立する「AIのオンプレミス化」 5. 会社全体の「AI指南役(オーケストレーター)」の配置 また熊谷氏は、2020年のコロナ禍初期にLINEが厚生労働省と連携して実施した全国規模の健康調査を例に挙げ、AIエージェントのあるべき姿について説明した。当時、LINEというデジタル基盤が国民からリアルタイムに情報を集め、社会全体の状況把握に活用された。この仕組みを企業内に置き換えると、AIエージェントは組織の状態を把握する「神経系」のような役割を果たすという。 「AIエージェントは、本当は会社の中の神経系として存在するのが理想だと思っています。いろんなデータを即時的に持ってきて、企業の中の健康診断が常にできるようになる、という状態ですね」 ## まとめ 今回の勉強会を通じて示されたのは、企業におけるAI活用の競争軸が、「どのモデルやツールを選ぶか」から「自社固有の知識や文脈をいかにAIへ実装し、価値につなげるか」へ移りつつあるという点だ。 株式会社CAT.AIは、AI指南役の配置やAIエージェント開発プラットフォーム、日本版FDEによる伴走支援、オンプレミスAIなどを通じて、企業がAIを実装・運用していくための支援を展開していく姿勢を示した。 生成AIの成果を単なる「効率化」にとどめず、「企業競争力」へと変換するためには、経営陣が主導してAI活用に必要な組織体制の整備やコスト管理、ガバナンス設計に取り組み、AIを企業活動の基盤として組み込んでいくことが重要になる。 [AI-BPOで業務を自動化・全体最適化するCXプラットフォーム|CAT.AI]{target=“_blank”}

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