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「短期開発したAI VTuberに大きな反響」エンジニアから42 Tokyo発の起業家へ 42Tokyo特別インタビュー【第5回】第1期生 福山 裕介さんのサムネイル画像

「短期開発したAI VTuberに大きな反響」エンジニアから42 Tokyo発の起業家へ 42Tokyo特別インタビュー【第5回】第1期生 福山 裕介さん

:::box **昨今のリスキリングブームの中、ITやAIのスキルを身に付けたいと思うビジネスパーソンや大学生は数多くいる。また、簡単なプログラミングをマスターするだけなら過去10数年で見違えるほどハードルが下がった。しかし、それは参入障壁も下がったということであり、陳腐化しない本質的な技術を学ぶことは依然として難しい。** **では、どういった良質の選択肢があるのか?独自のカリキュラムでこの難題に挑戦する学校がある。フランス・パリ発のエンジニア養成機関「42(フォーティートゥー)」の東京校である、42 Tokyoだ。なんと学費は無料だ。「挑戦したいすべての人に質の高い教育を。」をコンセプトに、実践的なカリキュラムと学習方法で、”即戦力” となるエンジニアを育成し、現在世界31ヵ国で展開されている。東京校は2020年6月に開校。** **Ledge.ai編集部では、その秘密を求めて事務局長の佐藤 大吾氏と、42 Tokyoで学び、現在はそれぞれの進路で活躍する生徒4名にインタビューを実施した。「42」の革新的な取り組みについて、全5回の連載記事でお送りする。本稿は第5回。** ::: ※インタビューは2024年2月22日に行われた。 :::box ![fukuyama_pro_1.png] **42 Tokyo 第1期生** **福山 裕介** 株式会社ツクルバ、株式会社メルカリでエンジニアインターンを務めた後、スタートアップ企業の技術担当を務め、42 Tokyo卒業後にKinkaku株式会社を設立。 ::: ## 再び学びの場へ 42 Tokyoを選んだ理由 福山さんは長い間海外で過ごし、日本に帰国した後は文化の違いに戸惑いながらも、企業のエンジニアとして活躍していた。既にエンジニアとしての経験を積んでいた中、どのようなきっかけで42 Tokyoを知り入学を決意したのか。福山さんは以下のように振り返った。 :::box **福山さん** 私は幼い頃から15年以上インドやフィリピンなど、海外に住んでいました。海外に住んでいた学生時代は、中学生からPCに触れる環境だったため、PC操作に馴染みはありましたが、プログラミングに関しては全く知りませんでした。 海外の高校卒業時期が5~6月だったため、日本の大学の入学時期まで結構期間が空くんです。その期間に、アメリカの大学へ進学した友人から、「プログラミングで有名な講師のオンライン講座が無料で受けられる」と勧められて始めたのが、プログラミングを知るきっかけでした。 大学入学のタイミングで帰国したのですが、日本の文化や教育に馴染めないと感じ、すぐに休学しました。その後、学んだプログラミングスキルを活かし、株式会社ツクルバやメルカリでエンジニアのインターンを経て、スタートアップの技術担当を務めました。年数でいうと、エンジニアの仕事を5年ほど続けました。 この経験からエンジニアとして知識や経験が身についたのは事実ですが、もう一度しっかり学び直したいという思いがありました。 情報収集する中で、Twitterで42 Tokyo開校の情報を見つけたのが42 Tokyoを知るきっかけでした。新しい教育システムに興味が湧き、実際に入学して自分自身で体感したいと思い、受験を決意しました。 ::: 福山さんは勤めていた会社を退社し、第一期生として42 Tokyoに入学した。既にエンジニアとしての経験を積んでいた福山さんは、42 Tokyoに入学する前から起業する目標を持っていたという。42 Tokyoでどのような学生生活を送っていたのか、以下のように語ってくれた。 :::box **福山さん** とにかく入学試験の「Piscine(ピシン)」が凄く楽しかったんです。会社に勤めていた頃は、文化の違いに馴染めず本来の実力が発揮できなかった苦い経験がありました。しかし、42 Tokyoは文化の違いも関係なく、皆がプログラミングを学ぶという同じ目標に向かって進んでいくので、萎縮することなく話せました。誰かと無邪気に話したり、意見を言い合いながら自由に学ぶ場というのが新鮮で楽しかったという印象がとても強いです。 日本初の「42」開校なので、一般的には少し様子を見たり、一旦立ち止まって入学を考えますよね。私含めですが、新しいものに飛びついて受かった人は、結構特殊だと思うんです。第一期生は躊躇なく受験した人たちの集まりなので、やはり個性的な人が多く、バックグラウンドや年齢も様々でした。また、良い意味で他人の過去にはあまり興味を示さないので、何をやっていたとか年齢も気にせず、皆対等に接することができました。 「42」は、根本的に目的意識が強い学びたい人しか集まらないので、そういったところが大学とは違うと感じ、皆が学びへの姿勢も熱量もモチベーションも高いので、私の意識も一層高まりました。 ::: 「周囲の人たちに刺激を受けながら学生生活を送っていた」と語った福山さんだが、全ての学生が今までの人生を苦難なく過ごしてきたかと言うと、必ずしもそうではないという。 :::box **福山さん** 過去に学校や仕事を辞めた人、ずっと家で過ごしていた人、周りから過小評価されていた人もいました。しかし、共通して言えるのはコードを書く能力が高く、シンプルに課題解決能力や適応能力、学習速度が速い人が多かったですね。 エンジニアとしてステップアップしたいというのはもちろんですが、私自身も大学生活で躓いた経験があるので、リハビリも兼ねて社会や人と触れ直すきっかけがほしかったんです。共通の話題があることで自然と話せましたし、そういう部分でも42 Tokyoを選んで良かったと思います。 ::: ## 42 Tokyoの魅力 実践的な学びの重要性と習得したスキル ![IMG_1310.JPG] 大学との学び方の違いを体感し、改めて42 Tokyoのカリキュラムの良さを実感したという。モチベーションが下がることなく課題に取り組むことができた理由を、福山さんは以下のように話してくれた。 :::box **福山さん** 6~7年前は、ソフトウェアエンジニアで情報系出身の人材がかなり少ない時代でした。学べる場といえば、仕事で任されるタスクに関連した内容がほとんどなので、どうしても知識の偏りが生じてしまうんです。 現在は環境が変わっていると思いますが、当時の大学は知識を詰め込む座学が多く、コードを書く物量が全然足りていなかった。そのまま大学に通っていても理論は学べるが、実践的なことはあまり身につかないと思いました。コードを書く機会が少ないと「こうやって書くんだ」だけで終わってしまうので、もったいないですよね。 42 Tokyoは100%プロジェクトベースの実践的カリキュラムなので、コードを書く物量でいうと数十倍はあると思います。例えば、ソフトウェアを制作するという課題があったとして、それを作るために理論を学びにいくので、目的ありきの学び方なんです。 また、現状の知識より少しチャレンジングな課題をあえて渡されるので、独学で勉強していたら学べないようなものが多いんです。簡単すぎない、少し背伸びをした課題を解くために、自身の持っている知識を活用したり、調査したり、時間を使って向き合えば絶対にクリアできるので、達成感や自信に繋がります。モチベーションも上がっていきますし、「勉強すればなんとかなる」というマインドセットが身につきました。次の課題への意欲も湧いてきますし、そこだけは陳腐化せずに自分のスキルとして身につくことを、課題を通して学べたと思います。 ::: ## 42 Tokyoでの経験を経て起業の夢を実現 42 Tokyoを卒業した福山さんは、その後、ともに学んだ仲間とハッカソンに参加し、見事優勝した。その成功体験を経て、起業した当時を以下のように福山さんは語ってくれた。 :::box **福山さん** 42 Tokyoに入る前から起業はひとつの目標でした。 42Tokyoに在籍しながら、大学院で画像生成の研究をしていた友人と、二人で共同創業者として会社を立ち上げました。当時はちょうどChatGPTがリリースされた時期で、「なんか化け物みたいなものが出てきた!」と、とても衝撃を受けました。この言語モデルを使って一番ワクワクするものを作り出したいという思いから「AI VTuber」の開発プロジェクトが始まりました。 その後、短期間で開発したAI VTuberをXに投稿したところ大きな反響があり、「これはいけるかもしれない」と二人で意気込み、さらにこの波に乗るために開発を進めました。 私たちはエンジニアなので絵を描くことができません。そのため、画像生成AIを活用してキャラクターを描いたりコンテンツを制作していたのですが、開発を進める中で、現状の生成AIは絵柄や顔の一貫性がなくなる課題が見えてきました。また、画像を生成するにあたって、テキストで自分の作りたい画像のイメージを伝えることの難しさを知り、それを簡単に解決できるサービスはないか?と考え、その課題に対応するサービスを開発しました。 そのサービスは、ビジュアルベースで作りたい画像のイメージを描いてAIに指示をすると、リアルタイムで画像が生成することができます。基盤モデルはStable Diffusionを使用しており、高速で生成する技術を用いながら独自で改良を重ね、0.1秒という高速生成を実現することができました。 ::: ## 今後のビジョンと新たな目標 様々な生成AIに関連するサービスを開発してきた福山さんだが、さらに大きな目標を掲げて今後も開発を続けていくという。今後の具体的な展望も以下のように語ってくれた。 :::box **福山さん** 私たちは、42 Tokyo卒業後初めて起業した実績があるので、今後は上場も視野に入れて、「コンテンツ周りの生成AIならKinkaku」と言われるくらい、日本を代表するような生成AI企業に成長したいと思っています。 先ほども話したように、画像生成における絵柄の一貫性がない問題も、その部分を解決すれば活用の幅はさらに広がるので、改良してビジネスで役立つものを生み出したいと考えています。最終的には、生成AIをアニメなどのコンテンツ制作の場で使用されるものを開発したいですね。 すべての作業をAIが行えば良いとは考えていません。例えば、漫画制作でストーリーや構成を人間が考えて、キャラクターの名前やセリフをまとめる部分をAIが担っていくというように、基本的に面白いコンテンツを作り出せるのは人間だと思います。そこは今もこれからも変わらないと思います。人とAIが協業する世界に向けて、アニメや漫画業界と基盤モデルの橋渡し役を私たちが担いたいです。 ::: :::box 特集:[42 Tokyo、知ってますか? AIも学べるパリ発の究極のエンジニアスクール 特別インタビュー] :::

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