特集
FEATURE
ビジネス
BUSINESS
ラーニング
LEARNING
エンジニアリング
ENGINEERING
学術&研究
ACADEMICS & STUDY
公共
PUBLIC
エンタメ&アート
ENTERTAINMENT & ART
1~13 / 566件
OpenAIの共同創業者で社長のGreg Brockman氏は2025年10月31日、自身のX(旧Twitter)で「GPT-5 Proが12分の思考で、治療不可能とされていた食物アレルギーに既存薬を提案し、未公表だった査読論文と同じ結論に達した」と[投稿]{target=“_blank”}した。 この事例が指すのは、dupilumab(デュピルマブ)による食物タンパク質誘発性腸炎症候群(FPIES:Food Protein–Induced Enterocolitis Syndrome)の症例報告だ。AIが独立に導いた仮説が、同日に公開されたJACI Global(Journal of Allergy and Clinical Immunology: Global)誌の症例シリーズと一致したという。 ## Brockman氏「科学発見の未来の味見」 Brockman氏はこの事例の投稿を引用し「Taste of what LLM-driven scientific discovery will be like(LLMによる科学的発見の未来の味見)」と表現。GPT-5 Proが提示した仮説が、当時未公表だった査読研究の結果と一致したと述べ、AIによる科学的洞察の萌芽として紹介した。 ![brockman x gpt5 scientific discovery.jpg] :::small 画像の出典:[GregBrockman氏のXアカウントより]{target=“_blank”} ::: ## JACI Globalが報告──dupilumabでFPIESが寛解 2025年10月29日付でJACI Globalに掲載された[論文]{target=“_blank”}では、成人の小麦誘発FPIES患者に対し、dupilumab投与中に小麦摂取後も発作が起きず、経口負荷試験(約50gの小麦たんぱく)でも無反応となった経緯を報告。治療中断で症状が再燃し、再開で再び耐性が回復するなど可逆的な効果も確認された。研究チームは2〜58歳の7例を追加し、観察的ではあるもののdupilumabの有効性を示唆した。 ## GPT-5 Proが独立に導出──「12分の思考」でdupilumabを第一推奨 この症例を担当したOral Alpan医師の同僚、Derya Unutmaz医師(米ジャクソン研究所)は、論文投稿直前にGPT-5 Proへ臨床ケースを入力。モデルは約12分間の思考を経て、dupilumab(IL-4Rα阻害薬)を第一候補として提案したという。Unutmaz医師はX上で「他のどのモデルもdupilumabを第一選択として示さなかった」と述べ、出力画面のスクリーンショットを公開した。 ![derya unutmaz x.jpg] :::small 画像の出典:[Derya Unutmaz氏のXアカウントより]{target=“_blank”} ::: 論文では、dupilumabが樹状細胞OX40Lの抑制(“un-licensing”)を通じてType 2炎症経路を制御し、腸管上皮の過剰反応を抑制した可能性が示唆されている。現時点では仮説段階にあり、さらなる臨床試験が必要とされる。 研究者らは、今回の報告は因果関係を証明するものではなく、観察的症例シリーズにとどまることを強調。また、dupilumabはFPIESに対して未承認であり、治療の変更は必ず医師の管理下で行うべきと注意を促した。 ## 今後の展望──臨床試験への期待 主治医のAlpan医師は、Regeneron(dupilumabの共同開発元)に臨床試験を打診する意向を表明。Unutmaz医師は「2万種を超える承認薬の中に、すでに“隠れた治療法”が存在するかもしれない」とし、GPT-5 Proのような高度なAIが既存薬の再利用(ドラッグ・リポジショニング)を加速させる可能性に期待を示した。 :::box [関連記事:LLMの「ハルシネーション」が創薬研究に貢献—ドレスデン工科大学チームが検証、既存手法では得られない候補化合物を示唆] ::: :::box [関連記事:Googleとイェール大学、単一細胞を対話的に解析できるAI「C2S-Scale 27B」を公開──Gemmaベースで創薬研究を後押し] ::: :::box [関連記事:Google DeepMind AIタンパク質予測ツール「AlphaFold 3」を発表、AI創薬への応用に期待] ::: :::box [関連記事:診断コスト70%減──Microsoftの医療AI「MAI-DxO」が304疾患の鑑別で医師団と同等の成績を示す] :::
Ledge.aiにソリューション情報を掲載しませんか?
使い方や具体的な目標などを詳しくご説明します
お問い合わせ