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2025/9/26 [FRI]
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Google、生成AIで教科書を再構築する「Learn Your Way」を公開──無作為化比較試験で学習成果の向上を確認

Googleは2025年9月16日、生成AIを活用して教科書を再構築する新システム「Learn Your Way」を[発表]{target=“_blank”}した。学習者の学年や関心に合わせて教材をリライトし、音声・スライド・マインドマップなど多様な形式で提示する仕組みを採用。シカゴ地域の高校生を対象とした実証実験では、従来型の教材よりも学習成果が有意に向上することが確認されたという。 従来の教科書は「すべての学習者に一律の内容を提供する媒体」であり、学年や興味関心に応じた最適化は難しかった。Google Researchのチームは、生成AIを用いることでこの制約を克服し、個別化と多様な表現を可能にするアプローチを開発した。 ## Learn Your Wayの仕組み 新システム「Learn Your Way」は、Googleの学習用大規模モデル「LearnLM」(Gemini 2.5 Proに統合)を基盤とする。教材の元テキストを入力し、以下のステップで再構築する。 - **パーソナライズ** :学年レベル(Flesch-Kincaid指標に基づく)や興味関心(スポーツ、音楽など)に合わせて文章をリライト。 - **複数表現への変換** :没入型テキスト、スライド+ナレーション、オーディオレッスン、マインドマップなど。 - **学習支援機能** :埋め込み質問や小テストを生成し、学習者に即時のフィードバックを提供。 これにより、学習者は自分に合った形式を選びながら、能動的に学習を進めることができるという。 **ニュートンの第三法則を学年や関心に応じてリライトした例。左は高校生向けにバスケットボールを題材に、右は小学生向けに美術を題材に説明している。** ![x2.jpg] :::small 画像の出典:[Google]{target=“_blank”} ::: ## 実証実験(無作為化比較試験) 研究チームは、シカゴ地域の15〜18歳の学生60名を対象に無作為化比較試験(RCT)を実施した。教材は「思春期の脳発達」(LibreTexts)を使用。 **■ 比較対象** : ・「Learn Your Way」利用群(30名) ・従来のPDFリーダー(Adobe Acrobat)利用群(30名) **■ 学習時間** :20〜40分 **■ 評価方法** : ・即時テスト(15分) ・3日後の保持テスト(約10分) ## 結果 - 即時テスト:Learn Your Way群が有意に高得点(p=0.03)。 - 保持テスト:Learn Your Way群が有意に高得点(p=0.03)。 - アンケート:Learn Your Way群は「楽しく学べた」「理解が深まった」と回答する割合が高く、将来の利用意欲も強かった。 **無作為化比較試験の結果** :「Learn Your Way」を使用した学生は、従来のデジタルリーダー利用者に比べ、即時テスト・保持テストのいずれも有意に高い得点を示した。 ![Learn-Your-Way-5.width-1250.png] :::small 画像の出典:[Google]{target=“_blank”} ::: ## 教育現場での意義 この研究は、生成AIが教科書を「一律の媒体」から「学習者に応じて変化する教材」へと変革し得ることを示している。Googleは、教育科学の知見とAI技術を組み合わせることで、学習成果の向上と学習者の主体性強化につなげられると強調している。 **教育専門家による評価結果。特にナレーション付きスライドやオーディオレッスンは、学習者の関心を引きやすいと高評価を得た。** ![Learn-Your-Way-4.width-1250.png] :::small 画像の出典:[Google]{target=“_blank”} ::: ## 今後の展望 研究チームは論文内で次の課題を指摘している。 - 効果検証は1つの教材章に限られており、今後は複数教科・複数章での検証が必要。 - 各機能(例:スライド、音声、クイズ)の寄与度は明確化されていない。 将来的には、学習者の解答状況に応じて教材を動的に調整する「適応学習」への拡張が期待される。 :::box [関連記事:Google、AIリテラシー教材を公開──教育者・学生・家庭向けに専用リソースを提供] ::: :::box [関連記事:Google、学校現場における生成AI「Gemini」の活用を支援:「学校のためのプロンプトライブラリ」を無料公開] ::: :::box [関連記事:ChatGPTが“答えを教えない”家庭教師に──OpenAI、「Study Mode(学習モード)」実装で思考力を鍛える] ::: :::box [関連記事:東京都立学校で生成AI導入加速、16万人規模の利用環境をコニカミノルタが構築] ::: :::box [関連記事:山口県、全公立中学校へ生成AI導入— 153校・3万3000人対象、スタディポケットで学びの好循環を目指す 全国初となる県教委・市町連携] :::

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