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2026/10/8 [THU]
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AIに任せられる仕事と、任せられない仕事。その境界はどこにある?――第6回 Ledge.ai AI勉強会 開催レポート

生成AIの進化によって、これまで人が担ってきた業務の一部をAIに任せられるようになった。一方、AIを導入したからといって、すべての仕事が自動化されるわけではない。では、AIに任せられる仕事と、人が担うべき仕事を分けるものは何なのだろうか。 2026年9月29日・30日の2日間、Ledge.aiは「今、AIに任せられる仕事と、まだ任せられない仕事。その差は何か?」をテーマに、オンラインイベント「第6回 Ledge.ai AI勉強会」を開催した。 AIによるアニメ制作や需要予測、AIエージェントのデータ戦略、リサーチ業務、全社的なAI活用、製造現場の技能継承など、多様な領域の実践者が登壇。全8セッションを通じて、AIに仕事を任せるための条件と、人間の役割がどのように変化していくのかを考えた。 本記事では、各講演の内容を振り返りながら、企業がAI活用を進めるうえで押さえておきたいポイントを紹介する。 ## アニメ制作から需要予測まで。「AIに任せる」を多角的に考えた2日間 今回の勉強会では、株式会社レッジによるオープニングセッションを含め、全8セッションを実施した。 9月29日(DAY1) - 株式会社レッジ「今、AIに任せられる仕事と、まだ任せられない仕事。その差は何か?」 - megli株式会社「一本のアニメを完成させる工程をAIに任せてみた」 - 株式会社スニフアウト「AIに任せられる仕事を増やすためのデータ戦略」 - AI CROSS株式会社「AI需要予測を入れると、発注業務はこう変わる」 9月30日(DAY2) - 株式会社Kaguya「プロに求められるリサーチ業務のAIリテラシー」 - 株式会社APOLLO11「コンテキストの限界を超えるAIエージェント時代のデータベース戦略」 - ソースネクスト株式会社「AIを使わないことを禁止した会社の180日の実録。人間に残る仕事とは?」 - 株式会社Ollo「AI×映像で現場の『熟練技術』は見える化できる」 扱う業務や技術はそれぞれ異なるものの、共通していたのは、AIの能力そのものよりも、それを仕事の中でどう生かすかという視点だ。 例えば、AIによるアニメ制作では、単一の映像を生成することと、一つの作品を完成させることの違いが浮き彫りになった。需要予測の講演では、AIが予測値を算出できても、その結果を発注業務にどう組み込むかは別の問題であることが示された。 また、専門職のリサーチでは情報の信頼性をどう担保するか、AIエージェントのデータベース戦略では、AIが継続的に仕事を進めるための情報管理や安全性が論点となった。 こうした講演の中でも、企業のAI導入担当者にとって特に参考になりそうなのが、実際に組織の仕事の進め方を変えた事例と、その実現を支えるデータ整備の考え方だ。 ## 「AIを使わないことを禁止」したソースネクスト。180日で見えてきた新たな課題 ソースネクスト株式会社 代表取締役副社長 兼 COO兼 CROの小嶋智彰氏は、「AIを使わないことを禁止した会社の180日の実録。人間に残る仕事とは?」と題し、同社が進めてきたAI活用の取り組みを紹介した。 ![勉強会9月_2.png] 同社では、全社員に有料のAIアカウントを配布。さらに、AIを業務に取り入れることを人事評価の目標にも組み込むなど、社員がAIを使うことを前提とした環境づくりを進めてきた。全社員を対象に、AIを使ってアプリケーションを開発するバイブコーディング研修も実施している。 特徴的なのは、単にAIツールの利用を促すだけでなく、社員自身が業務を改善する仕組みを作れるようにしたことだ。 一方、AIの利用が浸透したことで、新たな課題も見えてきた。例えば、ある部門の作業がAIによって効率化されても、その後工程で別の部門の確認や作業を待つ必要があれば、組織全体としてのスピードは上がりきらない。そこで同社では、従来の部門間の役割分担そのものを見直す動きも生まれているという。 小嶋氏が強調したのは、AIを使うこと自体を成果としない姿勢だ。AIを使って資料をきれいに作れるようになったとしても、それだけで組織の生産性が高まるわけではない。最終的には、売上や業績にどう貢献したのかを問わなければならないという。これは、AI導入を進める多くの企業に共通する課題ではないだろうか。 ## AIに仕事を任せられないのは「データが足りない」から? 大量の学習データより重要なもの AIを導入しても、期待したアウトプットが得られない。その原因は、必ずしもモデルの性能にあるわけではない。株式会社スニフアウト 代表取締役 CEOの津本海氏は、「AIに任せられる仕事を増やすためのデータ戦略」と題した講演で、企業のAI活用を阻むデータの問題を解説した。 津本氏によれば、企業が日常的に作成する資料の多くは、人間が読むことを前提とした「ヒューマンレディ」な状態にある。例えば、複雑なExcelの表、PowerPointの図解、スクリーンショットを中心に説明した業務マニュアルなどだ。人間であれば、表の配置や矢印の関係から意味を理解できる。しかし、AIがデータを読み込む過程では、こうした情報が欠落したり、誤って解釈されたりすることがある。 津本氏が示した、AIエージェントに必要なデータの条件は大きく3つだ。 1. 業務に必要なデータが十分に存在すること 2. AIが内容を見落とさずに理解できる形式になっていること 3. AIが必要な情報を自律的に探し出せる状態になっていること 中でも興味深かったのは、AIエージェントを作るために、必ずしも大量の過去データが必要なわけではないという指摘だ。重要なのは、過去の成果物そのものよりも、成果物を作るまでの業務プロセスだという。そのプロセスは、必ずしも最初から整ったマニュアルとして存在している必要はない。ベテラン社員が新人に業務を説明する様子や、実際にパソコンを操作する画面を録画し、AIを使って手順を整理する方法もある。つまり、AIに仕事を任せるためには、人間が無意識に行っている判断や作業の手順を、AIが参照できる情報に変えていく必要がある。 ![勉強会9月_3.png] 津本氏は質疑応答でも、AIが十分に仕事をこなせない背景には、必要な情報や指示を渡しきれていない「ナレッジギャップ」があるとの考えを示した。これは、AIエージェントの導入を検討する企業にとって、実務的な示唆といえるだろう。 ## 技能継承は「人から人」だけではなくなる? 株式会社Ollo 事業開発部リーダーの吉田健吾氏は、製造現場で撮影した映像をAIで解析し、熟練者の作業を可視化する取り組みを紹介した。製造業では、熟練工の高齢化や退職に伴う技能継承が課題となっている。従来、現場の技能は、熟練者が新人に直接教えたり、時間をかけてマニュアルを作成したりすることで引き継がれてきた。 Olloが紹介した仕組みでは、作業の様子を撮影することで、AIが工程を読み取り、マニュアルの作成を支援する。さらに、熟練者と新人の作業映像を比較することで、どの工程に時間がかかっているのか、どこに改善の余地があるのかを分析できるという。 ![勉強会9月_4.png] ここで重要なのは、従来は熟練者の経験や感覚に依存していた作業を、比較・分析可能なデータへと変えられる点にある。 質疑応答では、ヒューマノイドロボットなどの進化によって製造現場から人間が減っていくとすれば、将来的に人間向けの動画マニュアルは不要になるのではないか、という問いも投げかけられた。吉田氏は、作業データの蓄積が、人から人への技能継承だけでなく、将来的には人からロボットへの技能継承にもつながる可能性に言及した。 これまで人間が長年の経験を通じて身につけてきた技能を、AIが扱える情報へと変換する。その取り組みは、現場の教育や改善を効率化するだけでなく、将来的にロボットへ仕事を任せるための準備にもなり得る。 ## AIに任せられる仕事の範囲は、企業自身が広げていく 今回の勉強会では、AIに任せられる仕事と任せられない仕事を分ける、単純な線引きが示されたわけではない。むしろ、各社の実践から浮かび上がったのは、AIに任せられる仕事の範囲は、企業側の準備や業務設計によって変わるということだ。 一方で、AIに仕事を任せられるようになったとしても、何を実現するのか、どのような結果を求めるのかという問いがなくなるわけではない。自社のどの仕事を、どのような条件でAIに任せるのか。そして、どのような価値につなげるのか。仕事の進め方そのものを見直していくことが、これからの企業のAI活用に求められるのかもしれない。 :::box 関連記事:[ベテランの技能を「AIが学べる形」にする。Olloが挑む技能継承、その先のフィジカルAI]{target=“_blank”} :::   :::button [10月のAI勉強会視聴申し込みはこちら]{target=“_blank”} :::

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