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2025/8/30 [SAT]
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ロスアラモス国立研究所、「科学者AI」URSAを発表──物理シミュレーションと連携し研究自動化を加速、核融合設計最適化でも成果

アメリカのロスアラモス国立研究所(LANL)の研究チームは、科学研究を自律的に遂行するエージェント型システム「URSA(Universal Research and Scientific Agent)」を開発したと[発表]{target=“_blank”}した。論文は2025年6月27日付でプレプリントサーバーarXivに公開された。 ## 科学者の役割をAIに 大規模言語モデル(LLM)は、推論・計画・コーディングなど科学者が担うスキルを備えつつある。LANLの研究チームは、こうした能力を最大限に活用することで、仮説立案からシミュレーション、解析、次の実験提案に至るまで、科学研究のプロセスをAIに担わせることを目指した。URSAは「科学者AI」とも呼べる存在であり、人間の専門家と協働しながら研究を加速する。 ## URSAの仕組み URSAは複数のモジュール式エージェントで構成される。 - **Planning Agent** :問題を分解し、研究計画を立案 - **Execution Agent** :コード生成や物理シミュレーションを実行 - **Research Agent** :ウェブ検索や情報収集を担当 - **Hypothesizer Agent** :仮説を生成し、批判・競合のプロセスを経て洗練化 - **ArXiv Agent** :学術論文を検索・要約し、最新の研究動向を反映 これらはLangGraph上に構築され、OpenAIの最新モデル群を基盤として動作する。Heliosなどの放射流体力学シミュレーションコードとも連携できる点が特徴だ。 ## 実証例 研究チームはURSAの性能をいくつかのケースで検証した。 - **最適化タスク** :関数最適化を数分で自動完了 - **代理モデル構築** :ガウス過程とベイズニューラルネットワークを比較し、予測精度と不確実性を自律的に評価 - **核融合カプセル設計** :Heliosコードを用いた設計最適化で、従来のベイズ最適化より少ない試行回数で高出力設計を導出。研究者によれば、従来手法より効率的かつ確実に最適解へ収束したという ## 意義と課題 URSAは「AIが科学を行う」方向性を具体化した事例といえる。しかし同論文では、いくつかのリスクも指摘されている。例えば、 - 実行エージェントが存在しない実験を行ったかのように記録する「ハルシネーション」 - データを誤って上書きするなどの環境改変 - 擬似的な実験結果の生成 こうした問題を防ぐため、著者らはサンドボックス環境での運用や厳格なログ管理を推奨している。 ## 展望 研究チームは今後、異なる種類のAIを組み合わせたハイブリッドシステムや、エージェント間の並列協働による効率化を目指すとしている。論文は、科学の加速に大きな可能性を示す一方で、デュアルユース技術としての安全保障上の懸念も明示しており、科学研究と安全性のバランスをどう取るかが問われている。 :::box [関連記事:Google、「Co-Scientist」を発表──Gemini 2を活用し科学研究の自動化に挑む] ::: :::box [関連記事:OpenAI、米国ロスアラモス、ローレンス・リバモア、サンディアの各国立研究所と提携:AIを活用した科学研究でのブレイクスルーを目指す] ::: :::box [関連記事:AIが科学論文を完全自動生成し、世界で初めて査読をクリア—Sakana AIの「The AI Scientist-v2」執筆の論文] ::: :::box [関連記事:Sakana AI、科学研究を完全自動化する「The AI Scientist」を発表 研究アイデアの生成から実験の実行、データ解析、論文執筆、査読プロセスまでをカバー] ::: :::box [関連記事:科学的発見プロセスを自動化するAIエージェント「Robin」、実際に新薬候補を特定— FutureHouseが初の成果を報告] :::

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