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2025年4月19日、中国北京市の経済技術開発区(亦荘)において、人間と人型ロボットが同時に参加するハーフマラソン大会が開催された。人間のランナー約1万2,000人に加え、21体の人型ロボットが21.0975kmのコースに挑戦したという。 この大会は、AI・ロボティクス分野における中国の技術力を内外に示す目的で開催され、北京市経済情報化局を含む複数の機関が主催した。参加ロボットはすべて「二足歩行型」の人型であることが条件とされ、車輪による移動型ロボットの参加は認められなかった。競技中のバッテリーや部品の交換は許可されたが、交換ごとに時間的なペナルティが課された。 ロボットは自律制御型と遠隔操作型のいずれも参加可能とされ、設計や制御方式は多様であった。 @[YouTube] ## 最速で完走したのは「Tiangong Ultra」──技術の特徴と走行実績 21体のロボットのうち、完走に成功したのは6体のみ。多くのロボットが転倒やバッテリー切れ、センサーの不具合などにより途中棄権を余儀なくされた。 中でも注目を集めたのが、北京人型ロボットイノベーションセンターが開発した「Tiangong Ultra(天工ウルトラ)」である。このロボットは身長約180cm、体重約55kg。3度のバッテリー交換と1度の転倒を乗り越え、2時間40分42秒で完走し、ロボット部門の優勝を果たした。 Tiangong Ultraは、長い脚部と人間のランニング動作を模倣するアルゴリズムを搭載しており、高精度の慣性測定ユニット(IMU)、3Dビジョンセンサー、六軸力覚センサーなどを備える。制御には、前方のインストラクターの動きを腰の信号装置で読み取り模倣する手法が採用されていた。 このロボットはすでに2024年11月に設計図と制御ソフトウェアがオープンソースとして公開されており、研究機関やスタートアップによる活用も進んでいる。 ## 技術検証の一環としての意義と今後の展望 大会は、実環境下における人型ロボットの走行安定性、バッテリー管理、制御アルゴリズムなどの性能を総合的に検証する試みであったという。特に人間との混在環境での耐久試験は、これまでに例を見ないものであり、技術的な課題と可能性の両面が浮き彫りとなった。 中国政府は2030年までに1万体の産業用ロボット(うち1,000体は人型)を導入する目標を掲げており、本イベントはその実証の一環とされている。現在、ロボット開発に関わる研究者や政策立案者の間では、今後の自律性の強化や産業応用に向けた制度整備の必要性が指摘されている。 :::box [関連記事:中国Pudu Robotics、初の完全ヒューマノイドロボット「PUDU D9」を発表 LLM搭載でサイズは170cm、65kgと日本人男性並み] ::: :::box [関連記事:Unitree G1が登場──中国発、ダイナミックな動作とLLM統合で“パーソナライズ可能な”ヒューマノイドロボット] ::: :::box [関連記事:ヒューマノイドがキックボクシング?Unitree Roboticsがスパーリング動画を公開] ::: :::box [関連記事:Figure 02が自然な“行進”を披露──強化学習でヒューマノイドの歩行がここまで進化] ::: :::box [関連記事:人型ロボット「Figure 02」の商業版発表 ─ AI搭載167cm/70kgのロボットが棺のような専用ケースに梱包され出荷開始] ::: :::box [関連記事:GMO AIRがヒューマノイドロボットの派遣サービスを開始、人手不足対策と業務効率化を支援] :::