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音楽ストリーミングサービスのDeezerは2025年11月12日、調査会社Ipsosと共同で、AI生成音楽に対するリスナー意識を探る初の国際大規模調査を実施したと[発表]{target=“_blank”}した。 8カ国・9000人を対象にしたブラインドテストでは、参加者の97%が「完全にAI生成された音楽」と「人間が制作した音楽」を聴き分けることができなかった。一方で多くのユーザーは、この結果に驚きや不安を覚え、AI音楽の明確なラベリングや著作権の公正な扱いを求めていることが明らかになった。 ## 8カ国・9000人調査で浮かぶ、AI音楽への“戸惑い” 調査は米国、カナダ、ブラジル、英国、フランス、オランダ、ドイツ、日本の8カ国で実施され、18〜65歳の9000人が参加した。参加者は3曲の音源を聴き、どれが完全なAI生成音楽かを判断するよう求められたが、97%が誤答。71%がこの結果に「驚いた」と回答し、52%は「人間とAIの音楽を区別できないことに不快感」を覚えたという。 AI音楽は一般リスナーにとって、すでに「ほぼ人間と区別がつかない段階」に達していることを示す結果となった。 ## AI音楽への期待と懸念 ― 創造性が失われると感じる人が64% AIに対する一般的な認知は高く、98%が「AIについて聞いたことがある」と回答し、72%は「少なくとも数回はAIを使った経験がある」とした。 音楽領域でも、 - 46%:AIが新しい音楽の発見を助ける - 51%:AIは今後10年で音楽制作に大きな役割を果たす といった期待の声がある一方で、 - 51%:低品質・画一的な音楽が増える - 64%:AIが音楽制作の創造性を失わせる と懸念も強い。 リスナーはAIへの好奇心と、創作物の質への不安との間で揺れている。 ## 「AI音楽は聴くが、区別はしたい」──透明性への強い要望 音楽ストリーミングユーザー(n=6791)を対象とした調査では、 - 66%:好奇心から100%AI音楽を一度は聴いてみたい - 45%:AI音楽をフィルターで除外したい - 40%:AI音楽と分かればスキップしたい と回答。 興味はある一方で、「AI音楽と人間の音楽を区別したい」という強いニーズが浮き彫りになった。 透明性に関する項目では、 - 80%:100%AI生成音楽は明確にラベル表示すべき - 73%(音楽ストリーミングユーザー):サービスがAI音楽を推薦しているかどうか知りたい - 52%:AI音楽を人間の楽曲と同じチャートに含めるべきではない といった声が寄せられた。 AI音楽の存在が受容されつつある反面、ユーザーは“知らない間にAI音楽を聴かされる”ことに警戒している。 ## 著作権保護への強い危機感 ― 許可なきAI学習は「非倫理的」 調査はAIの学習に著作権作品を使うことに対する強い慎重姿勢も示した。 - 65%:著作権作品を無断でAI学習に利用すべきではない - 73%:アーティストの許可なく著作権作品を使ってAIが音楽生成するのは非倫理的 - 70%:AI音楽は現役・未来のアーティストの生計を脅かす - 69%:AI生成曲への支払いは人間の楽曲より低くすべき ユーザーはAI音楽の存在そのものよりも、その背後にある「データの扱い」や「創作者の収益」への影響に敏感だ。 ## Deezerは毎日5万曲のAI音楽を受信──34%がAI Deezerは現在、1日あたり約5万曲の完全AI生成トラックを受け取っており、1日に届く全楽曲の34%を占めているという。同社は2025年初頭からAI検出ツールを運用しており、SunoやUdioなど主要AIモデルで生成された音源を識別できるとのこと。 また、AI音楽のストリーミングの最大70%が不正再生だったケースも確認しており、該当ストリームはロイヤリティから除外している。 ## AI曲は推薦・プレイリストから除外、チャート混入を回避 Deezerは2025年6月、業界で初めて「100%AI生成音楽」をタグ付けしたプラットフォームとなった。 現在は、 - AI曲をアルゴリズム推薦から自動除外 - 編集プレイリストにも掲載しない - チャート集計でも区別運用を検討 と、透明性確保とアーティスト保護を重視した対策を進めている。 DeezerのCEOであるAlexis Lanternier氏は、聴いている音楽がAIなのか人間なのかを知りたいというユーザーの意識を明確に示した。AIがアーティストの活動や著作権を損なうべきではないという点についても広範な支持があると述べた。 同社は今後、AI検出技術の特許出願など、AI音楽時代における透明性基準の確立を目指しているという。 :::box [関連記事:仏の音楽ストリーミングプラットフォームDeezer、全新曲の18%がAI生成と発表──1日2万曲以上のアップロードを報告] ::: :::box [関連記事:Spotifyで広がる「AI生成偽楽曲」の問題 悪用されるストリーミングサービス] ::: :::box [関連記事:AI音楽生成サービスSunoとUdioを著作権侵害で提訴 ユニバーサル、ソニー、ワーナー含む大手音楽企業] ::: :::box [関連記事:200名を超えるアーティストが署名「AIで音楽の価値を下げるな」ビリー・アイリッシュ、ノラ・ジョーンズ、ボン・ジョヴィなど参加の団体が権利保護を呼びかける声明] :::
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