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2025/11/20 [THU]
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AWS、「Kiro」を一般提供──仕様駆動のAIコーディングをIDEとターミナルで一元化

AWSは2025年11月18日、AIエディター/開発ツール「Kiro(キロ)」の一般提供を[発表]{target=“_blank”}から機能追加を重ねてきたAI開発ツールで、仕様(Spec)を中心にコード生成・検証・リファクタリングを行える点が特徴だ。一般提供に合わせて、プロパティベーステスト、エージェント動作の巻き戻し機能、ターミナル向けの「Kiro CLI」、AWS IAM連携のチーム管理機能を搭載したという。 ## 仕様に基づく開発を強化:プロパティベーステストに対応 Kiroの正式版では、仕様と実装の整合性を検証するための「プロパティベーステスト(property-based testing)」が導入された。開発者がEARS形式で記述した仕様から、Kiroがテストすべき“性質(プロパティ)”を自動抽出し、数百〜数千のランダムテストを生成して実装を検証する仕組みだ。反例が見つかった場合は、原因特定のため条件を徐々に単純化する「縮小(shrinking)」も実行される。 これにより、個別のテストケースでは検出しづらい欠陥を発見しやすくなり、仕様ベースでの正確な実装を支援する。 ![correctness.png] Kiro IDEが生成したプロパティベーステストの例。仕様から抽出した“チケットIDが常に一意であること”という性質を可視化し、関連する要件・実装タスク・テスト結果を紐づけて表示する。 :::small 画像の出典:[kiro]{target=“_blank”} ::: ## チェックポイントで開発プロセスを巻き戻し可能に 一般提供版では、エージェントが行った操作や変更内容を段階的に保存する「チェックポイント」機能を追加した。エージェントの提案やコード修正を進めた後でも、必要に応じて任意の状態へ戻れるため、実装方針の変更や手戻りが発生した際のコストを抑えられる。 また、1つのKiroワークスペースで複数のプロジェクトルートを扱える「マルチルート」構成にも対応し、マイクロサービスやモノレポなど複雑な構成の開発にも利用できる。 ## IDEとターミナルを共通化する「Kiro CLI」 正式版の大きな追加点として、ターミナルで利用できる「Kiro CLI」が提供された。開発者は、IDE と同じエージェント環境をターミナルでもそのまま利用でき、Claude Sonnet 4.5 や Haiku 4.5 などのモデル、Autoエージェント、MCP(Model Context Protocol)ツールによるローカル操作やAPI呼び出しも実行できる。 CLIとIDEは同一のステアリングファイルや認証情報、コンテキストを共有するため、開発環境を切り替えても同じワークフローを継続できる。 ![cli.png] 一般提供版で新たに追加された「Kiro CLI」。IDEと同じエージェント環境をターミナルでも利用でき、AutoエージェントやMCPツールによる操作が可能になる。 :::small 画像の出典:[kiro]{target=“_blank”} ::: ## AWS IAM連携のチーム管理と、スタートアップ向け1年無償プラン Kiroは、AWS IAM Identity Centerと統合され、組織アカウントによるログインや、Pro/Pro+/Powerティアの利用制限、MCP設定、請求管理などをAWS側で一元的に管理できる。 また、シリーズBまでの対象スタートアップには「Kiro Pro+」を1年間無償提供するオファーを開始した。既存のAWS Activateクレジットと併用可能で、2025年12月31日まで申請を受け付ける。 ## “AI駆動開発”の基盤へ Kiroは、仕様駆動の開発、プロパティベーステスト、IDE/CLI共通のAIエージェント環境、IAM連携によるチーム運用など、開発プロセス全体をAIと統合する機能を備えた。Kiro公式ブログでは「This is just the start.」と記されており、今後もアップデートを継続する方針を示している。 :::box [関連記事:AWS、仕様駆動型AI IDE「Kiro」を正式発表──“プロンプトから本番まで”エージェントが伴走] ::: :::box [関連記事:AWSが「Amazon Q」の一般提供を開始 企業内データを活用したAIアプリケーション開発の加速を目指す] ::: :::box [関連記事:古いコードを最新のJavaに生成AIが自動変換「Amazon Q Code Transformation」] ::: :::box [関連記事:2024年版ガートナー「AIコードアシスタント」の評価:主要ベンダーと市場動向] ::: :::box [関連記事:AWSが、生成AI業務アプリを作成する「AWS App Studio」のプレビューを公開 開発スキルがなくても自然言語で利用できる] :::

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